MENU

イッピン「森から生まれた柔らかな光 ~弘前の木製品~」

<番組紹介>
今回のイッピンは、魅惑のランプシェード。
青森県弘前市で生み出されたブナ細工だ。
幅1センチ、厚さ約1ミリのテープ状に加工した
ブナを巻き上げて作る形は、まさに変幻自在。
柔らかな曲線と、幻想的な光が織りなす独特の世界が、
高級ホテルやレストランを席巻している。
他にもアケビのつるで作った人気のバッグや、
表面に独特の加工を施した一枚板の机など、
森の恵みをいかした木製品を
女優・宮﨑香蓮がリサーチする。
 

 

1.BUNACO


www.youtube.com

 
 
弘前市の南西部から秋田県北西部に渡る白神山地は、
広大なブナ原生林で、
平成5(1993)年12月に日本初の世界遺産として登録されています
白神公社)。
 

 
BUNACO」は、この日本一の蓄積量を誇る
青森県のブナの木を有効利用するために、
地域が誇る製品を作りたいという想いから生まれました。
 

 
BUNACO」は、昭和31(1956)年に
青森県工業試験場場長であった城倉可成さんと
石郷岡啓之介さんの共同研究により考案された技術です。
考案者の一人、城倉可成さんは、
「弘前工芸協会」の2代目理事長でもあり、
優れた津軽塗の作家でもありました。
 

 
当時の青森工業試験場職員であり、
ブナコ技術の研究発展に直接関われた
望月 好夫(もちづき よしお)さんは
木工にモダンデザインを取り入れる活動に尽力し、
「ブナコの育ての親」とも呼ばれる方です。
望月さんは利用価値が低いと言われたブナの粘り具合に注目したと
おっしゃいます。
その弾力性が曲げる加工に最も必要だったそうです。
(残念ながら望月さんは令和元(2019)年3月10日にお亡くなりになりました。)
 
 
BUNACO」は、ブナの木を薄いテープ状にして
バームクーヘンのように巻き上げて立体の物を成型したものです。
力を均等にかけて隙間を作らずに巻き上げることは難しく、
時に汗をかくこともあります。
 

 
成型する時には平たいものを立体化していくのですが、
その時に湯のみを用います。
手のひらに収まる程良い丸みが、
ランプシェードにマッチするのだそうです。
この作業も油断禁物で、
ズレしてしまうとバラバラになってしまうこともあるそうです。
S字型のランプシェードを作る際も、使うのは湯のみです。
半分ずつ湾曲させて、滑らかな曲線が生まれていきます。
S字型ランプシェードの複雑な曲線美は、まさにブナ細工の真骨頂です。
 

 
それまでブナは漆器の下地として利用されていましたが、
無垢材を削り出して作る従来の方法よりも、
より少ない量で製品化出来、木材資源を有効に活用出来る
「地球にやさしい」環境に配慮した独自のエコ製法です。
「ブナ」は北欧では「森の聖母」と呼ばれるほど木質の美しい木です。
その美しい木を加工した曲線美豊かな作品は、
そのデザインの優秀性・品質・安全性が認められ、
経済産業省選定のグッドデザイン商品に認定されています。
 

www.bunaco.co.jp

 
 

2.あけび蔓細工品

 
平成6(1994)年、三内丸山遺跡から
ブドウ皮風の網代編みのポシェット(?)が発見されました。
この発掘で、縄文時代中期には、
既にあけび蔓細工品が使用されていたことが明らかになりました。
蔓細工の素材となる蔓は、
岩木山、八甲田山麓に自生している山葡萄やあけびの蔓などです。
 

 
  • 住所:〒038-0031
       青森県青森市三内丸山305
  • 電話:017-766-8282
 
 

 
幕末期に会津の浪士がその技術を伝えたという説がありますが、
明治時代に入るとあけび蔓細工は産業としてめざましく発展。
明治後半から大正期には技術も進歩し、
大正5年頃には職人の数が520人程もいたと言われています。
海外(主にアメリカ)にも多く輸出されたそうです。
 
現在、蔓細工の職人がほとんどいなくなってしまい、
また岩手山麓の山葡萄蔓の収穫も減ってしまいましたので、
大変貴重です。

 

3.木好房DAIROKU


www.youtube.com

 
昭和61(1986)年に、父の大湯浩之さんが
工房「木好房DAIROKU」を開き、
現在は息子の大湯建太郎さんが地元の木を使用しながら、
〈世代をこえて使われる家具〉の制作を引き継いでいます。
 
 

関連記事

 

f:id:linderabella:20210513110253j:plain