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イッピン「木をいかす新たなカタチ~石川 木製品~」

<番組紹介>
1万本に1本、切り口から鮮やかな黒い模様が浮かび上がる
柿の木がある。
その板を薄くスライスして牛革と縫い合わせたバッグが、
女性の間で大人気だ。
厚さ0.14ミリという極薄なのに、
曲げても引っ張っても破れない、そのわけとは?
またテーブルの上において、お湯を沸かすことができる
コンパクトな桐の火鉢も注目を集める。
どちらも木の工芸の盛んな石川県から生まれた。
リサーチャーはモデルの生方ななえさん。
<初回放送日:令和3(2021)年年1月17日>
 
 

1.wBOISのバッグ(けやき工芸 谷口)


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創業の「けやき工芸 谷口」は、
昭和22(1947)年に石川県の能登半島にある穴水町で
木工所としてスタートした会社です。
黒柿、たも、栃、桜、杉、桧、欅などの日本の銘木を扱い、
その木の選定から製材、乾燥、加工、仕上げまでの全ての工程を
一貫して行っています。
 
穴水工場は見学することが出来ます。

www.kaga-noto.or.jp

 
初代の谷口正太郎さんが情熱を注いだ
碁石を入れる丸い容器「碁笥」(ごけ)は、
全国シェアの60%を占めています。

 
 
2代目の谷口正晴さんは、
消費者の「木離れ」により木が売れない昨今、
平成11(2009)年に
世界で初めて「縫える木」を誕生させました。
 
縫える木」は、
0.12~0.15mmの薄さにスライスした木材を特殊加工した新素材で、
ミシンで加工出来るのが特徴です。
折りた畳める程に柔らかく、それでいて強度もあります。
数回の洗濯にも耐えうる耐久性も備えています。
そしてなによりも、唯一無二の木目の美しさと木の香りを持っています。
国産の黒柿、たも杢、栃杢、桜、ひのき、杉の6種類あります。
木の可能性を広げた「縫える木」は、誕生以来様々な製品に採用されています。
 


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番組で取り上げていたバッグは、
wBOIS」というオリジナルのブランドのものです。
 

  

 
「wBOIS」(ワールドボイス)
 
「bois」はフランス語で「森」。
お客様の声を聞く姿勢を大切にしたいという思いから、
英語の「声=voice」にかけています。
また「w」は「wood/world」を表し、
「w」と「bois」は糸を通した針で繋がっています。
 
 
バッグに用いられている素材は「黒柿」。
樹齢数百年を越える柿の古木のうち、
ごく稀に黒色の紋様が現れた柿を「黒柿」と呼びます。
黒柿の模様や色はどれひとつとして同じものはなく、
見る者を心を強く引きつける不思議な魅力を持っています。
 

   

 
穴水町にある「黒柿」の原木を切り出して平らな板状にし、
模様を浮かび上がらせます。
次に職人さんが
この貴重な黒柿を無駄にしないように細心の注意を払いながら、
特殊なカンナで0.14mmの薄さまでスライスします。
 
それから極薄の黒柿の木皮を、
しなやかで強度に富む不織布に特殊な接着剤で貼り合わせて、
熱したアイロンでかけて特殊加工を施します。
最後に素材と牛革の縫製作業へと進み、
丈夫で木の温もりを感じさせるバッグが完成しました。
 

  

 
「谷口」には他にも、
縫える木」を使った「ZAKKA」、
天然木をくり抜いて作った「MOKU」シリーズ、
匠が一つ一つ手造りした「KEYAKI」といった
オリジナルブランドがあります。

 
  • 住所:〒920-0027
       石川県金沢市駅西新町2-19-17
  • 電話:076-223-5451
 
 
 

2.まんまる夏火鉢(金沢桐工芸 岩本清商店)


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石川県では、江戸時代から木工製品や漆器が盛んに作られてきました。
「金沢桐工芸」は、白山麓で栽培された桐の原木を轆轤挽きした後、
十分に乾燥させ、表面を強い日で焼いて艶上げした上に
錆上げ蒔絵を施した石川県の「指定伝統工芸品」です。
桐の焼き肌と木地を彩る優美な蒔絵が特徴です。
 

 
桐はとても軽くて持ち運びがしやすく、
熱を外へ逃がさず、本体は熱くならないという特徴があるので、
火鉢として最適でした。
その桐火鉢に、
明治20年代に加賀蒔絵の巨匠・大垣昌訓(おおがきしょうくん)
蒔絵加飾の技法を創案したことにより、
全国唯一の蒔絵加飾の「桐工芸品」として、全国的に人気を集めました。
 
昭和33年頃にピークを迎え、
金沢には桐火鉢を作る桐工芸業者は数十件にもありましたが、
エネルギー革命により、石油・電気の暖房器具が普及したことにより
致命的な打撃を受けて、今では金沢に3軒が残るのみとなってしまいました。
 
 

 
岩本清商店」は、
石川県金沢市瓢箪町にて大正2(1913)年に創業した
石川県の指定伝統工芸品の「桐工芸」を製造販売する老舗です。
100年以上の歴史を持つ、桐火鉢を作り続けてきた「岩本清商店」でも、
四代目の岩本清史郎さんは自分の代で店を畳むことを考えていました。
 
でもそこに、東京でお勤めをしていた弟の岩本匡史さん、
お嬢さんの岩本歩弓さん、パートナーの内田健介さんが戻って来て、
桐工芸品を作り始めました。
 

 
初めは「ちょこっとトレー」とか、
新しい商品を中心に作っていましたが、
元々、火鉢を作っていたんだから、
まずは自分達で使ってみようということになって、
実際に火を入れてみたら、
その使い心地の良さに改めて火鉢の魅力に気付き、
再び火鉢を積極的に作ることになりました。
 
匡史さんが轆轤(ろくろ)を回して材料となる桐の木を削っていき、
キレイな丸い球体とすると、
次に内田さんが面の「焼入れ」を行います。
これにより毛羽立ちを無くなり表面が滑らかになるのだそうです。
更に内田さんは漆で図柄を描き、
最後は蒔絵職人の谷義治さんが
金銀を施す「高蒔絵」という技法で火鉢を仕上げます。
完成した火鉢の木目にはいくつもの星座が瞬いています。

テーブルの上において、 お湯を沸かすことが出来る
コンパクトな桐の火鉢です。
小さくて、とっても可愛いです!
 

 
火鉢から始まり、屏風や茶道具などの他、
軽くて使いやすい「ちょこっとトレー」など、
現代の暮らしに馴染む新しい商品も多く揃います。
オーダーメイドも可能です。

 
金沢桐工芸 岩本清商店
 

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