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イッピン「心地よい暮らしの道具 滋賀・信楽焼」

<番組紹介>
洗練されたデザインと淡く美しい色が目をひく食器。
鎌倉時代から続く、滋賀の「信楽焼」の新しい器だ。
しかも軽くて薄い。
3ミリの“究極の薄さ”を実現するため、
土を知り尽くした職人が生み出したワザとは?
さらに、おしゃれでしかも食材が焦げつきにくい
陶製フライパンや、
癒やしの音を奏でる室内用水琴窟(すいきんくつ)も紹介。
伝統の技を駆使し、時代に合わせた
新しい信楽焼を生み出す職人たちに
モデルの生方ななえが迫る。
 
<初回放送日:平成28(2016)年5月31日>
 
 

1.KIKOFキコフ(丸滋製陶)


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まず、東京白金にあるセレクトショップ「OUR FAVORITE」から
「琵琶湖は大きな器である」というコンセプトで作られたという
信楽焼の「KIKOF(キコフ)」の八角形のマグやお皿が
紹介されました。
 
まるで紙を折って組み上げられたような、
曲線を排したデザインをしています。
用意された4色(青、白、ピンク、グレー)の食器はどれも、
淡く優しい色合いをしています。
琵琶湖の移ろう湖面を表現しているのだそうです。
青は「朝」、白は「昼」、ピンクは「夕方」、
そしてグレーは「夜」だそうです。
 

kikof.jp

 
作ったのは、明治10年創業「丸滋製陶」の
5代目当主・今井智一さんです。
 
 
丸滋製陶」さんは、創業時の「火鉢」に始まり、
エクステリアやインテリアへとその創作の範囲を広げてきました。
平成17(2005)年頃からは「手洗い鉢」を主力に作っています。
 

 
 
食器は「KIKOF(キコフ)」が初めてです。
 
「信楽焼は大きなものに適していて、
 厚めで大きく作るのが特徴ですが、
 敢えて、同じ土で紙のような焼き物を作った」と
今井さんはおっしゃいます。
 
KIKOF(キコフ)」制作に当たっては、
これまでの「ロクロ成形」ではなくて、
「鋳込み成形」により八角形の器作りをしています。
 
「鋳込み成形」は、
石膏型に「泥漿」(でいしょう)と呼ばれる泥を注入して成形する
伝統的な製法です。
 
石膏が水分を吸って外側の「泥漿」(でいしょう)が固まり、
器になるのだそうです。
石膏型によって水分の吸収力が違うので、
型の状態を把握し、ろくろを回しながらスプレーを噴霧しますが、
どこでかけるを止めるのかを見極めるのがポイントだそうです。
 
表面の粘土が固まったら、型から外して乾燥させます。
素焼きして釉薬を塗布し、高温で本焼成したら出来上がりです。
 
 
平成21(2009)年、
東京を中心に様々なクリエイションを行う「KIGI」と
滋賀県の職人達が集まって「マザーレイクプロダクツ」が
発足しました。
日本の文化の中心だった京都の隣に位置する滋賀県には、
京都の城、寺、神社などで飾ったりする品物や使うための道具類を
生産する工場や職人さんが数多く存在しています。
ところが近代化が進み、製造業に携わる工場や職人さんの後継者が
年々減ってきています。
このような背景から、
現代のライフスタイルにあったものづくりをしていこうと、
立命館大学の佐藤典司先生を中心に発足したのが
「マザーレイクプロダクツ」です。
 
KIKOF(キコフ)」はその第一弾。
平成27(2015)年の東京アートディレクターズクラブ(ADC)の
「ADCグランプリ」を受賞しました。
 
  • 住所:〒108-0072
       東京都港区白金5丁目12−21
  • 電話:03-6677-0575
 
 
 

2.陶製フライパン(清岡幸道さん)


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清岡さんは大阪芸術大学で陶芸を学んだ後、
滋賀県立陶芸の森研修生を経て独立。
信楽に拠点を置き、地元の土と釉薬を用いて
器を制作していらっしゃいます。
 
清岡さんの作った「陶器のフライパン」は
一見、鉄のようですがこれも「信楽焼」。
清岡さんが自分用につくったフライパンでしたが、
評判となったため製品化することにしたそうです。
 
人気の秘密は実用的なところ。
耐火性に富んだ信楽地方の土で作られているため、
直火にもオーブンにも使用することが出来ます。
例えばハンバーグなどのように、
直火で焼き目を付けて、
そのままオーブンでじっくり焼き上げることも出来ます。
焦げ付きにくいところも魅力ですね。
 
またシンプルで可愛らしいフォルムのため、
目玉焼きやソーセージ、お肉のソテーやグラタンなど、
お好きなものをアツアツで食卓にそのまま出すことも出来ます。
 
 
清岡さんが追求したのは使いやすさだそうです。
 
清岡さんはろくろを使って作ります。
まず土を伸ばし、縁を立ち上げたら、
「だんご」という道具を使って底の厚みを均一にします。
これにより、食材にムラなく熱が伝わるようになります。
 
「持ち手」と「本体」にそれぞれ溝を作ったら接着し、
更に隙間を土で埋めて補強します。
「持ち手」の部分は固いもので支えていると曲がってしまうため
円錐形に固めた土に置きます。
 
1200度で焼き上げると、表面はザラっとしますが、
この微妙な凹凸により焦げ付きにくくなるのだそうです。
そして使い込むと、このザラザラした細かい角が徐々に馴染んで
鈍い光沢が行き渡り、より深みのある魅力的な表情へと
変化するのだそうです。
 
現代のライフスタイルに馴染む実用的な器でありながら、
日本らしい侘びの美意識を強く感じさせてくれる逸品です。
 
 
 

3.水琴窟(壷八)


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信楽焼の窯元「壷八」の三代目・奥田大器さんが作る
癒やしの音を奏でる「室内用水琴窟」が紹介されました。
 
 
壷八
  • 住所:〒529-1851
       滋賀県甲賀市信楽町長野1330-2
  • 電話:0748-82-0186
 

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