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美の壺「魅惑の相棒 猫」<File 527>

<番組紹介>
黄色、青、緑…多彩な猫の目。
グッと近寄れば更なる魅力を発見
 ▽ じっとこちらを見つめる
   猫のまなざしに振り回される、
   漫画家のヤマザキマリさん。
   猫の目の描き方の秘けつとは?
 ▽ 猫好き浮世絵師・歌川国芳の猫。
   かわいくもおかしい多種多様なポーズ
 ▽ 200匹もの猫があふれる猫島で写真家に密着
 ▽ 今にも触れたくなる…
   日本画の巨匠が描いたフワフワ猫
 ▽ 伝統工芸・沈金の技で猫の毛並みに挑む!
 ▽ 草刈家に美猫
初回放送日: 令和3(2021)年2月12日
 
 
紀元前200年の昔に描かれたと言われる「ナスカの地上絵」に
近年、新たな発見がありました。
全長およそ37メートルもの 巨大な猫の絵です。
古代エジプトでは、猫は神として崇められました。
夜になると光る目に、人々は神秘を感じたのです。
 
古くから切っても切り離せない深い関係にあった人間と猫。
最良のパートナーというか、共存者というか。
それは日常だけでなく、アートの世界でも同じです。
江戸時代の浮世絵から、現代の工芸品まで、
人を惹きつけてやまない猫の魅力に迫った回です。
 
 

美の壺1.人の心を揺さぶる神秘のまなざし

動物学者・山根明弘(やまね あきひろ)さん

 
愛らしくも、時に妖しくも映る猫の目。
その色は多彩です。
西南学院大学教授で動物学者の山根明弘さんは、
32年に渡り、500匹以上の猫の生態を研究してきました。
人生の半分以上を猫に捧げてきたのです。
 

 
山根さんの研究ノートには、
500匹以上もの猫を識別するために、
1匹1匹の特徴が記録されています。
模様や尻尾の形は勿論、目も細かく分類して、
今もなお謎が多い、猫社会に迫り続けています。
 
猫の目の微妙な色合いに惹かれるようになったという山根さん。
同じ黄色、青色、緑色でも微妙な色の違いがあるのだとか。
 
その魅力は色だけではないようです。
透明感についても
「まるで清水から湧き出してくる水と泉のよう」と
おっしゃいます。
 
見詰めていると、吸い込まれてしまいそうな猫の目。
その輝きが似ていることから、
「キャッツアイ」と名付けられた宝石まであります。
猫の目には人を惹きつける不思議な魅力があります。

 

漫画家・ヤマザキマリさん

『テルマエ・ロマエ』でお馴染みの漫画家・ヤマザキマリさん。
世界各地を転々としてきたヤマザキさんの傍らには、
いつも猫がいました。
これまで飼った猫は何と20匹以上。
今の相棒はベレン。
ポルトガル生まれのベンガル猫で、
何をしていても、
遠くの方でずっとヤマザキさんを見ているのだそうです。
 

 
現在連載中の漫画にも猫が登場します。
主人公のそばで、人々の動向をじっと観察するのです。
ヤマザキさんが猫を描く時に、最も力を入れるのが目の描写です。
目の描写には強いこだわりがあります。
 

 
「アーモンド・・・ただのアーモンドじゃないんです。」
 
目の形によって怒りを表現します。
瞳孔が開いてると、何かを狙ったりしてる時です。
戦闘モードでは、黒目を大きくします。
 
猫の目を知り尽くしたヤマザキさん。
「猫は人間を観察している」とおっしゃいます。
べレンちゃんの眼差しに「威張りくさるんじゃないよ」と
言われているように感じるようになりました。
それは他の動物も、多分、みんな 言ってるのかもしれないけれど。
こちらを見透かすような猫の瞳。
かないませんね。
 
 

美の壺2.愛しくもおかしい しなやかな動き

昔ながらの猫と人間の関係

日本人と猫は、昔から親しい関係にありました。
平安時代に書かれた『源氏物語』にも、
既に猫が登場しているほどです。
当時の猫は、紐に繋がれ、貴族のペットとして愛されていました。
 
     ⇪ これ
 
光源氏と結婚した女三の宮を忘れられない柏木が
光源氏と女三の宮が暮らす大邸宅の庭で、
若い公達たち蹴鞠に興じていたところ、
女三の宮のもとで飼われていた2匹の猫が
追いかけあいを始め、猫を繋いでいた紐が絡まって、
御簾が引き上げられてしまい、
女三の宮の美しい姿を目の当たりにしたことで、
更に恋心を募らせ・・・・。
 
 
江戸時代に入ると、猫は庶民の暮らしに入り込みます。
ネズミ駆除のため、猫を町中に放し飼いにするよう、
お触れが出たためです。
 
猫をモチーフにした作品が数多く残っています。
浮世絵師・歌川国芳の
『猫飼好五拾三疋』(みゃうかいこうごじゅうさんびき)
『東海道五十三次』(とうかいどうごじゅうさんつぎ)に登場する宿場を、
猫に関したダジャレに置き換えた戯画です。
50匹以上の猫達による絵解きが愉快な作品です。

袋をかぶって遊んでみたり、のんきに首をかいたり。
思わず笑ってしまう仕草が一杯です。
 
国芳だけではありません。
江戸の絵師達は、様々な猫の姿を描きました。
人間のおかしみや哀愁を重ねたのかもしれません。

 

猫専門の写真家・沖昌之(おき まさゆき)さん

 
熊本県天草地方の湯島には、もう一つ、別の呼び名があります。
その名も「猫島」。
200匹もの猫が、290人程の人間と暮らしています。
 
猫専門の写真家・沖 昌之さんの
まるで人間のような仕草をする猫の写真が話題を呼んでいます。 
猫の決定的瞬間を捉えるために、
沖さんは猫目線でチャンスを待ちます。

 
 

美の壺3.気高さをもまとう毛艶

 

日本画家・竹内栖鳳の猫の絵『班猫』(山種美術館)

 
東京・渋谷区にある「山種美術館」には、
数々の日本画が所蔵されています。
ここに魅惑的な猫がいます。
動物画で有名な竹内栖鳳(たけうちせいほう)の代表作『班猫』(はんびょう)です。
目を引くのは、今にも触れたくなるような柔らかな毛並み。
栖鳳は、古くから伝わる「毛描き」という日本画の技法を使って、
毛並みを表現しています。
 

 
モデルとなったのは、八百屋の店先で見かけた猫。
栖鳳は、一目見た瞬間、この猫に惚れ込み、
自身の絵と引き換えに譲ってもらったのだそうです。
山種美術館館長・山﨑妙子(やまざきたえこ)さんによると、
その毛並みの輝きを再現するために、
栖鳳は思い切って使ったのが”金”を使ったそうです。
”金”を使うことによって、
猫の高貴さや気高さを描こうとしたのだそうです。
 

 
  • 住所:〒150-0012
       東京都渋谷区広尾3-12-36
  • 電話:050-5541-8600
      (ハローダイヤル)
 
 

漆芸家・鳥毛清さん

猫の艶やかな毛並みを追求する芸術家がもう一人、
「沈金」という漆芸の技法を使った作品で、
いくつもの賞を受賞してきた鳥毛 清(とりげ きよし)さんです。
「沈金」とは、
漆を塗った表面に沈金刀という刃物で絵を彫り込み、
そこに金粉を擦り込んで絵を浮かび上がらせる技法。
 
鳥毛さんこれまで、100点近い猫の作品を作ってきました。
繊細な毛を表現するために、
鳥毛さんは実際に猫に触り、
背中や尻尾、お腹などの各部分の毛並みを把握した上で、
作品にそれを再現していきます。
 

 
まず、漆が塗られた板に猫の輪郭線を描き、
ここに毛並みを彫っていきます。
顔や肉球などの短い毛の部分は細かい点で、
毛の長い胴の部分はしなやかな線でと、
5~6種類の彫り方を使い分けて掘っていきます。
毛並みの下書きは一切なし。
猫を触り尽くした鳥毛さんの手は自然と動いていくのだそうです。
 
彫り終えたら、その上から金粉を摺り込みます。
獲物に飛びつこうとする猫が完成しました。
毛の彫り分けによって、躍動感溢れる猫が現れました。
 
鳥毛さんの創作を支えるのが、黒猫の「ネロ」。
毎日、触られてツヤツヤです。
黒猫には独特の毛艶があり、角度を変えると虹色に見えます。
 
鳥毛さんは、この虹色を再現しようと新たな挑戦をしました。
金は一切使っていませんが、
光の角度を変えると、毛艶が違って見えます。
艶やかな毛並みは、芸術家の創作意欲を刺激して止みません。
 
 

おまけ

今、猫ちゃんと言ったら、「もちまる君」。
私も、このトイレ動画を見てから、すっかりはまっています。
「美の壺」とは関係ないか。
 


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