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美の壺「図書館」 <File448>

時の流れを感じる歴史的な図書館から、未来的なデザインのものまで、
全国の個性豊かな図書館が大集合!
 
▽館内は200mもの書物の森!緑に浮かぶ宇宙船のような図書館
▽「知の闘技場」がコンセプトの、コロッセウム状の大学図書館とは?
▽レンガ造りの旧紡績工場や、総ヒノキ造りの小学校が、
 読書空間によみがえる!
▽世界的建築家・坂茂さん設計の
 SF映画のような未来型図書館とは?!
 

 
全国には、6, 000を超す大小の図書館があります。
木造校舎をリニューアルした懐かしい図書館。
SF映画のような 未来型。
本を借りるだけでなく、日々の時間を豊かにしてくれる。
取っておきの図書館を訪ねてみましょう。
 
 

美の壺1.書物の森に誘われ

 

宮城県仙台市泉区の森に囲まれた図書館「宮城県図書館」

全長200m チューブのようなボディー。
メタリックな建物を彩るのは、木々の緑です。
ロビーを上がっていくと、
柱が一本もない緩やかにうねる天井の下に
書棚が並んでいます。
蔵書の数は、資料を含めて およそ110万。
東北地方 最大の規模を誇ります。
 
第三の憩いの場所「サードプレース」として
家や職場とは違う時間を過ごせるように使われることを
目指しています。
映画『図書館戦争』でもお馴染みの図書館です。
 

 
  • 住  所:〒981-3205
         宮城県仙台市泉区紫山1-1-1
  • 電  話:022-377-8441(代表)
  • 開館時間:火曜日~土曜日(9時から19時まで) 
         ※ 子ども図書室・展示室は17時まで
         日曜日・祝日:9時から17時まで
 
 

秋田杉をふんだんに使った円形の大学図書館
「国際教養大学中嶋記念図書館」(仙田満設計)

 
半円形に広がる、巨大な空間。
和傘のように広がる天井の木組みに使われているのは「秋田杉」。
地元・秋田の名産をシンボリックに取り入れました。
図書館を設計したのは、
環境デザイン研究所代表兼東京工業大学名誉教授の仙田満さんです。
仙田さんは、長年、建物と環境の在り方を 追求してきました。
 
図書館のコンセプトは、
「知の闘技場」のコロッセウム状の大学図書館。
学びたい時にいつでも学べるように、
24時間 365日、学生に開放されています。
 
秋田杉と伝統技法をふんだんに使った美しい劇場のような空間で
知識の扉を開く喜びが味わうことが出来ます。
 
  • 所在地:〒010-1211
        秋田県秋田市雄和椿川奥椿岱193−2  
  • 電 話:018-886-5907
 
仙田満(せんだ みつる)さん
日本の建築家、環境デザイナー。
株式会社環境デザイン研究所会長。 東京工業大学名誉教授。
1941年(昭和16年) 神奈川県横浜市生まれ
1964年(昭和39年) 東京工業大学理工学部 建築学科卒業
        菊竹清訓建築設計事務所 入所
1968年(昭和43年) 環境デザイン研究所を設立し、代表に就任
1977年(昭和52年) 「こどものあそび環境のデザイン」で毎日デザイン賞受賞
1982年(昭和57年) 東京工業大学より工学博士を授与される
        (研究―こどものあそび環境の構造の研究)
1996年(平成 8年) 茨城県自然博物館に対し、日本造園学会賞受賞
1997年(平成 9年) 愛知県児童総合センターに対し、日本建築学会賞受賞
2001年(平成13年) 日本建築学会会長に就任(~2003年)
2002年(平成14年) 慶應義塾大学大学院 特別研究教授に就任(~2003年)
2004年(平成16年) こども環境学会会長に就任(~2010年)
2005年(平成17年) 東京工業大学名誉教授に就任 日本学術会議会員(~2011年)
2006年(平成18年) 日本建築家協会会長に就任(~2008年)
2010年(平成22年) 公益社団法人こども環境学会代表理事
         国際教養大学図書館に対し、日本建築家協会賞受賞
2011年(平成23年) 国際教養大学図書館に対し、第24回村野藤吾賞受賞
        広島市民球場(Mazda Zoom-Zoom スタジアム広島)に対し、
        日本建築家協会賞受賞
        佛山市体育館に対し、IOC/IAKS賞ゴールドメダル受賞
2013年(平成25年) 「地球環境、こどもの成育環境等における環境デザインの
         研究、設計、教育、社会活動に対する貢献」により、
        2013年日本建築学会大賞受賞
 
 

美の壺2.歴史の香りに包まれて

 

兵庫県洲本市にあるレンガ造りの図書館
「洲本市立洲本図書館」

 
明石海峡大橋によって結ばれた島の中央に位置する洲本市は、
明治から昭和にかけて、西日本最大級の紡績の街として栄えました。
たくさんの工場や社宅が立ち並び、活気に溢れた街でしたが、
オイルショックの余波により、工場は閉鎖を余儀なくされました。
 
「洲本市立洲本図書館」は「鐘紡洲本工場」が原型です。
鐘紡洲本工場明治時代に建設された「近代化産業遺産」です。
ごく僅かに残ったレンガの建物のひとつを改築して生まれ変わりました。
数々の図書館建築を手掛けた、鬼頭梓建築設計事務所によるものです。
 
最新の機織機が300台も並んでいたという空間。
今は 静かな閲覧室になりました。
高い天窓から降り注ぐ光は、柔らかく 訪れる人を包み込みます。
レンガと緑が織り成す、一幅の絵画のような風景。
明治の息吹を感じるひとときです。
 
 
  • 住所:〒656-0021 
       兵庫県洲本市塩屋1丁目1 1番8号    
  • 電話:0799-22-0712
 
 

滋賀県甲良町の古い小学校を生かした町の図書館
「甲良町立図書館」

琵琶湖の東に位置する甲良町。
町の自慢は、総檜造りの図書館です。
昭和8(1933)年に建てられた
甲良東小学校の木造校舎を移築し、再利用したものです。
 
旧・甲良東小学校は、総檜造りの贅沢なもの。
10年の歳月をかけて、村人が力を合わせて建設しました。
平成4(1992)年には甲良町の文化財にも指定され、
平成5(1993)年に現在の場所に移築。
寺社建築の名工・西岡常一さんらの尽力により
校舎の面影を残しながら図書館として生まれ変わりました。
 

 
64mもの長い廊下。 教室の壁を取り払い、ずらっと本が並びます。
木のぬくもりに溢れた図書館です。
 
  • 住所:〒522-0262
       滋賀県犬上郡甲良町横関927 
  • 電話:0749-38-8088
 
 

美の壺3.本と出会う新たな形

 

京都府立植物園の屋外図書館

 
うっそうとした緑のジャングル、京都府立植物園です。
日本最大級の温室では世界の珍しい植物と出会えます。
 
その京都府立植物園の正門(北大路通)のすぐ北にある
子供向け広場「未来くん広場」。
ここには屋外の図書館「きのこ文庫」があります。
 

 
きのこには大小ありますが、軸が太い大きなきのこに注目。
軸の部分は書棚になっていて、
扉を開けると本がびっしりと詰まっています。
全部で4つのきのこ文庫があり、
子供向けの図鑑や絵本など、約3000冊を所蔵。
そばにはベンチがあり、
誰でもきのこ文庫の本を手に取って自由に読むことが出来ます。
 
  • 所在地:〒606-0821
        京都府京都市左京区賀茂今井町   
  • 電 話:075-701-0141
 
  

惑星のような未来型大学図書館(坂茂設計)

 
未来との融合をイメージして造られたガラス張りの未来型図書館、
ここは成蹊大学の図書館です。
 
学生達が次々とやって来ます。
一日中、学生達で賑わう図書館です。
図書館と言えば、静粛がモットーと言われますが、
学生達は、
大きなテーブルで 静かに会話を交わしながら学んでいます。
 
宙に浮いているようなドーム型の箱は、
「プラネット(惑星)」と呼ばれるミーティングルームが特徴的。
「おしゃべりしたりディスカッションができる図書館」
というコンセプト。
 
そして、3階には仕切りのある机が ずらりと並んでいます。
ここは、静かに学ぶための読書ゾーンになっています。
この図書館は ゾーンごとに、静寂の度合いを変えているのです。
 
設計したのは 坂 茂さん。
建築分野の国際的な賞 プリツカー賞を受賞した建築家です。
 
 

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