MENU

イッピン「“厄介者”を町の宝へ〜岡山 倉敷 真備町 竹製品〜」

<番組紹介>
洞爺湖サミットで脚光を浴びた竹の椅子。
職人たちが3年がかりで見出した、
絶妙なしなりと丈夫さを兼ね備えている。
海外でも注目を集める
イッピンに込められた職人の思い。
真備町を代表する産業だった筍栽培は、
外国産の輸入や後継者不足の影響で衰退。
管理に困っていた竹の新しい使い道を、
地元の企業が竹製の家具づくりで活用しはじめた。
テーブル、椅子、鏡のフレームやボウルまで、
特殊な加工技術から家具や雑貨に生まれかわる。
Uターンした若者は竹から採取する水で化粧水を開発。
おうち時間が増える今、
浄化作用があるといわれる竹炭づくりなど、
竹を生かした住民たちの取り組みを見つめる。
 
<参考>倉敷市真備町

 
倉敷市真備町(まびちょう)は、
奈良時代に遣唐使・政治家・右大臣として活躍した
「吉備真備」(きびのまきび)が生まれたことに因んで名付けられた
倉敷市の北西部にある町です。
真備町のあちこちには、真備公ゆかりの史跡があります。
 

 
また、戦争末期に横溝正史が疎開した地であり、
戦後も暫くここに居留し、
名探偵・金田一耕助が生まれた町でもあります。
横溝の寓居は、現在一般公開されています。
 

 

www.kurashiki-tabi.jp

そんな真備町は、「竹のまち」としても知られ、
岡山県下最大の生産量を誇る「筍の産地」です。
約190年前に真備町箭田に住む妹尾嘉吉が
吉備郡下倉村(現在の総社市昭和町)から譲り受け持ち帰った、
3本程の孟宗竹を植えたことに始まったと言われています。
 


www.youtube.com

 
真備の土は、極上の筍を育てるのに
最も適した粘土質の赤土であったことから、
大型で、白くて柔らかく
エグ味が少ない上質な筍が出来たことから、
多くの人が栽培し始めました。
 
 
上質な筍を育てるためには、
竹林の手入れはとても大切なことです。
「竹」は数年で成長し、植林の必要ありませんが、
だからと言って、
放っておけば勝手に筍が生えてくる訳ではありません。
丁寧に雑草を取って土を起こし、
藪の一面に肥料となる藁を引いて土を被せたり、
新しい竹を中心に、古い竹を切ってスペースを作ったり、
伸び過ぎた枝を払って、
竹林の新陳代謝を良くしてやらなくてはなりません。
 

 
しかし近年、管理する人の高齢化や
外国産のタケノコの輸入によって、
竹林の整備が不十分となり、竹林の荒廃が課題となっています。
 
ブドウも有名です。
 
 

1.TEORI(テオリ)


www.youtube.com

 
そんな真備地区から国内外に、
竹を用いた家具や雑貨などを発信しているのが
TEORI(テオリ)」です。
 
TEORI(テオリ)」では、平成元(1989)年の創業当初は、
木材を使った家具部品の加工を行っていましたが、
中山正明社長は、
竹を素材として有効活用出来れば、
地域の方たちのためにもなり、
ここでしか出来ないオンリーワンの製品を作れると考え、
岡山にゆかりのある6人のデザイナーと共に
「竹集成材プロジェクト」を立ち上げました。
 
竹集成材にまつわる様々な課題に挑戦し、
その素材の特性に時間をかけて向き合い、
平成10(1998)年に孟宗竹の集成材作製に成功。
以来、独自性・機能性・コスト・美しさのバランスを備えた
TEORI(テオリ)」のインテリア雑貨や家具を
開発・製造・販売しています。
 

 
TEORI(テオリ)」で使っている竹は、
自社の持つ竹林の竹や真備町周辺地域から買い取った竹です。
それを自社工場で全ての工程を行っています。
 

 
竹は硬質で比重が高く、曲げ・圧縮強度に優れた素材ですが、
中が空洞になっているため、
他の木材のように製材してそのまま使うということが出来ません。
また、木目の方向によって大きく強度が異なるため、
他の木材以上に割れや反りに注意を払う必要があります。
その竹を均等に割り、防虫処理として煮沸や炭化処理し、
幅を揃えて、何枚も重ね合わせてひとつの木材にします。
 

加工前の段階までに様々な工程を経る必要がありますが、
複数枚を接着することで大きな素材を形成出来るのが
「竹集成材」の強みです。
竹の「しなやかさ」「木目の美しさ」「強靭さ」といった
特徴もあります。
 


www.youtube.com

 
TEORI(テオリ)」の名前の由来は、
ドイツ語で「基本・原点・初心」です。
「自分におごらず原点を大切に」をテーマに、
人と環境に優しい、年月を経て味わい深くなる素材の良さを、
現代の生活に合う美しい家具や雑貨にしています。
平成18(2006)年から2年連続でグッドデザイン賞を受賞した他、
平成19(2007)年には、厳しい審査を見事通過して、
パリの国際見本市「メゾン・エ・オブジェ」に初出展。
平成20(2008)年の洞爺湖サミットでは、
ファーストレディ用の椅子にも選ばれました。

 
TENSION(テンション)

竹集成材の剛性と弾性を生かし、
シャープな見目と柔らかな座り心地を融合させた
ダイニングチェアです。
平成19(2007)年に「グッドデザイン賞」を受賞しています。
 
CURVE(カーブ)

「TEOR」オリジナルの「3次元加工(曲面加工)」で、
しなやかなフォルムに仕上げられたダイニングチェアです。
美しさと機能性を併せ持ちます。
 
zero(ゼロ)

竹集成材の曲げ特性を活かした壁掛けミラーです。
横から見ると竹の縁が鏡に映りこみ、
印象的なデザインです。
 
NUTS(ナッツ)

竹集成材ならではの、小口の模様を生かしたボウルです。
表面を彩る、若葉色や墨色といった日本の伝統色が印象的。
平成18(2006)年に「グッドデザイン賞」を受賞しています。
 
竹表皮塗料

竹表皮塗料は、
倉敷の孟宗竹から生まれた自然塗料です。
抗菌・殺菌性、撥水・防水性の効果があり、
自然原料にこだわり作られたオイルなので、
病院家具や子供家具、食品容器などに
安心して使用出来るオイルです。
素材本来の質感を活かし、
使い込むほどに風合いが増していく仕上がりです。
 
≪参考≫ イッピンコレクション「竹製品」

omotedana.hatenablog.com

 
  • 住所:〒710-1302
       岡山県倉敷市真備町服部1807番地
  • 電話:086-698-4526
 
 

2.竹から採取した水分で作った化粧水「EMU(エミュ)」

 
平成30(2018)年、真備町は「西日本豪雨」で
大変な水害に見舞われました。
復興のシンボルとして、
特産の竹から採取される「竹水」を使った化粧水が
注目を集めています。
 
開発に携わったのは、
同地区の地域おこし協力隊員の亀鷹皓平さんです。
亀鷹さんは地元の被災を機に帰郷し、
令和元(2019)年8月からは協力隊員として、
「真備船穂商工会」で被災事業者の支援を始めました。
 
亀鷹さんが「竹水」と出会ったのは、
隊員になって数カ月経った頃です。
飲料として振る舞われ、
スポーツドリンクのような甘みのある味わいに驚きました。
 
「竹水」とは、一年に一度、筍が若竹へと成長する
5月上旬から6月上旬のわずか20日間しか採取出来ない
貴重な水のことです。
保湿性に富み、アミノ酸や糖類、
更には抗酸化作用のあるポリフェノールが含まれる
生命の神秘とも言える、竹林からの贈り物の水です。
 
この効能に着目し、
平成20(2008)年に化粧品として商品化されましたが、
平成29(2017)年に発売中止になりました。
 
亀鷹さんは4年振りの再発売に向け、
令和2(2020)年4月に製造販売会社を設立。
岡山県立大と商品デザインなどを協議して、
竹水の化粧品特許を取得している熊本県のメーカーにも
直接足を運んで、研究を重ねました。
「真備イコール被災」というイメージを、
「竹水」で払拭したいと意気込みを語っていらっしゃいました。
 
筍の収穫期が終わると、「竹水」のシーズンを迎えます。
若竹を1.5m程の所でで切り落とします。
竹の中の節を抜き、切り口にポリ袋をかけて
幅広の輪ゴムで止めておきます。
この状態にして一晩おいておくと、
翌朝、竹の中には「竹水」が溜まっています。
保湿効果の高いアミノ酸を多く含む「天然の化粧水」です。
 
EMU(エミュ)」は、
Emotion(感情)の意味から名付けた商品です。
日々明るく自分らしく過ごしている女性が、
昨日よりもほんの少し自分を好きになるために生まれた
スキンケアブランドです。
国産の竹から採取した厳選されたアミノ酸を含んだ
「竹水」を使用した、
保湿力抜群の自然派ミストで乳液不要の化粧水です。
メイクの上からでも使え、
1プッシュ5秒で簡単に保湿出来ます!
 

camp-fire.jp

 
 

3.真備竹炭

 
竹の活用法として「竹炭」の製作が考案され、
平成11(1999)年11月に、
「真備町竹炭生産販売組合」が設立されました。
「真備町竹炭生産販売組合」が製造する「真備竹炭」は、
棒状や細かく砕いた状態にして様々な製品となり、
その品質の高さには定評があります。
 

 
伐採した孟宗竹は
数週間ほど屋外で乾燥させた後、窯で焼きます。
密閉した巨大な「マービー窯」で3日3晩、
組合員が交代制で火の番をしながら、
800℃の高温を目安に焼成し続けます。
4日目の朝から送風を始め、その後自然冷却すると
「真備竹炭」が出来上がります。
 

 
「真備竹炭」は表面積が大きく、
叩くと備長炭に負けない金属的な音がします。
また、窯を焚く際に出る煙が
煙突をつたう時に出来た「竹酢原液」も
消臭や消毒に効果があるとして、観光客らに人気です。
 

f:id:linderabella:20210513110253j:plain