らでん、まき絵、大理石…豪華装飾の万年筆が勢ぞろい!
▽作家・北方謙三さんは万年筆に名前をつけ愛用。
驚きのこだわりとは!?
▽漢字やひらがななどを書くため、
日本で独自に進化を遂げたペン先。
究極の書き味を追求する職人技!
▽祇園の石畳の色、長崎の夜景、六甲山の緑など、
今大人気のご当地インク登場!
▽万年筆画家が描く食べ物のイラストは、食欲そそる!
▽謎の“賢者の万年筆”とは!?
(初回放送日: 令和元(2018)年9月21日)
筆記具の王様と呼ばれる 万年筆。
使う人の思いを乗せて、
頼れる相棒のような存在感を宿しています。
インクは、黒やブルーブラックが定番とされた時代を経て、
今や、百花繚乱。色とりどりのインクが登場しています。
その表現も、書く事から描く事にまで広がっているのです。
書けば書くほど、触れれば触れるほどに、
愛おしさが増す不思議な筆記具。
そんな万年筆の奥深い魅力を堪能していきましょう。
美の壺1.軸に宿る職人技を楽しむ
軸の魅力(蔦屋書店 文具コンシェルジュ・佐久間和子さん)
www.youtube.com
東京・代官山にある蔦屋書店(つたやしょてん)の文房具売り場には、
およそ1000本もの万年筆が並んでいます。
文具コンシェルジュの佐久間和子(さくま かずこ)さんに、
万年筆の胴体、軸の魅力が光る逸品を見せていただきました。
佐久間さんは自他ともに認める「大の万年筆好き」です。
中学生の時に偶然入った文房具店で、
パイロット製の万年筆に一目惚れして
衝動買いしたのをきっかけに
コツコツ買い集めた万年筆は50本以上、
インクも100種類以上にも上るそうです。
文具売り場の公式ツイッター(@DT_stationery)で
ツイートして、使った万年筆とインクを紹介しています。
イタリアのメーカー・AURORA(アウロラ)社の
アドリア海をメージした万年筆「Mar Adriatico」(マーレ・アドリア)は、
アウロラ社が開発した特殊な樹脂
「アウロロイド(アウロラ樹脂)」の塊を削り出して
色鮮やかで、透明感のある軸が作られています。
まさに、職人の高度な技術のたまものです。
👆は、京セラの技術で生まれた「京都オパール」を
希少な万年筆職人・大西慶造さんが作った逸品。
ドイツのメーカー・Faber-Castell(ファーバーカステル)社の
古代ローマの都市をテーマにした大理石の万年筆
「Imperium Romanum」(古代ローマ帝国)は、
軸が大理石というだけでも珍しい上に、
ミケランジェロのダビデ像と同じ
トスカーナ地方 Carrara(カッラーラ)産の最高品質大理石
「Statuario」(スタトゥアーリオ)を使用しています。
👆は、エカテリーナ宮殿内の「瑪瑙の間」へのオマージュを表して作られた、
2014年ペン・オブ・ザ・イヤーに選ばれた贅沢な最高級限定モデルです。
イタリアのメーカー・VISCONTI(ヴィスコンティ)社の
「Watermark Demo」(ウォーターマークデモ)は、
スケルトンにシルバーの装飾が美しい軸。
職人による繊細な手仕事によるものです。
「それぞれの万年筆に、
ヒストリーがあったりとか、
「素材は何だろう」とかっていうところに注目していくと、
より楽しいと思います。」
- 住 所:〒150-0033
東京都渋谷区猿楽町17-5
- 電 話:03-3770-2525
- 営業時間:7:00~23:00(年中無休)
エボナイト軸(中屋万年筆 ろくろ職人・松原功祐さん)
手に吸い付くような握り心地。
足立区にある「工房松原」で作られる
世界中で愛されています。
ろくろ職人の松原功祐さんは、御年85歳。
手作りで軸を作り続けて70年にもなる、
日本でも数少ない職人です。
「エボナイト」は歴史の古い樹脂で、
1839年に米国のチャールズ・グッドイヤー氏が発明した
一般に広まった最初の「合成樹脂」と言われています。
石油系プラスチックの台頭以前は、
生活のあらゆる場面に利用されていました。
黒褐色で硬いものですが、ゴムが主原料です。
表面を磨くと漆塗りのような美しい艶を放ち、
しっとりとして滑りにくく、固さがあり、
狂いが生じにくいことから、
高級蒔絵万年筆や喫煙具に、昔も今も利用されています。
愛好家にはたまらない素材として、注目されています。
松原さんは、「エボナイト」を回転ろくろにセットして、
勘を頼りに、製品の基礎部分を削っていきます。
軸の中心が寸分の狂いもなく、万年筆の真ん中を貫くように削る。
熟練のなせる業です。
松原さんは、キャップのネジを削るのが、最も難しいと言います。
最後に息を止めてグ~ッと一気に削り出した軸は、
驚くほど艶やか。
この滑らかさがあるからこそ、漆塗りの美しさが際立つのです。
意匠を凝らした装飾には、良い地が不可欠だと言います。
個性豊かな万年筆の軸は、繊細な手仕事と誇りによって
支えられていました。
美の壺2.理想の書き味を求めて
北方謙三さん愛用の「MONTBLANC」(モンブラン)
パソコン主流の時代。
北方謙三さんは、月に150枚を超える原稿を
今でも万年筆で書いています。
「パソコンで小説を書こうとすると、駄目なんですよ。
指が全く動かない。
ここに”ペンだこ”があるんですけれどね、
ペンだこに何かピッと、刺激が行くと、脳に刺激が行って、
言葉が出てくるんじゃないかなと思うな。」
北方さんは、万年筆を購入すると必ず行う儀式があります。
「軽~く、軽~く、ホントに 軽~くやんないとね。
自分の癖に合わせて、ペン先を調整するのです。
俺、半日位やるな、 3時間でいい、十分なんだけど。」
100本以上もの万年筆を手にしてきたという北方さんが、
中でも愛用しているのが、北方さん命名の「黒旋風李」です。
万年筆の書き味を、小説の登場人物に重ね合わせて付けた名前で、
51巻もの連作を書き上げた強者です。
現在執筆中の原稿も、この 「黒旋風李」が活躍しています。
もう一本は、25歳から30年間を共にした「武蔵」。
ペン先は、北方さんの書き癖そのままに、大きく斜めに削れています。
インク漏れで使えなくなった今でも
手放す事の出来ない大切な一本だそうです。
万年筆の歴史は、
「理想の書き味」の探求と言っても過言ではありません。
明治時代、日本にもたらされた万年筆は、
漢字や平仮名などを書くために、様々なペン先が開発されました。
例えば、先端が長刀状に研がれたペン先は、
紙との接地面が大きく、止めや跳ね、払いを
はっきりと書き分ける事が出来ます。
大きく曲がるように柔軟性を持たせたペン先も登場。
ペン先がしなって、力強い払いを書く事が出来ます。
超極細のペン先は、手帳などの小さなスペースにおススメ。
複雑な日本の文字を、細やかに表現することが出来ます。
森山さんは、その人の書く姿を必ず目で確認してから
ペン先の調整に入ります。
ペン先の角度には、2種類あるそうです。
立てる角度と寝かせる角度、そしてもう一つはねじれる角度。
設定と全く反対の方向で書くと、引っ掛かってしまいます。
使う人の角度に合わせて、引っ掛かりを取り除くのが、
森山さんの仕事なのだそうです。
まず、1㎜程のペンの先端部を砥石で削ります。
そして、サンドペーパーやクラフト紙などの
粗さの異なる様々な紙を使って、
より滑らかな書き味へと仕上げていきます。
研ぐ前は 四角い形をしていた極太のペン先が、
森山さんの手に掛かると、丸く滑らかになり、
書き手が角度を気にせずに
滑らかに書く事が出来るのようになります。
- 住所:〒140-0011
東京都品川区東大井5丁目26−20
美の壺3.小瓶に込めた物語を味わう
絵本作家・万年筆画家・サトウヒロシさん
絵本作家で、万年筆画家のサトウ ヒロシさんは、
実は 全て万年筆を使って描かいています。
集めたインクは、160色以上にも上るんだとか。
www.youtube.com
ご当地インク「神戸インク物語」
(ナガサワ文具センター 商品企画室・竹内直行さん)
www.youtube.com
日本各地で作られているご当地限定のインクが大人気です!
京都ならではの色を表しています。
青空にそびえる大浦天主堂に平和への願いを重ねた
旅の記念に購入する人も少なくありません。
こうしたご当地インクの先駆けとなったのが、
開発したのは、竹内直行さんです。
竹内さんが入社して10年が経った頃、
「阪神淡路大震災」起き、神戸は大きな被害を受けました。
様々な人の助けを借りて復興していく中、
竹内さんは、「お洒落な神戸の街」に似合う
万年筆のインクを考えたらどうかというふうに思いつきます。
そこで、セーラー万年筆の熟練したインクブレンダーの下で、
「お洒落な神戸の街」に似合うカラーをテーマに基づいて開発。
最初に手掛けたのは、次の3色でした。
1つ目は、六甲山をイメージした深いグリーンの
「六甲グリーン」。
2つ目は、遊覧船から眺めた神戸港の海の色の
「波止場ブルー」。
そして3つ目は、神戸らしい落ち着いた街並みを
セピアカラーで表現した「旧居留地セピア」でした。
その後も、神戸ポートタワーや有馬温泉などをイメージした色が
2017年度には、
公益社団法人「日本マーケティング協会」が主催する、
優れたマーケティング活動を表彰する
「第10回 日本マーケティング大賞」奨励賞に
- 住所:〒650-0033
兵庫県神戸市中央区江戸町93番
栄光ビル7F
- 電話:0120-976-078 代表窓口フリーダイヤル
(受付時間 9:00~17:00 土・日・祝日及び当社休業日を除く)