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イッピン「伝統の切れ味、鍛造の極み 高知の刃物」

<番組紹介>
高知の伝統の刃物を紹介する。
包丁、ナタ、植木バサミなどを
鍛冶たちが自由に形作ることで、
使いやすさと切れ味を両立させてきた技。
鉄と鋼に向き合う職人技を見る。
 
森林面積がおよそ8割を占める高知では、
江戸時代からナタやカマなどの刃物づくりが発達した。
その極意は、用途や使う人にあわせて
鋼や鉄を組み合わせて形作る「自由鍛造」だ。
刃の形や大きさはもちろん、
持ち手の形や幅にまで心遣いを尽くすこだわりぶり。
およそ500種類もの砥石を試し、
研ぎを極めた包丁鍛冶、
技術のすべてを後継者に伝えようとするナタ鍛冶、
ミリ単位の調整にこだわるハサミ鍛冶たちの
技と情熱とは。
 
<初回放送日:令和3(2021)年1月12日>
 
 

1.砥ぎ(迫田刃物 二代目・迫田剛さん)


www.youtube.com

 
迫田刃物」では、
昔から使われている鉄と鋼を使用した包丁づくりと
刃物の仕上げに欠かせない「砥ぎ」に徹底的にこだわった
工房です。
番組では、この「砥ぎ」の模様が紹介されました。
 
 
迫田刃物」の二代目となる剛さんは、
父が打った包丁を研ぐのが仕事。
いわゆる「切れ味」と「切れやすさ」とは別。
「切れ味」は鍛冶の技術が物を言い、
「切れやすさ」は研ぎの技術が左右するのだそうです。
 
鋼の質を損なわないように温度管理を徹底しながら
鍛造した刃を数十もの工程を経て磨き、
最後は手砥ぎで仕上げていきます。
 
まず、刃物の歪みを整え、
水研砥石を始め、グライダーで粗研ぎをし、
刃口の厚みを調整し、磨き、削り、研ぎと、
約30工程かけて仕上げていきます。
そして最後は、
全国的にも珍しい天然砥石で丹念に砥いで仕上げます。
 
 
艶やかに光り、美しいフォルム。
切れ味はとても滑らかで、
「よく切れて料理が楽しい」と評判です。
「本当に良い包丁には、鍛造と同じ位砥ぎの技術が不可欠」と、
職人歴30年が経った今も、更に高い技術と知識を求めて、
県外の専門店や親方のもとに通っています。
 

www.sakodahamono.online

 
 
 

2.「鉈」(松本刃物 三代目・松本 孝さん)

 
昭和4(1929)年に創業した「松本刃物」は、
伐採、狩猟、アウトドア用の鉈(なた)やナイフに特化した
工房です。
現在は、「伝統工芸士」の認定を受けた二代目の志津夫さんと
三代目のさんが
土佐打刃物の伝統技術である、
寸法と形だけの注文書から製造する「自由鍛造」を継承し、
購入者の希望に応じて、既存の形に捕われない製品造りをしています。
その商品は、切れ味は勿論のこと、鍛冶屋としての評判も高く、
海外からの問い合わせや購入もあるほどです。
 
初代の正重さんの時代は、
日常道具として使う刃物を注文に応じて作っており、
中でも鎌の注文が多かったのですが、
近年は林業や農業の形態が変化しているので、
レジャーで使うような趣味的なものが多くなりました。
その典型が狩猟や山仕事などで活躍する、
和式ナイフの「剣鉈」(けんなた)です。

 
松本孝さんは、父・志津夫に弟子入り。
沸付けや焼入れ、焼き戻し、
その形状の仕上げには優れた技術を持っており、
丹念に仕上げられた刃物は、
麗しい輝きを放つ端正なフォルムと鋭い切れ味がすばらしいと
高い評判を得ています。
更に、令和元(2019)年度に開塾した後継者施設「鍛冶屋創生塾」において
鉈部門の講師を務めています。
 
  • 住所:〒783-0063
       高知県南国市植田1028
 
 
 

3.鋏鍛冶(「笹岡鋏製作所」二代目・笹岡 悟さん)

笹岡鋏製作所」は、
伝統的刃物産地である土佐の高知県では、
唯一の鋏鍛冶屋です。
大阪・堺で鋏職人として修業した笹岡英二さんが、
30余年前にその技術を土佐に持ち帰り、
昭和45(1970)年に創業しました。
 
 
「生花鋏」を始め、「刈込鋏」や「植木鋏」など、
鉄に鋼を付け、鍛えて研いで仕上げるまで十数にのぼる工程を
土佐打刃物の特徴である自由鍛造という技術で、
一貫して昔ながらの手仕事で行っています。
 

 
開きは軽く、安定した握りこみ、切れ味鮮やかな「生け花鋏」。
ほとんどは京都に出荷され、
池坊の全国のお弟子さん達に使用されています。
 

 
「刈込鋏」や「植木鋏」は造園家や植木職人に口コミで広がり、
全国から注文が入ってくるのだそうです。
 
自由鍛造の技術を活かして、オーダーメイドにも丁寧に対応。
長さや形状など細かい注文に応えた商品も製造しています。
 

 
笹岡 悟さんは、父親の姿に憧れ、この仕事に就いたという二代目。
大学卒業後、一旦、サラリーマンになったものの
「やっぱり、昔から見ていたオヤジの仕事をやりたくなった」と
父・英二さんに頼み込み、2度目でやっと弟子入りを許されました。
日々の仕事に邁進し、先代の技術をしっかりと継ぎながらも、
二代目ならではの発想で新たな取り組みも行っていて、
土佐打刃物を「次世代に残る仕事にしていきたい」と、
様々な方法で魅力を発信中です。
  • 住所:〒785-0051
       高知県吾川郡いの町池ノ内85-7
  • 電話:088-892-1450
 
 
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