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イッピン「手に馴染み、目に楽しい黒の器 石川・珠洲焼」

<番組紹介>
ざらざらした土味と深みのある黒色で
人気の珠洲(すず)焼。
食材をひきたてる板皿や、
和紙のような質感のカップが登場!
不思議な質感と独特の黒が生み出される
秘密に迫る。
いま能登半島から生まれる
「珠洲(すず)焼」が注目を浴びている。
ざらざらとした土味と渋い黒色が特徴。
実は、戦国時代に滅亡したが、
近年、全国から集まった陶芸家や
考古学者らの力により復活を遂げた。
元グラフィックデザイナーが手がける
スタイリッシュなカップは、柔らかい和紙の
ような表面の質感が評判。
その不思議な質感と珠洲焼独特の深みのある
“黒”がどのようにして生み出されるのか、
女優三倉茉奈が徹底リサーチする。
 
<初回放送日:平成30(2018)年1月30日>
 
 


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「珠洲焼」は、平安時代末の12世紀後半から
室町時代後期の15世紀末にかけて
珠洲郡内で生産されていた、
中世日本を代表する焼き物のひとつです。
 
窯は能登半島の先端部に築かれ、
14世紀には最盛期を迎えて、海運により、
日本海沿岸の東北・北陸の各地や
遠く北海道まで運ばれ、
日本列島の四分の一を商圏とするまでに
なりました。
ところが15世紀後半には急速に衰え、
間もなく廃絶してしまいました。
 
 
試行錯誤の末に、昭和53(1978)年に復活。
「伝統の黒」を生み出すことに成功しました。
 
現代の「珠洲焼」は、
当時とほぼ変わらない作陶工程で、
甕、壺、摺鉢を始め、
花器、酒器(徳利、ぐい飲み、お猪口)、
湯呑、茶器(抹茶碗、急須)、ビアカップ、
コーヒーカップ、大皿、小皿、鉢、箸置きなど
多様なものが作られています。
また、その味わいは、使い込むほどに味わいが
出てくるものとなっています。
 
 

1.手になじみ、目に楽しい黒の器
(元グラフィックデザイナーの作家・
山田睦美さん)

 
陶芸家の山田睦美(やまだむつみ)さんは、
柔らかい和紙のような表面の質感が評判の
スタイリッシュなカップを手掛けている
作家さんです。
 
山田さんは、石川県珠洲市生まれ、
富山でデザインを学び、
デザイン事務所に勤務後、
「珠洲焼」を学んで独立されました。
 
「珠洲焼」はお酒が美味しくなる器として
有名で、珠洲焼特有のざらっとした手触りに
土が感じられます。
伝統的な「珠洲焼」は厚い器が多いのですが、
山田さんの作品は、
薄くモダンな造りになっていて、
焼き締めの黒灰色に白い模様を施した
デザインになっているのが特徴です。
こんな可愛らしい「珠洲焼」は
他にありません。
 
 
まずは粘り気のある土でカップの形を造り、
器の側面を直線的に立ち上げました。
直線的なフォルムが
表面のざらつきを際立たせるのだそうです。
それでいて女性でも扱いやすいように、
軽量化を追求していきます。
続いて、絵筆を使って泥をつけ、
表面の凹凸を強調させました。
最後に白い泥を塗ってメリハリをつけたら、
窯で焼き上げ、完成させました。
 
 

2.現代によみがえった 「幻の古陶」(「游戯窯」篠原敬さん)


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中世奥能登で生まれた「珠洲焼」は、
鉄分を多く含む土と
高温で溶けた灰によって出来る
自然の釉薬により、
様々なツヤのある灰黒色の肌の器です。
 
平成7(1995)年に、「游戯窯(ゆげがま)
築窯した篠原敬(しのはらたかし)さんは、
シンプルな中にもふわりと立ち上がった
フォルムで、深みのある色合いを特徴とした
板皿を製作しています。
 
材料は、鉄分が多く含まれる地元の土です。
ろくろで円筒を整形したら、
一部をカットして板皿を造ります。
 
スポンジを使って角に丸みをつけるなどの
修正をし、乾燥させてから焼きに入ります。
 
窯を煉瓦で密閉して、
酸素が入り込まないようにすることで、
内部は酸素が不足し、鉄分は黒く変化。
これにより、「珠洲焼」の器は黒く色づくと
考えられています。
 
 
自作の窯には温度計はついていません。
代わりに「ゼーゲル」と呼ばれる
三角錐状のものを一緒に入れて、
その曲がり具合で温度を判断するのだ
そうです。
工房の壁にはこの「ゼーゲル」が
ずらりと並んでいました。
その数は、今までの窯炊きの数だそうです。
 
 
 

3.「黒」にひとさしアクセント
(「紀の川窯」陶芸家・
田端和樹夫さん、田中敬子さん)

 
黒を特徴とする「珠洲焼」から
新たなデザインが誕生しています。
紀の川窯(きのかわがま)の田端和樹夫さんは
黒をベースとする「珠洲焼」に
アクセントをつけるために、
色や光沢をつける「釉薬」を
松や桜などから選んで自作して、
作品を製作しています。
 
 

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