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イッピン「挑戦する心を受け継ぐ〜岐阜 和紙製品〜」

<番組紹介>
桜の花の形をした優美な日傘、
斬新でモダンなランプシェード。
「岐阜和傘」と「岐阜提灯」、
それぞれの若手職人が作る和紙製品だ。
伝統をつなぎ挑戦する彼らの姿を追う。
 
「和傘」と「提灯(ちょうちん)」は、
どちらも美濃和紙を生かした岐阜の伝統工芸品。
それぞれ若手職人が新たな試みに乗り出している。
女性の和傘職人が作るのは、
なんと桜の花の形をした日傘だ。
そして、
老舗の提灯製造会社が作るランプシェード。
デザインしたのは世界的なデザイナー。
その細かな要求に応えたのは、
当時まだ入社2年目だった職人。
その裏には師匠への思いが隠されていた。
伝統をつなぎ挑戦する職人たちを追う。
 
 
今回は、「岐阜和傘」、「岐阜提灯」に使われる和紙や、
それを現代風にアレンジした作品を制作している職人が
紹介されました。
 

岐阜和傘「桜和傘」(仐日和かさびより・河合幹子さん)


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和傘と言えば、
京都や金沢などを思い浮かべる方も
多いのではないか思いますが、
実は、岐阜市周辺で国内生産量の3分の2が生産されています。
そして「岐阜和傘」は、
和服と好相性で、使う人を引き立てることから
その名は全国的に知られてました。
 


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長良川流域では、和傘の原料となる
良質な竹や美濃和紙、荏油、わらび糊などに
恵まれたことから、
江戸時代に和傘製造が地場産業として発展。
昭和初期のピーク時には、
年間一千万本を超える和傘が生産されました。
 
ところが、和服を着る機会が減っている現在、
岐阜和傘の需要も激減。
また、かつて岐阜市には何百軒も軒を連ねた傘問屋も、
現在は3軒。
高齢化による和傘職人不足も深刻です。
 
そんな中、傘作りの職人・河合幹子さんが
桜の花弁を表現した「桜和傘」をtwitterに投稿すると
瞬く間に2万リツイート、「いいね」の数は4.9万を記録!
女性を中心に繊細で優美な美しい和傘に注目が集まり、
美濃手漉き和紙を使った
1本20万円(税別) と高価であるにも関わらず、
1年待ちの状態になっています。
また、様々なメディアでも大きな話題を集めています。
 
 
傘には、河合さん自身が染めた薄い美濃和紙を2枚重ねてあります。
表から見るとより白っぽく、
裏側から見ると日が差してピンクのグラデーションがよく見え、
違った華やかな表情を楽むことが出来ます。
 
桜型は内側に切れ込んだところが10カ所あり、
花びらが丸みを持たせるために
和紙を貼って余った部分は剃刀で切り揃えるなど、
技術と手間を要します。
また補強するため帯状の和紙で縁取りをする作業も、
通常の円型よりも手間が掛かっています。
 
河合さんは、お祖母様が老舗和傘問屋「坂井田永吉店」の
家系に生まれた和傘職人であったこともあり、
和傘はとても身近な存在でした。
岐阜市内の税理士事務所に勤めていた折、
坂井田永吉店」3代目の叔父様から
「和傘をやってみないか」と声が掛かり、
27歳でこの世界に飛び込みました。
 
和傘作りには数十以上の工程があり、
それぞれの職人が分業して、
数週間から数カ月をかけて一本の傘を仕上げますが、
河合さんは、
今後は和傘の分業制が難しくなるかもしれないと考え、
一人で和傘を完成させる技術を身に付けるべく、修業。
平成28(2016)年に独立し、
自らの工房『仐日和』を立ち上げました。
 


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お祖母様は、他の職人から尊敬を集める中でも
新たな作風に挑戦し続けたそうで、
河合さん姿勢は見習いたいとおっしゃい、
一目惚れしたという柿渋染めの美濃和紙を製作に取り入れています。
 
これは幸草紙工房を営む加納武さんが漉いたもので、
パリパリと固くて扱いにくく和傘作りに不向きな和紙ですが、
河合さんは、スプレーで水を噴霧して和紙を柔らかくし、
ヘラを強く押し込んで骨組みに貼って完成させました。
 
 - 仐日和 の和傘が買える場所 -
   ・住所:岐阜県岐阜市湊町29
       長良川てしごと町家CASA 1F
   ・電話:090-8335-9759
   ・時間:11:00~18:00(火・水 休)
 
 

「AKARI」(オゼキ)

 
昭和26(1951)年に誕生し、
今や世界中にファンがいる日本を代表する
イサム・ノグチの照明「AKARI」。
彫刻家のイサム・ノグチ氏は岐阜提灯に触発されて、
「AKARI」には、記号や数字が用いられ、
生涯、改良、修正を重ね
200種類を超える照明彫刻をデザインしました。
 
近代化した生活にとって、自然光に近い照明は憧れであり、
和紙を透かしてくる明かりは、ほどよく光を分散させて
部屋全体に柔らかい光を流してくれる。
「AKARI」は光そのものが彫刻であり、陰のない彫刻作品なのです。
― イサム・ノグチ 
 
その「AKARI」の製造元は
明治24(1891)年創業の株式会社「オゼキ」。
平成24(2012)年、
ジェイ・オズガビー氏、エドワード・バーバー氏が
共同制作をしたいと工房に持ちかけ
両氏のデザイン案を元に
生産を担う張職人の石川俊宏さんが形にしました。
 
Edward Barber & Jay Osgerby
エドワード・バーバー & ジェイ・オズガビー
 
英シュルーズベリー生まれのエドワード・バーバーとオックスフォード出身のジェイ・オズガビーによるデザインユニット。
二人はロンドンのRoyal College of Artで共に建築とインテリアデザインを学び、1996年にBarber&Osgerbyという名前で自身のスタジオを設立。彼らの作品は、パッケージデザインや家具デザインから建築まで多岐に渡ります。数々の作品がロンドンのV&A博物館を含む世界中のミュージアムコレクションに選定。2004年にはジャーウッド応用芸術賞を受賞。2001年にはBarberとOsgerbyがUniversal Design Studioを設立し、現在、建築、インテリア、展示デザインの分野で、世界で最も革新的なクリエイティブデザイン事務所として知られています。
 
石川さんは、ノグチ氏の作品も手掛けていた
鈴村昭夫氏の指導の下、研鑽を積みました。
平成26(2014)年にオズガビー氏、バーバー氏のデザインが届きますが、
鈴村氏は前年の平成25(2013)年に急逝していたことから、
石川さんに白羽の矢が立ちました。
 
石川さんは、
やりたい気持ち半分、不安な気持ち半分だった中、
やるしか無いと覚悟を決めます。
上手くいっている時ほど要注意と自らを戒め、
培った技術を総動員すれば
これまでにない形状の提灯も生み出せると考えている。
 
  • 住所:〒500-8061
       岐阜県岐阜市小熊町1-18 
  • 電話:058-263-0111
 

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