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イッピン「スマートに便利にいつだって庶民的・長崎 波佐見焼」

<番組紹介>
今、大人気の長崎・波佐見焼。
江戸時代から続くスマートで便利な“庶民の器”だ。
思わず御飯を山盛りにしたくなる茶わんは
“くらわんか碗(わん)”という波佐見焼の伝統を象徴する器を
現代によみがえらせたもの。
また、女性に人気の美しい手彫りのカップは、
カンナで極限まで薄く削っているため軽くて触り心地が抜群。
さらに今、全国で注目されるインテリアのようなカラフル・マグカップを女優・内山理名が徹底取材。
<初回放送日:平成28年(2016)年4月25日>
 
 

1.くらわんか椀

 
セレクトショップ「katakana 自由が丘店」
 
東京の自由が丘にある
「日本のカッコイイを集めたお土産屋さん」という
コンセプトの雑貨屋さん「katakana 自由が丘店」の店内には、
オーナーが自ら全国で行われる見本市や、
個人の作家さんが多く出展する
手作り市やクラフトフェアに足を運んで、
日本の良いものだけを見極め仕入れて来た商品が
所狭しと並んでいます。
 
そんな中、今一番売れているのは、
長崎県の伝統工芸品「波佐見焼」の
「くらわんか椀」という「ごはん茶碗」です。
手に馴染む大きさで使いやすく、
また大きめの高台のため安定しています。
 
katakana 自由が丘店
  • 住所:〒158-0083
       東京都世田谷区奥沢5-20-21
       第一ワチビル1F
  • 電話:03-5731-0919
  • オンラインストア
 
 
和山窯(廣田和樹さん)

 
波佐見町には90の窯元があります。
その中でも、昭和42年創業「和山窯(わざんよう)は、
カジュアルな食器を中心に、様々な人気シリーズを持つ窯元さんです。
 
 <フラワーパレード>

 

 
 <レリーフフラワーパレード>

 

 
 <藍駒>

 

 
 <ワビカップ>

 

 
 <KKカップ>

 

 
 <プリーツ>

 

 
工房の隣にはショールームとアウトレットストアもあり、
お買い物することも出来ます。
 

 
 
和山窯」は、毎日の食卓が楽しくなるような、
そして食事によって人の「和」ができ、
人々が「和む」ような器づくりを目指され、
日々器作りをされています。
その「和山窯」の2代目・廣田和樹さんに
「くらわんか椀」を紹介していただきました。
 

 
「くらわんか碗」は、
江戸時代、摂津の淀川沿いの船に小舟で近付いて
「餅くらわんか、酒くらわんか」と言って
船の上から食べ物を売る行商人の言葉から名付けられました。
 

 
江戸時代の「くらわんか碗」は、
丈夫で壊れにくい、厚手で素朴な製品でしたが、
現代の「くらわんか椀」は形はそのままにし、
厚みを2.6mmと昔より1mm削って軽量化したことにより、
より使い勝手を良くしているそうです。
 

 
  • 住所:〒859-3701
       長崎県東彼杵郡波佐見町
       折敷瀬郷2200−1
  • 電話:0956-85-2471
  • オンラインショップ
 
 
生地職人・佐藤常敏さん


www.youtube.com

☝ 有田焼・波佐見焼の産地商社「キハラ」さんの動画です
 
 
「波佐見焼」は、町が一つのチームとなって
「分業制」で製作されています。
生地を形作る型を担うのが「型屋」、
素焼き前の生地を作るのが「生地屋」、
絵付けから焼成までを行うのが「窯元」です。
 
番組では、「くらわんか椀」の素焼き前の生地を作る
生地職人の佐藤常敏さんを訪ね、
仕事に欠かせない「ローラーマシン」を見せていただきました。
 
「ダボ」と呼ばれる台の上に置かれた
お椀の外形をした「石膏型」の中に粘土を入れたら、
100度前後に電気で熱された
丸い円形の鉛製の「コテ(ローラー)」が挿入され、
「コテ」と「ダボ」がともに回転しながら、圧延成形するのが
「ローラーマシン」による成形法です。
 
主に飯碗や湯呑など回転体の成形に適しており、
高い精度の生地を製造することが出来るだけでなく、
量産性に優れているため、
一個当たりの単価を下げるメリットがあります。
 
 
佐藤さんが粘土を「ローラーマシン」にセットすると、
5秒程度でお椀の形になります。
8時間で3000個程のお椀が出来上がるそうです。
 
佐藤さんは、1000種類もの「こて」を使い分け、
更に理想の厚みにするために、
その日の粘土の状態を見極めて、
機械の温度を0.1度単位で調整を行います。
湿度の高い梅雨は土を乾燥させる機械の温度を高くしたり、
逆に乾燥している冬場は乾燥の温度を低くしたりと、
季節に応じた工夫が必要となります。
また、回転速度や機械を下降させる速度なども
変化させなければいけません。
「コテ」が上に上がったら
すばやく生地がくっついた型を取り出し、
4秒で次の「コテ」が降りる間に
粘土を入れた状態の次の型と入れ替えます。
「ローラーマシン」を使いこなすには、10年かかるそうです。
 
 
成形直後は、生地は型にくっついた状態です。
型にくっついた生地は、
乾燥した空間へコンベアーで移動させます。
乾燥を終えた生地は型から取り外され、
指の感覚を頼りに縁の部分を滑らかにして表面を仕上げたら
生地が完成です。
 
次は「絵付け」ですが、
絵付けは徹底した分業で行われていて、
色によって職人が異なります。
 
徹底した「分業制」は、
各職人の技を磨き、質の高い製品を量産するためで、
機械では出せない手作業の温もりを出すためでもあるのです。
 
最後に窯で焼き、完成です。
 
 
 

2.一真彫り(一真窯:真崎善太さん)

 
モダンなデザインで人気の波佐見焼。
その中でも「一真窯」は
白磁に手彫りを施したハイセンスな器で有名です。
光にかざすと模様が透けて見えるそのシリーズは、
特に女性ファンが多いです。
 

 
作るのは、真崎善太さん。
焼き物の生地製造に携わった後、
昭和63(1988)年に父の代で一旦閉じた窯を復活しました。
 

 
真崎さんの器の特徴は、
昔からある30種類ものカンナを自在に使い分け、
ひとつひとつ生地を手彫りする「しのぎ」の技。
現在では「一真窯」だけが取り入れている伝統的な技法です。
 

 
一番薄いところでは厚さが1.8㎜というところまで彫ってあるため、
光に当てれば透けて見えるほどです。
まるでガラス器のような繊細な姿に、匠の技を感じます。
 

 
清潔感はあるものの冷たい印象になりがちな白磁に、
手彫りで温かみをプラスさせた独創性溢れる器は、
和洋問わずどんな料理にも馴染み、
テーブルを美しく演出してくれます。
 

 
真崎さんは生地職人が成型した素焼き前の生地の段階の器を仕入れ、
真崎さんは3回削ることで厚さを調整し、
面取り、ライン彫り、石垣彫り、角型削り、波型削りなど多彩な技を駆使し、
それぞれに個性的な柄が光る、一点ものの器に仕上げていきます。
 

 
1日150の器を作りますが、その値段は1000円台。
自らの作品に、決して高い値段を付ける事はしません。
そこには、江戸時代から庶民の器として、
人々の日常に小さな幸せを提供してきたという
波佐見焼の陶工としてのこだわりがあるのです。
真崎さんは手の届く値段で何百年やってきた感性が残っていると
おっしゃっていました。
 

 
 
 
 

3.HASAMI(焼き物問屋 マルヒロ)

 
「マルヒロ」さんは、
「波佐見焼」を一躍全国区にしたブランド「HASAMI」を運営する
焼き物問屋です。
 
「波佐見焼」は生産工程毎に会社が分かれる
「分業制」を採っています。
「マルヒロ」さんは、
デザインした商品を各工程の職人さんへお願いする
「プロデューサー」のような役割と、
出来上がった商品を流通させる「商社」の役割を担っています。

 

 
 
波佐見は以前は、「有田焼」の下請けのような存在でしたが、
産地偽装問題以降「波佐見焼」として歩み始めると
有田の下請け的存在だったが故に代表的な商品がなく、
産地生産額は減少し、平成23(2011)年頃にはバブル期の1/4程度まで
落ち込んでいきました。
 
今や押しも押されぬ人気を誇る「マルヒロ」さんも同じで、
平成20(2008)年頃には倒産の危機を迎えていたそうです。
 
そんな中、3代目・馬場匡平(きょうへい)さんは
マルヒロ現社長の父親から「戻って来て欲しい」と言われて帰郷。
家業を継ぐことになりましたが、
その切羽詰った経営状況に焦りを感じます。
現状打破するため、社長と馬場さんは
「日本の工芸を元気にする!」というビジョンのもと、
数々の企業の経営改善を実現していた「中川政七商店」の
コンサルタントを受けます。
 

 
中川政七商店」からの提案は、新ブランドを作ること。
そこから新ブランドの立ち上げるための
試行錯誤が始まりました。
 

 
一番最初に手掛けたアイテムは「ブロックマグ」です。
デザインについて勉強した経験のない馬場さんは
マグカップを買い集め、徹底的に研究し、
見様見真似で最初の図面を描きました。
 
器作りを依頼されたのは
筒山太一窯(つつやたいちがま)の福田友和さんです。
 

 
  • 住所:〒859-3712
       長崎県東彼杵郡波佐見町中尾郷1018
  • 電話:0956-85-4912
  • オンラインストア
 
 
微調整を繰り返した結果、
スタッキング可能で、持ち手も握りやすい形に辿り着きました。
 
また、釉薬で勝負したいという馬場さんの想いから、
波佐見焼にない色使いを求められ、馬場さんにはダメ出しされたそうです。
福田さんは釉薬作りから始めて、3ヶ月間試行錯誤を繰り返しました。
そうして生まれたのが「HASAMI」です。
 

 
HASAMI」は、
50~60年代のアメリカの鄙びたローサイドのカフェで使われていた
大衆食器の様なイメージの機能的で洗いやすく、
少々雑に扱っても大丈夫な実用的なデザインになっています。
 

 
また、これまでの波佐見焼、更には日本の食器になかったような、
カラフルなマグカップはカラーバリエーションも豊富。
 

 
スタッキング可能ですから、
TOYブロックのように色を組み合わせて楽しむことも出来ます。
HASAMI」シリーズはヒット商品となり、
全国100以上の店で取り扱われています。
 

 
以来、代表的な「HASAMI」シリーズを始めとし、
「BARBAR」「ものはら」「the place」と4つのブランドを展開し、
「波佐見焼」の名前を世に知らしめてきました。
 


 
 
また「HASAMI」のマグカップは、
様々な出会いをもたらしました。
数々のクリエイターとのコラボレーションも
積極的に展開。
日本全国に多くのファンがいます。
 

 
  • 住所:〒844-0014
       佐賀県西松浦郡有田町戸矢乙775-7
  • 電話:0955-42-2777
  • オンラインストア
 

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