MENU

美の壺「小さな地球 アクアリウム」 <File518>

水槽の中の小宇宙・アクアリウム!
 ▽水草のレイアウトを競う世界コンテスト優勝者の神秘の世界
  ・雲海のように広がる水草
  ・赤土の断崖を遊泳する魚
 ▽デザイナーが水槽に再現した東南アジアやアマゾンの大自然
 ▽散歩で感じた自然をアクアテラリウムで作る達人の技に迫る!
 ▽旅の思い出をアクアリウムに映す!
 ▽さかなクンも登場!
 ▽水中・水辺・陸地へと連なる唯一無二の世界が
  癒しのおうち時間を提供します!
 

 

美の壺1.水槽の中に”世界”がある

 

 
「アクアリウム」とは、
水中の生き物を飼う空間で水の中の景色を楽しむものです。
一方、「アクアテラリウム」は
水中から陸地へと続く風景を表現したものです。
「パルダリウム」は、水辺の全くない、
湿気を好む植物が様々な表情を見せてくれます。
 

水草水槽
(アクアリウム演出家・深田崇敬さん)

アクアリウム演出家・深田崇敬(ふかだ たかゆき)さんは
水草のレイアウトを競う世界コンテスト「IAPLC」で
2年連続優勝した第一人者です。
 

iaplc.com

 
深田さんの最新作は「緑雲」。
幅1.5m・高さ50cm・奥行き60cmの水槽に
水草と流木で絶景を作りました。
エンゼルフィッシュの最高峰・アルタムエンゼルが
優雅に泳いでいます。
見る人を圧倒するような色彩は 一枚の絵画のようです。
 

 
作品の根幹を成すのは「水草」です。
「水草」は2000種類以上あるとも言われますが
この作品で使われているのは、10種類。
細かな緑の葉が沸き立つ雲を表現しています。
色も形も様々な水草を絵の具のように使って作り上げる、
「アクアリウム」ならではの表現方法です。
 

 
時間の経過を味わえるのも「アクアリウム」の楽しみの一つです。
「赤い谷」という意味を持つ「丹渓」(たんけい)という作品は、
赤みを帯びた石を組み合わせて作っています。
泳いでいるのは「ゴールデンテトラ」。
大きな岩陰の暗い背景の中をキラキラと輝く魚が泳いでいます。
光が当たった水草も相俟って、
レンブラントの絵画の明暗のようなドラマチックな効果を生んでいます。
また、光を当てることで、水草は光合成をし酸素を出しますが、
その泡が水槽に幻想的な味わいを添えています。
 

 
 

ワイルドアクアリウム(マツバタデザイン企画・松端秀明さん)

 
大自然の環境そのものを水槽の中に表現したいと
考えているのはデザイナーの松端秀明さんです。
松端さんが提唱するのは 「ワイルドアクアリウム」という、
ある地域の川や湖の水質、環境、そして魚の種類までを
そのまま再現しようという試みです。
東南アジアの川をイメージした水槽は、
「ブラックウォーター」と呼ばれる水のため、赤茶色をしています。
川底に積み重なった落ち葉のタンニンによって、
このような色になっているのだそうです。
ここには「パールグラミー」という魚が泳いでいます。
 
一方、南米・アマゾンの川の中を再現した水槽には、
「ピラニア」が泳いでいます。
アマゾンを原寸大で切り取ったような世界が広がっています。
地球の一部を日常で味わう、それが「アクアリウム」の醍醐味です。
 

 
 

美の壺2.こだわりつらぬく 黒と白

 

アクアテラリウム(ヒロセペット・廣瀬泰治さん)

 
深山幽谷・・・人里離れた奥深い山を思い起こさせる水槽。
水槽の中には、水と陸が表現されています。
「アクアテラリウム」です。
「テラ」とは、大地とか陸のことです。
魚が泳ぐ水の部分は、全体の1/3程しかありません。
水から上がった先は、苔がびっしりと覆われた大地が広がっています。
苔が吸い上げた水は陸地のあらゆる場所を巡り、大地を潤し、
植物を育みながら陸上の景色をより複雑なものにしていくのです。
 

hirose-pet.com

 
作者は、「ヒロセペット成田空港店」の店長で
テラリウムクリエーターの廣瀬泰治(ひろせ やすはる)さんです。
 
廣瀬さんは、植物の生命を愛でながらも、
枯れ山水のように見立てることで、
見た人の想像をかき立てるような情景を表現していらっしゃいます。
 

ヒロセペット成田空港店

  • 住  所:〒289-1603
         千葉県山武郡芝山町大里18−46
  • 電  話:0479-78-0446
  • 営業時間:12:00~19:00
  • 定休日 :毎週水、木曜日
 
 

アクアテラリウム(センシュアス・早坂誠さん)

 
都心から20分。 豊かな緑と静寂が広がる等々力渓谷。
アクアリウムショップ
SENSUOUS(センシュアス)」代表の早坂誠さんは、
アクアテラリウムを作る前に、よく本物の自然を見に行くと言います。
 
気になる場所を見つけ、スケッチを始めました。
写真で撮るよりも、景色を記憶に強く刻み込めるのだそうです。
早坂さんの印象に特に残ったのは、
光によって出来た緑の濃淡、そして逞しい木の根でした。
お店に戻って、早速、アクアテラリウムの制作を始めます。
まずは土台となる石組み。
そして、水を入れる部分には白い砂を、
陸地部分には茶色い土を入れていきます。
石に苔を巻きつけ、水に沈むところへ置いていきます。
 

 
続いて使うのは流木。
等々力渓谷で一番気になった逞しい木の根をどう表現するか。
試行錯誤すること20分余り、流木の配置が決まりました。
ここからは陸の部分に緑を植えていきます。
一本一本、丁寧に植えていきます。
最後に水を入れて、完成です。
 
等々力渓谷から着想を得た「アクアテラリウム」です。
根の曲がり具合をそのまま再現するのではなく、
早坂さん自身の心象をより強く表現したものにしています。
五感で感じた、世界で唯一の風景が
「アクアテラリウム」となって現れています。
 

SENSUOUS(センシュアス)

  • 住  所:〒150-0047
         東京都渋谷区神山町8−2
  • 電  話:03-6407-0335
 
 

美の壺3.もてなし:趣向を凝らし振る舞う

 

パルダリウム(Aqua Tailors・石村一樹さん)

 
東大阪のアクアリウムショップ「Aqua Tailors(アクアテイラーズ)」。
今こちらで密かに人気なのが「パルダリウム」です。
「パルダリウム」とは、ラテン語で「湿地」を意味し、
湿気を好む陸上の植物を密閉した水槽の中にレイアウトして楽しむ
アクアリウムの一種です。
 

 
毎日、霧吹きをして湿度を保てば、
長期間、その景観を楽しむことが出来るものです。
お店の入り口にある高さ120cmの「パルダリウム」は
まるでスコールの後のジャングルのようです。
緑の潤いを取り入れるこうした暮らしが、今、注目されています。
 

 

Aqua Tailors(アクアテイラーズ)

  • 住  所:〒578-0911
         大阪府東大阪市中新開1丁目15-19
  • 電  話:072-960-7910
 

アクアリウム愛好家(高橋久美恵さん)

 
高橋さんが「パルダリウム」や「アクアテラリウム」を
本格的に始めたのは2年前です。
アジアンテイストな室内は植物で溢れています。
お気に入りの3つの水槽を「リウム3兄弟」と名付けて可愛がっています。
 
小さな水槽から始めた高橋さん。
遂に手を出したのが、幅90cmの大型アクアリウムです。
引っ越しで今の部屋に決めたのも、実はこの水槽のため。
日当たりや風通しなど、水槽の環境を第一に考えたのだそうです。
多様な水草は、旅行で各地のアクアリウムショップを訪れた時に
お土産で買ったものです。
アクアリウムには 旅の思い出も詰まっているのです。
魚に限らず、部屋の中のグリーンやペットそういったものがいるだけで、
きっと、おうちの中で過ごす時間は有意義になると思います。 

f:id:linderabella:20210513110059j:plain