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美の壺「白い宝石 豆腐」<File539>

▽大豆から生まれる“白い宝石”豆腐は日本人のソウルフード
▽木綿の穴に秘密あり!京都の湯豆腐がおいしいわけ
▽のど越しにこだわる江戸っ子が愛した絹ごし豆腐
▽江戸のベストセラー「豆腐百珍」の料理を再現。
 豆腐の多様なレシピと栄養が飢饉を救った?
▽神奈川・大山詣りから進化を続ける“変わり豆腐”
▽星つきフレンチのシェフが作るTOFU極上の一品
▽落語家・瀧川鯉斗が草刈家に謎の豆腐屋として登場!
 

 

美の壺1.木綿の隙間に隠れる技「京の木綿」

 

京都の木綿豆腐「京豆腐 服部」
服部一夫さん

豆腐の原料の8割は水。
ですから、豆腐作りには美味しい水が欠かせません。
豊富な地下水が流れる京都では、
古くから豆腐作りの伝統が守られてきました。
 
「湯豆腐」発祥の地と言われる南禅寺。
南禅寺の門前で、
茶屋料理として振舞われていたのが始まりと言われています。
 
創業明治43(1910)年、
南禅寺御用達の豆腐店「服部」の三代目当主・服部一夫さんが
京都人と木綿豆腐の関係について語って下さいました。
 
京都人は季節感を大事にするので、
冬は「木綿豆腐」、夏は「絹ごし豆腐」を使うそうですが、
それでも、京都の人々は夏でも「木綿豆腐」を好む方が多いそうです。
木綿豆腐に出来る隙間から味が染み込むため、
湯豆腐や鍋物には、断然「木綿豆腐」が選ばれます。
 

湯豆腐「南禅寺 順正」
浅野聖史さん

京都で湯豆腐と言えば「順正」と言われるほどの
湯豆腐の有名店「南禅寺 順正」の店長・浅野聖史さんが
湯豆腐を作ってくれました。
 
豆腐は勿論「木綿豆腐」。
利尻昆布の出汁にを入れて、水から沸かします。
ほんのりぬるいほうが、豆の甘みを味わえるのだそうです。
木綿豆腐は、冷たい状態では固いのですが
火を入れるとぷくっと膨らんで、柔らかい食感になります。
木綿豆腐の隙間が出来たところに味がしみ込んで
深い味わいになるそうです。 
 
  • 所在地:〒606-8416
        京都府京都市左京区浄土寺上馬場町12−9  
  • 電 話:075-771-6783
 
 

湯豆腐「奥丹清水」
小倉忠輔さん

清水寺近くにある湯豆腐店「総本家ゆどうふ 奥丹清水」は、
通りを一歩入ると広い600坪の庭園があり、
その奥の地下の薄暗い一室に
創業の江戸初期からの製法伝える豆腐工房があります。
 
工房で大豆を石臼ですり潰しているのは、16代当主・小倉忠輔さん。
滋賀県比良地方の農家と契約して無農薬で栽培した大豆を、
大豆と同じ滋賀県比良地方の地下水に一晩浸けます。
超軟水なので、大豆の風味を引き出してくれるため、
豆腐作りには適した水です。
 
こちらでは、機械は一切使わずに、全工程が手作業で行われています。
一晩水に浸けた大豆を石臼ですり潰します。
石臼から流れ出る白いどろりとした液体は、「呉汁」(ごじる)です。
石臼で挽いた呉汁は、摩擦熱が弱く、酸化しにくいため、
大豆の風味や香りを損ないません。
その呉汁を大きな鍋で炊き上げること20分、
たんぱく質や旨味が抽出されます。
その呉汁をアツアツのまま布袋に入れて、
豆腐のもとになる豆乳を三人で搾り出していきます。
 
にがり抽出部屋では、豆腐を固めるための「にがり」を作っています。
「にがり」とは、海水から塩分を分離させて残った液体です。
藁の中に粗塩を入れて吊り下げ、「にがり」を抽出します。
 
豆乳に「にがり」を入れると、豆乳は凝固します。
この固まった豆乳を、木箱に木綿の布を敷いて詰めて
水抜き、成形したものが豆腐です。
水を抜く穴から豆腐が出ないように木綿の布で包むところから
「木綿豆腐」と呼ばれるようになりました。
重りを載せて1時間、「木綿豆腐」が出来上がりました。
湯豆腐の出汁が染み込むための「隙間」が生まれています。
 
  • 住所:〒605-0826
       京都市東山区清水3丁目340番地 
  • 電話:075-525-2051
 
 

美の壺2.江戸っ子が愛したなめらかなのど越し

 

絹ごし豆腐「とうふ屋うかい」
藤田信さん

京都からやってきた豆腐は江戸でも人気となり 、
中でも「絹ごし豆腐」は喉越しの滑らかさが好まれ、人気となりました。
東京、芝にある豆腐専門店「とうふ屋うかい」の料理長・
藤田信(ふじたまこと)さんが、
「絹ごし豆腐」の魅力を紹介して下さいました。
 
「絹ごし豆腐」は、豆乳ににがりを加えてかき混ぜます。
豆乳の温度や攪拌するスピード、
にがりを全体に行き渡らせるように混ぜるのは
意外と難しい作業なのだとか。
にがりを入れた後、崩さずにそのまま味わうのが
「絹ごし豆腐」の醍醐味です。
食感や口当たりが滑らかなところがお客様に好まれるそうです。
 
水分が多くあっさりした味わいの絹ごし豆腐に、
豆乳の出汁で大豆の風味を加えた豆乳鍋「豆水とうふ」はお店の名物。
冷たい昆布だしが入った真鍮の器を沼に見立て、じゅんさいを浮かべ、
そこに絹ごし豆腐を入れた、目にも涼しい一品です。
 
絹ごし豆腐に片栗粉をつけて揚げ、
温かいお出汁と一緒にいただく鍋物は、
豆腐を揚げることによって、出汁が染み込みやすく、
絹ののど越しもそのままの一品です。
 
  • 住所:〒105-0011 
       東京都港区芝公園4-4-13    
  • 電話:03-3436-1028
 
 

江戸時代の豆腐料理本「豆腐百珍」/
江戸料理・文化研究家・車浮代さん

江戸時代に出版されたベストセラーに「豆腐百珍」とういう書籍があります。
その名の通り、豆腐だけで100通りのメニューが記されています。
更に豆腐料理を、「尋常品・通品・佳品・奇品・妙品・絶品」の
6つにランク分けられています。
 
江戸料理や文化を研究している車浮代(くるま うきよ)さんは、
「豆腐百珍」の全メニューを再現し、その背景を研究しています。
「豆腐百珍」の人気の秘密を語って下さいました。
 
そもそも料理本は、料理人のための本でしかありませんでした。
「豆腐百珍」は初めて庶民の読み物として登場した料理本で、
それもレシピを伝えるだけでなく、
読み物としてのエンターテインメントに溢れた本でもありました。
 
大豆は天候にあまり左右されずに育てることが出来ます。
江戸時代の米の不作による飢饉を乗り切るために
豆腐料理が流行したのではないかと車さんは分析されています。
喉越しとともに大切な栄養をとるため、豆腐は様々に姿を変えたのです。
 
車さんに「豆腐百珍」のメニューを再現していただきました。
ツルっとした喉越しが江戸っ子に人気だった「八杯豆腐」です。
「豆腐百珍」には、
ところてんのように豆腐を突く道具の作り方が載っています。
同じ作り方で道具を作り、豆腐を細長くします。
名前の由来の「八杯」は、
出汁もしくは水が6杯、お酒が1杯、醤油が1杯で配合された出汁より
来ていて、この出汁を絡めて食べます。
 
次は、冬には温まる食べ物で、江戸っ子に人気があった「雷豆腐」です。
名前の由来は、熱したごま油に、豆腐を崩して入れる音から。
醤油で炒め、長ねぎ、わさびの千切り、大根おろしを添えていただきます。
 
「奇品」に属されている「こおり豆腐」は、
寒天の中に豆腐を閉じ込めた涼し気な一品です。
黒蜜をかけて食べたようです。
 
 

美の壺3.味も姿も変幻自在

変わり豆腐「湧水工房」
相原琢也さん

神奈川県大山は江戸時代に流行した「大山詣り」の地です。
江戸の人口が100万人に対し、年間20万人の参拝者が訪れたと言います。
参拝者は祈祷の謝礼として大豆を納める風習があり、
そのことから豆腐が作られるようになりました。
 
大山の参道には、今でも豆腐料理を出す宿坊が軒を連ねています。
大山からの清流が豊富な地で軟水を生かして豆腐を作っているのは
400年前から続く宿坊・東学坊(とうがくぼう)の前にある豆腐店
「湧水工房」です。
店主の相原琢也さんは豆腐の伝統が根づく大山で
「変わり豆腐」を作っています。
かぼちゃに煎茶、ほうじ茶、
よもぎ、黒ゴマなど様々な食材と豆腐を合わせています。
相原さんがこだわるのは地元の食材と組み合わせです。
そして柔らかくて滑らかな豆腐を目指しています。
今試行錯誤をしているのはパプリカを混ぜた豆腐です。
相原さんは、変わり豆腐を作ることで
色んな交流ができ世界が変わったそうです。
今後はどんな変わり豆腐を作られるのでしょうか。楽しみです。
 
  • 所在地:〒259-1107
        神奈川県伊勢原市大山438   
  • 電 話:090-8037-0362
 
 

フレンチTOFU
フォーシーズンズホテル東京大手町 est(エスト)・
ギョーム・ブラカヴァルさん

令和2(2020)年、東京、大手町にオープンした
「フォーシーズンズ」のフランス人シェフの
ギョーム・ブラカヴァルさんが登場します。
 
平成25(2013)年、「和食」が
ユネスコ「世界無形文化遺産」に指定されたことから、
豆腐にも注目が集まりました。
今や「豆腐」は「TOFU」となり、
世界の誰もが知るヘルシーフードとなりました。
 
そんな豆腐に魅せられたギョーム・ブラカヴァルさん、
多くの星を獲得した彼が、
料理とデザートの間に出されるメニューを作りました。
チーズの代わりに豆腐を使った
「豆腐チーズシトラス(Peau de Soja)」です。
メインからデザートへの味の移ろいを誘います。
一見、モッツァレラチーズのようにも見えますが、
チーズよりも軽く、内側は異なる食材の豆腐を重ねています。
使う豆腐も、自ら豆乳ににがりを入れて作ったものです。
チーズの代わりに、少し濃厚な豆乳を使い、
豆腐の上にはきんかんのジャムに塩、こしょう、蜂蜜をかけ
その上には、豆腐のシフォンを載せて花のような爽やかです。
 
フォーシーズンズホテル東京大手町
est エスト
  • 住所:〒100-0004
       東京都千代田区大手町1丁目2−1  
  • 電話:03-6810-0655
 

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