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イッピン「未来への挑戦 受け継ぎ 切り開く 福島・会津の工芸品」

<番組紹介>
福島県の「会津木綿」と「会津本郷焼」。
古い織り機を蘇らせ、
伝統の綿織物の生地作りに乗り出した若者たちと、
故郷の風景を器に盛り込もうとする窯元の後継者を描く。
伝統工芸の若き担い手たちの活動を描く“未来への挑戦”。
 
今回は福島県の会津地方。
ここで昔から織られてきた「会津木綿」は、
織元が激減し将来が危ぶまれていたが、
地元の若者たちが100年前の織り機を蘇らせ、
現代風の新製品を生み出している。
また、古い歴史を持つ「会津本郷焼」の跡継ぎは、
故郷の自然を映す独自の色合いを作ろうと奮闘中。
伝統を踏まえて、それをさらに進化させ、
未来を切り開こうとする挑戦を追う。
 
<初回放送日:令和2(2020)年11月17日>
 
 

1.「会津青木木綿」
(「IIE Lab.」代表・谷津拓郎さん、スタッフ・千葉崇さん)

 
平成28(2016)年、「イッピン」では、
カラフルな「会津木綿」をプロデュースする
会津木綿織元 「IIE Lab.(イーラボ)」 の谷津拓郎さんを取材しました。
 

 
IIE Lab.がある会津坂下町の青木地区周辺では、
かつて、水害対策に栽培していた木綿の染料となる「藍」を用いて
「会津青木木綿」が盛んに生産されていました。
「会津青木木綿」の特色は、技巧のないすっきりとした縞柄で、
主に普段着や仕事着などに用いられました。
 

 
しかし、時代とともに織物業は衰退し、次第に生産量は減少。
最盛期には30軒程あった工場も2軒にまで激減。
そして遂に30年前に姿を消しました。
 

 
谷津さんは、雪で壊れそうな「会津青木木綿」の廃工場で、
時代から取り残され、約30年間止まったままの
古い織機と出会ったことで、
「会津青木木綿」の復活させることを決意。
東日本大震災をきっかけに発足した「IIE Lab.」と
水害による被害を受け、
地域の人々が生きるために始まった「会津青木木綿」は
強い繋がりがあるのではと感じたとおっしゃいます。
IIE Lab.」による会津木綿づくりがスタートしました。
 
 
この古い織機「豊田式織機」は約100年前に開発されたもので、
大正時代に織元が購入したものと言われています。
まず、これらの織機を昔の持ち主から譲ってもらい、
雪で壊れそうな廃工場から運び出しました。
100年以上の年季が入っている上に、
長い間、使われずに放置されていたのですから、修理が必要です。
 

 
スタッフの千葉崇さんは、かつての職人に助言を仰いだり、
専門書を読み漁りました。
また新潟や米沢、桐生など様々な織元を訪ねて回りました。
そんな中、新潟の織元に、
機械の稼働音を聞くだけで問題の箇所が分かってしまうという
長谷川進さんを紹介してくれもらいます。
長谷川さんは新たにモーターやセンサーをつけ、
歯車も設計してくれました。
そして、メンテナンスを欠かさなければ、
末永く働いてくれるとおっしゃってくれたそうです。
千葉さんは「主治医が見つかった気分」と当時を振り返り、
そうおっしゃいます。
 
現在、工房では2人の女性が生地を織る技術の習得に励み、
織り機は6台が稼働しています。
 

 
谷津さんは、農家の人々が野良着に使っていた「もんぺ」を
現代の暮らしに合うようアレンジ。
腰回りがゆったりとして動きやすく、色合いもオシャレな
新しい会津青木木綿の「もんぺ」を作りました。
 

 
千葉さんは、「会津青木木綿」を織っていた職人さんに
「やっとバトンを渡せた」と言われたそうです。
「この織機は地域の宝として大切に守りたい・・・」と
千葉さんおっしゃっていました。
 

 
  • 住所:〒969-6511
       福島県河沼郡会津坂下町
       大字青木字宮田205
  • 電話:0242-23-7760
  • オンラインショップ
 
《参考》あったかオシャレに!多彩な縞の世界 福島・会津木綿

omotedana.hatenablog.com

 
 
 

2.会津本郷焼(宗像窯8代目・宗像利浩、9代目利訓さん)


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福島・会津美里町は「会津本郷焼」の故郷です。
地域の中で「的場陶土」「やけ土」という良質の「陶土」と
「大久保陶石」という「陶石」を産出することから、
「土物(陶器)」と「石物(磁器)」の二つが共存する
日本でも稀な産地です。
 
現在、窯元は13軒。
宗像窯(むなかたがま)は、江戸時代の享保14(1729)年から続く
「土物(陶器)」作りを守り抜いている老舗の窯元です。
 
 

 
宗像窯」の八代当主・宗像利浩(むなかたとしひろ)さんが
自身の名前の一字を取って「利鉢」と名付けられた器は、
平成9(1997)年の第14回日本陶芸展で「日本陶芸展賞」を受賞。
更に、平成15(2003)年には「文部科学大臣賞」を受賞するなど、
各方面で高い評価を受けています。
 

 
多くの場合、釉薬は素焼きした後に掛けますが、
宗像窯」では、成形後、素焼きをせずに乾燥させただけの器に
釉薬をかけてから窯で焼き上げる「生掛け焼成」という方法で
器を作っています。
 
 
また、一般に鉢の縁は丸みを持たせ欠けにくくしていますが、
「利鉢」は敢えて平らでシャープに作ることで
ピンと張った力強さと緊張感を持たせ、
和食器でありながらもスタイリッシュなフォルムが
魅力な器となっています。
 
 


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ご子息で「宗像窯」・九代目の利訓(としのり)さんは
宗像窯」に代々受け継がれてきた
「会津本郷焼」の伝統技術を学びながらも、
これからの生活様式に合う、造形や色合いを確立するために研究を重ね、
自分ならではの作品を製作しています。
 

 
宗像窯伝来の「緑釉」を改良した
「白緑釉」(びゃくろく)もを使った作品もその一つです。
器を素焼きし、濃度の異なる釉薬を塗り分けるといった
新技法により生み出した冬に降り積もる雪の淡いグラデーションから
春には芽吹きが始まり、やがて新緑に染まる会津の自然の情景が
表現されています。
 
 
別の景色も作品を通して表現していきたいと
おっしゃっていました。
 

 
  • 住所:〒969-6116
      福島県大沼郡大沼郡
      会津美里町本郷上本郷3115
 
《参考》暮らしを彩る みちのくの器 福島・会津本郷焼

omotedana.hatenablog.com

 

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