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イッピン「優美な伝統模様を守る〜神奈川の木製品〜」

<番組紹介>
木の木目が美しい小田原漆器に魅せられ、
兵庫から移住した女性職人。
特徴的な幾何学模様で知られる箱根寄木細工に、
現代的な味わいを持たせようと奮闘する
若手職人の奮闘。
神奈川県の小田原・箱根エリアは、
古くから箱根山系の豊富な木材を利用した
木製品づくりが行われてきた。
木の木目が美しい小田原漆器づくりの現場では、
今は亡き師匠の教えを胸に若手女性職人が奮闘中。
そして、さまざまな色合いの木を寄せ合わせて作る
箱根寄木細工では、伝統の幾何学模様をアレンジし、
現代の生活様式に受け入れられるデザインに挑む
若手職人のグループが躍動。
伝統のなかに、新しい可能性を探る情熱を見つめた。
 
 

もくのすけ(鈴木友子さん)


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鈴木友子さんは兵庫県出身。
木本来の木目を引き立てる
「小田原漆器」の素朴な魅力に取りつかれ、
京都伝統工芸専門学校木工芸科卒業後、
小田原漆器の轆轤技術を学ぶために
小田原に移住することを決意。
 
平成19(2007)年より、
小田原漆器の伝統工芸士に師事し、
木工轆轤技術を一から学びました。
そして、平成28(2016)年には、
小田原市箱根板橋に工房「もくのすけ」を構え、
独立しました。
 
鈴木さんを指導したのは4人の師匠達。
玉木一郎さん、大川和美さんら、
みんな60代、70代の大ベテラン。
研修中に、引退されたり、亡くなられたりしました。
現在、小田原の漆器組合に所属するのは4人だけです。
鈴木さんはその最年少です。
日々、器作りに邁進しています。
 
「小田原漆器」は分業が一般的ですが、
鈴木さんも木工轆轤が中心ですが、
漆も自分で塗れるようになりたいと思い、
轆轤による挽き物も、
器の仕上げである漆塗りも一貫して行っています。
 
鈴木さんは、
「ふだん使いできるもの・あると嬉しいもの・役に立つもの」をテーマに、
木目が美しく、丁寧で丈夫なつくりの
味噌汁椀や子供用のお椀、木皿やお弁当箱など、
シンプルで実用的な普段使いにおススメの漆器を製作されています。
 
 

雑木囃子 (ZOUKIBAYASHI)


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神奈川県箱根町は、日本有数の観光地です。
この地で江戸時代末に誕生した「箱根寄木細工」は、
様々な木材を組み合わせて模様を作る木工細工です。
長年、箱根を代表する工芸品として愛されてきた寄木細工ですが、
需要の落ち込みが激しく、
この40年余りで6割程落ち込んでいます。
 
そんな寄木細工を活性化させようと、
平成17(2005)年、
若手グループ「雑木囃子」が結成されました。
多種の木が混じって生えている林を意味する「雑木林」と
伝統芸能においてリズムや伴奏を意味する「囃子」に由来します。
「寄木細工」が
異なる木材の色や性質を組み合わせて作られるように、
「一人ではなく6人であるために聞こえてくるリズムがあって、
 そのリズムの中で一人一人の色や性質が見えてくる」
そんな関係で一緒に切磋琢磨していきたい、という意味が
込められています。
 
メンバーは、 石川裕貴さん、太田憲さん、露木清高さん、
小島裕平さん、篠田英治さん、清水勇太さん。
メンバーの個性が寄木細工の幅を広げています。
 
 

極小寄木(寄木工房 銀・篠田英治さん)

 
メンバーのリーダー、篠田英治さん(寄木工房 銀)は
7年前まで、オーソドックスな寄木細工を作っていました。
今、これまでになかった独自の作風を突き詰めています。
 

 
そして生まれたのが、「極小寄木」。
伝統的な模様を極限まで小さくし、
隙間なく敷き詰めた寄木細工です。
一つの模様の一辺がわずか4㎜。
一般的なタイプの寄木細工は1.6㎝程ですから、
従来の16分の1です。
色のコントラストを付けることで、
極小の模様を際立たせています。
 
「伝統模様を極小にすると、
 模様一つ一つが主張し過ぎず
 軽やかでモダンな印象が生まれる。
 伝統のものを否定するのではなく、
 新しいものを作りたい。」と
篠田さんはおっしゃっていました。
 
 
 

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