MENU

イッピン選 SP「伝統の技が未来を照らす」

<番組紹介>
大量生産・大量消費で廃棄物を吐き出す現代社会。
捨てられる運命にあったものを
別の製品によみがえらせる試みを紹介。
そこには、熟練の職人たちの技が生かされていた。
年間6000万本以上が売れるビニール傘。
廃棄される量もばく大だ。
そこで、ビニール傘からおしゃれなバッグを作った
クリエイターがいた。
東京下町のカバン職人の協力を得て、
製品ができるまでをたどる。
また、ワインを消費するたびに、捨てられるコルク栓。
実は、使用済みのコルクを再加工する技術が
明治・大正のころの日本にはあった。
その技術を復活させ製品化するまでを描く。
過去に「イッピン」で紹介した事例も紹介。
 
 

1.ビニール傘から作られたバッグ(PLASTICITY


www.youtube.com

 
日本では1年間で消費されるビニール傘。
その大多数の8000万本の傘が廃棄されていると言われています。
分解のしにくさからリサイクルが難しく、
多くが埋め立て処理や焼却処分されていると言います。
 

PLASTICITY」では、
「PLASTIC」 の問題を抱える​「CITY」 にフォーカスを当て、
今後解決されるべき環境問題が
近い将来に解決されるという思いを込めて
「10年後になくなるべきブランド」を宣言しています。
 

 
日本各地で回収したビニール傘は、
大きさや厚み、波打ちなど、素材はそれぞれ異なります。
このような扱いの難しい素材を人の手で選別し、
骨組み部分を解体・洗浄した後、
国内の高い技術力のある職人の手で
傘の形のまま数枚を重ねて特殊な圧着加工を行います。
それにより、強度を増した「PLASTICITY」独自の素材に
生まれ変わります。
 

 
透明な窓ガラスに流れる雨のような表情をしていることから
Glass rain」と呼んでいます。
この「Glass rain」を裁断・縫製し、
様々な「PLASTICITY製品」が生み出されていきます。
雨の日に使う素材だから、当然雨や汚れに強い「Glass rain」。
状態の悪い地面や雨の日も使い方を気にせずに
使うことが出来ます。
 

モンドデザイン

  • 住所:〒107-0062
       東京都港区南青山5-17-12
       リオン南青山3階
  • 電話:03-6419-7361
 
 

2.剣山で気泡を入れて作る琉球ガラス(奥原硝子製造所


www.youtube.com

 
独特な色や気泡の魅力を持つ「琉球ガラス」は、
廃瓶などの再生ガラスを使って作られています。
 
通常のガラス成形では、気泡が入ると失敗とされますが、
再生ガラスを使う場合、気泡を消すことは出来ません。
それならば、この気泡も美しさとして生かしていこうと、
細かな泡を敢えて残すようになったことが、人気となりました。
 
剣山などの針を使ってガラスの表面に窪みをつけて、
その上に更にガラスを巻きつけることで
意図的に気泡を作ることもあるそうです。
 

 
琉球でのガラス製造は明治時代に始まっていましたが、
原料の枯渇や戦争の影響で、
戦前のガラス工房は全てなくなってしまいました。
現在残っている琉球ガラスは、第二次大戦後に発展したものです。
再生ガラスを使うのは、戦後の資源不足から生まれたやり方でした。
 

 
現在では、廃瓶の減少や製造時の扱いが難しいことから
作り手は減ってしまいましたが、
今もなお、昔ながらの原料で
琉球ガラスを作り続ける工房があります。
 

 
 
「ライトラムネ色」と呼ばれる淡いブルーグリーンは
窓ガラスから生まれています。
 
懐かしさを感じる柔らかな黄色が印象的なグラスは、
茶色い一升瓶と窓ガラスを原料として作られました。
 

奥原硝子製造所

  • 住所:〒900-0013
       沖縄県那覇市牧志3丁目2-10
       てんぶす那覇2F
  • 電話:098-868-7866
 
 

3.ワインのコルク栓で作るスツール(TOKYO CORK PROJECT


www.youtube.com

 
日本では、年間でボトル約1億5000万本分ものワインが
楽しまれています。
そのうちのおよそ3分の1は、東京で消費されています。
 

 
そのワインボトルの栓に、広く使われているのが「コルク」。
軽くて温かいコルクは、
ポルトガルやスペインを主な原産国とする天然素材です。
地中海沿岸の気候を好む性質ですから、
日本では育つことが出来ず、全てを輸入に頼っています。
コルク栓を捨てることなく、収集し、再資源化する・・・、
ワインとともにコルクを大量に消費する東京を、
「再生資源の宝庫」と捉え直すことから始まった
プロジェクトです。
 
再生コルクを作る為に、
折れたワインスクリューの欠片が混入しないように
金属探知機を導入しているそうです。
 
 
 
なお、TOKYO CORK PROJECTを主導する
自由テーマにおいて、大賞を受賞しました。
 

TOKYO CORK PROJECT

  • 住所:〒136-0082
       東京都江東区新木場1-15-10
       デザインアートセンター2F
  • 電話:03-6447-1596
 
 

4.あけびの籠(中川原信一さん)


www.youtube.com

 
プラスチック製の籠が普及し、
山で採れる植物から作る籠の需要は減り、作り手も減ってきました。
そのような中、秋田県横手市金沢に住む中川原信一さんは、
あけびの籠を作り続けています。
その高い技術により、
平成15(2003)年全国網み組み工芸展で大賞を受賞するなど
民芸関係の数々の賞を受賞されています。
 
 

5.湯沢産の漆(秋田・川連塗 寿次郎

 
800年の歴史を持つ湯沢市の「川連漆器」。
明治初期に創業した川連塗の工房「寿次郎」では、
職人でもなく作家でもないただの「つくり手」が、
原材料全てに天然素材を用い、全ての工程を手作業で行っています。
そして「寿次郎」の漆器は、
代々変わらず、同じ型の定番のものですから、
気に入ったものを少しずつ買い足していくことが可能です。
長く使ううちに、割れ、欠け、剥げなどが生じた場合でも、
新品と同じ状態にお直ししていただくことも出来ます。
 

寿次郎さんでは、
「自分で掻いた漆でお椀を塗ってみたい」という衝動に駆られて、
地元湯沢産の漆を集め始めました。
まだ涼しい早朝、地元にある漆の木の栽培地へ出かけ、
毎日少しずつ掻いて漆を集め、
この湯沢産の漆だけを使って塗り仕上げたのが、
「湯沢産漆の器」です。
ほのかに赤みの差す独特の光沢を放っています。
 

 
通常の漆製品は、
砥粉・糊、珪藻土を炭化した地ノ粉などを使って研磨しますが、
「湯沢産漆の器」はこういったものを使わずに、
漆だけを塗り重ねては硬化乾燥をするという工程を十回繰り返し、
1年を掛けて作られています。
 

秋田・川連塗 寿次郎

  • 住所:〒012-0105
       秋田県湯沢市川連町字大舘下山王
       119-3
  • 電話:0183-42-3576
 
 

6.青森県「南部裂織」(南部裂織作家・井上澄子さん)


www.youtube.com

 
とても温かいため、
青森県東部の南部地方で大切にされてきた「裂織」。
青森県認定伝統後工芸士の南部裂織作家・井上澄子さんが主宰する
八戸南部裂織工房「澄」では、
40人程の女性が、地機を使って「裂織」を織り上げています。
 

 
「裂織」は、使い古した布を細く裂き、織り込み、
衣服や生活用品へと再生した織物です。
丈夫で温かく、使い続けると柔らかな風合いになります。
 

 
江戸時代、南部地方は、
寒冷な気候の為に綿の栽培は難しく、
また北前船で運ばれた木綿や古手木綿はとても貴重でした。
そのため、布は大切に使われ、端切れも粗末にせず、
重ねて刺し子にしたり、
最後には裂いて、経糸に麻糸を張り、
古布を裂いて糸玉「ヌキ」を作り、
これを緯糸にして地機で織り込み、
夜着、仕事着、帯、前かけ、炬燵掛けなどを作りました。
それは農閑期の女性の手仕事でもありました。
明治26年に鉄道が開通しカラフルな綿糸や毛糸が手に入ると、
明るい炬燵掛けや帯を織ったと言います。
 
戦後一度は織られなくなった「南部裂織」ですが、
厚手で丈夫。温もりのある手織りの表情が見直され、
普及の動きが生まれました。
 

菅野暎子さんは、
昭和46(1971)年に叔母の形見分けの中の紫の裂織の帯に出逢い、
昭和50(1975)年に南部裂織保存会を設立し、
消滅しかけていた「南部裂織」の普及に心血を注ぎました。
 
八戸で洋品店を営む他、編み物教室を開いていた井上澄子さんは、
盛岡で行われた編み物の講習会で、裂織に出会います。
丈夫だし、肌触りは良いし、こんなものを織りたいと思い、
南部裂織保存会で勉強を重ね、裂織教授免許取得。
62歳で現代工芸作家協会の新人賞を受賞したのを皮切りに、
様々な賞を受賞しています。
平成25(2013)年には
 

八戸市ポータルミュージアム「はっち」の
ものづくりスタジオに入居し、
裂織ワークショップの開催や、裂織製品の制作を行っています。
 

八戸南部裂織工房「澄」

  • 住所:〒031-0032
       青森県八戸市三日町11-1
       八戸ポータルミュージアムはっち4F
       ものづくりスタジオ
 

f:id:linderabella:20210513110253j:plain