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イッピン「繊細で優雅 北国の輝き 秋田 銀線細工」

<番組紹介>
秋田に伝わる「銀線細工」。
太さ1ミリ以下の純銀の線から様々なパーツを作り出し、
炎を操り繊細な模様を作り出す。
新たなデザインに生む、繊細な職人の手仕事に迫る。
 
銀線の透かし模様がきらめく、ペンダントや指輪。
白と銀に輝く、さざんかの花のブローチ。
太さ1ミリ以下の純銀を繊細に操って作られたアクセサリーは
東北・秋田の「銀線細工」。
極細の銀線から、
ピンセット一つで渦巻きや唐草模様を作り上げ、
炎を操って立体的に組み合わせていく。
銀ならではの輝きと緻密な手仕事の秘密に、
笛木優子さんが迫る。
 
<初回放送日:令和2年(2020)年2月12日>
 
 
 

1.竹谷本店・渡邊圭子さん

 
天保元(1830)年に創業した銀線細工の工房「竹谷本店」は、
金銀を使った煙管(きせる)づくりから始まりましたが、
現在は、ペンダントやブローチなどのアクセサリーをメインに
制作・販売しています。
 
その「竹谷本店」の銀線細工の制作を一手に引き受けているのが、
キャリア30年の職人・渡邊圭子(わたなべ・けいこ)さんです。
元々手先が器用で細かい作業が得意だったという圭子さん。
高校を卒業後、秋田の工芸学校で銀線細工を学んだ後、
「竹谷本店」に就職しました。
以降、渡邊さんは約30年間、「銀線細工」を作り続けています。
 
 
 
渡邊さんに「銀線細工」の製作工程を見せていただきました。
材料は様々な太さの純銀の線です。
まずは太さ0.3㎜の2本の銀線を木の板で挟んで
何度も転がして撚り合わせていきます。
続いて、撚った銀線をローラーにかけて平らにします。
これを銅板に巻き、等間隔の折り目を付け、ピンセットで曲げていくと、
直径僅か1㎝の花弁の形が現れました。
今度は太めの銀線を撚らずに使って、唐草模様を作りました。
 
全てのパーツが出来たら、直径3㎝の銀枠の中にはめ込んでいきます。
パーツの長さと形を均等に合わせていきます。
残った空間に、更に細かいパーツを使って埋めていきます。
 
全てのパーツを入れたら、「ロウ」で銀線同士を固定します。
「ロウ」は銀と真鍮を混ぜた粉で、
この「ロウ」を水で溶いて、パーツの隙間に塗り込んでいきます。
バーナーであぶると、
「ロウ」が溶けてパーツの隙間に入り込んでいきます。
「ロウ」に含まれた真鍮は、純銀よりも低い温度で溶け出し、
パーツの隙間を銀で埋めて固定します。
 
パーツが固定されたら、酸に漬けて真鍮などの不純物を取り除きます。
この時、酸の影響で銀の表面に細かい傷がつき、
ペンダントは真っ白になってしまいました。
 
続いて、木の枠に押し付けてペンダントに立体感を出して、
形を整えていきます。
表と裏をバーナーで繋げたら、
白くなっていた表面を金属の棒を押し付けて磨いて、
ピカピカに光るペンダントが完成しました。
素朴な銀線を巧みに操って生み出した、美しいフォルムです。
小さなきらめきに丹念な手仕事が詰まったイッピンです。
 
 
竹谷本店
  • 住所:〒010-0001
       秋田県秋田市中通二丁目4-3
  • 電話:018-835-1331
 
 
 

2.「金銀線工房しんどう」(進藤春雄さん)


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秋田銀線細工頂点のお一人、
「金銀線工房しんどう」の進藤春雄さんは、
15歳から修行を始め、
60年近く銀線細工一筋の人生を歩んできました。
 
指先とピンセットを駆使する繊細な技法、
自然をモチーフにした独創的なデザインが評価されて、
日展や日本伝統工芸展で何度も入選を果たした他、
平成5(1993)年の皇太子殿下(現・天皇陛下)御結婚に際し、
秋田県からの献上お品・銀線香器「春の夢」を
また令和元(2019)年には天皇即位を祝い、
秋田県からの献上お品・銀線香器「清閑」を製作しています。
 
進藤さんは、蕗やワラビなどの
秋田の自然をモチーフとした作品を製作しています。
中でも美しいと評判なのが、「山茶花」のブローチです。
花弁や葉も全て細い銀線で作られています。
 
進藤さんは、挟んだだけであっという間に花びらの形にしてしまいました。
花弁枠が出来たら、
中に入れる渦巻き状に巻いた「平戸」(ひらど)
3本撚りの銀線を使い、ピンセットで「の」字に巻いていきます。
「間隔が狭いと丸くなるし、空けると長くなるので、
 その中間を狙って
 バランス見ながら自分なりに調整しているんです。」
大きさは僅か1㎝。
花弁の枠に入れ、ピンセットで締めていきます。
 
金銀線工房しんどう
  • 住所:〒010-0042
       秋田県秋田市桜4丁目3−12
  • 電話:018-834-7918
 
 
 

3.桜の花びらの指輪(房工房・佐藤房雄さん)


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今、若い女性達の注目を集めている指輪があります。
桜の花びらが唐草模様の上を軽やかに舞うデザインが
可愛いと大評判。
作ったのは、新進気鋭の銀線細工職人・佐藤房雄さんです。
 
佐藤さんは20歳の時、地元にある「秋田ふるさと村」で
初めて銀線細工の実物を目にしました。
元々シルバーアクセサリーが好きで、高校卒業後に、
シルバーアクセサリーを作る職人になりたいと思い、
東京にある宝飾の専門学校に進学しました。
学校では、銀を中心とした色々な技術を学んでいましたが、
その繊細な技術に魅せられ、
秋田銀線細工職人になることを決意したそうです。
 
銀線細工すとう」の須藤至さんに飛び込みで弟子入りし、
15年の修行を経て、平成27(2015)独立。
様々なオリジナル作品を発表しています。
 
 
 
佐藤さんに、桜の花びらの指輪の製作模様を見せていただきました。
特徴は、流れるような輪郭線が切れ目なく続くこと。
これまでも銀線細工の指輪はありましたが、
太い枠の中に模様を入れたものが主流でした。
佐藤さんは、枠を取り払った、
のびのびした指輪を作りたいと考えたそうです。
 
材料は、太さの違う4種類の銀線と、撚った銀線3種類です。
まず、一番太い銀線で骨格になる唐草模様を作ります。
次に使うのは、2番目に太い銀線。
次第に線を細くして、模様も小さくしていきます。
 
今度は撚った銀線で隙間を埋めていきます。
唐草模様と同じく、
次第に銀線細く、パーツを小さくしていくと、
様々な太さと大きさのパーツが重なり、
起伏に富んだ表情が現れてきました。
 
「少し背の高さですけど、
 凹凸をつけることで、より立体感が出るので、
 見た目の良さっていうのが出てくると思います」
 
指輪のサイズを決める棒に巻きつけて、慎重に曲げていきます。
佐藤さんは、模様が美しく見えるようにと、
敢えて丸くしてから、パーツを付けていきます。
慎重にパーツを置いてバランスを確認します。
パーツの位置が決まったら、バーナーでそっと固定すると、
上手く繋がりました。
残った隙間にも、小さなパーツをはめ込んでいきます。
縦5㎜程の花びらを指輪の上に置いたら、完成です。
こだわり抜いた材料と技で銀線細工の枠を打ち破ったイッピンです。
 
「自分にとっては、この新鮮みがあると言うか、
 機械では出来ない、やっぱ手作りならではの繊細な感じを出せるって
 一番魅力かなと思います。」
 
遠くヨーロッパから伝わり、北国秋田で育まれた銀線細工。
涼やかな輝きには職人たちの静かな情熱が込められていました。
 
  • 住所:〒019-0529
       秋田県横手市十文字町海道下68-31
  • 電話:0182-42-2934
 

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