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神奈川県「小田原漆器」

 
「小田原漆器」とは、
神奈川県小田原市で作られている漆器です。
主に欅(けやき)を使用していることから
堅牢で、また木地の木目の美しさが特徴の漆器です。
 
 
 

小田原漆器の歴史

 
「小田原漆器」の起源は、室町時代中期頃と言われています。
その頃小田原には、小田原城建設のために集められた
ろくろ挽きを得意とする集団が住んでおり、
箱根や伊豆の豊富な木材を使用し作った器に
漆を塗ったのが始まりとされています。
 

 
戦国時代には、北条氏3代目の北条氏康が
「小田原漆器」を更に発展させるため塗師を招き、
「彩漆塗」(いろうるしぬり)の技法を取り入れました。
 

 
このことにより江戸時代中期には
「小田原漆器」の技術が確立され、
おぼんやお椀などの日用品に加え、
武具類も作られるようになりました。
 

 
実用漆器としても江戸にも出荷された他、
城下町であることや、
利便性の高い東海道屈指の宿場町として栄える
小田原の恰好の土産物として
今日までその伝統が受け継がれています。
 
昭和59(1984)年5月31日に
経済産業大臣(元通商産業大臣)指定の
「伝統的工芸品」に指定されました。
 

 

「小田原漆器」とは

 
「小田原漆器」(おだわらしっき)
神奈川県小田原市で作られている漆器です。
 
「小田原漆器」には、主に「欅」(けやき)を使用されています。
欅の語源は、「際立って目立つ」「美しい」といった意味の
「けやけし」から来ており、
その名の通り木目がとても美しい木材で、
建築材・家具材など幅広く用いられています。
「小田原漆器」も素材を活かした美しい木目が際立つ
艶やかな仕上がりになっています。
 
 
木地作りは木材をロクロ機械を使って削り上げ、
漆を幾度も塗りこんでは磨いていきます。
漆は塗る回数が多いほど、丈夫になります。
 

 

漆には、
「摺漆塗」(すりうるしぬり)と「木地呂塗り」(きじろぬり)
2通りの塗り方があります。
 

 
「摺漆塗」(すりうるしぬり)は、
漆の木から採取した「生漆」(きうるし)
直接、何度も摺り込んで仕上げる手法です。
下地加工をしないので、
欅のキレイな木目や香り、艶がある作品が出来上がります。
 

 
一方、「木地呂塗」(きじろぬり)とは、
「錆漆」(さびうるし)と呼ばれる
水で練った砥石の粉末に「生漆」(きうるし)を加えたものを
木地に摺り込んだ後、
半透明の「透漆」(すきうるし)
「下塗」「中塗」「上塗」の3工程に分けて塗り重ね、
仕上げに水研ぎで磨き上げる手法です。
木目が更に際立ち、透けて見えるような仕上がりになります。
 
「木地呂塗」は「透漆」を3回塗るのに対し、
「溜塗」(ためぬり)は、
「中塗」の工程で朱・紅柄などの色をつけた漆を塗り、
「上塗」で「透漆」を塗って仕上げたものです。
また「彩漆塗」は、「中塗」の工程で黒い漆を塗り、
「上塗」には朱色の漆または黒い漆を塗って仕上げたものです。
 
「小田原漆器」に使われる木材は
主に国産のケヤキであることから、丈夫でゆがみが少ない漆器です。
また、実用品として流通してきたため、
経年劣化しても漆を塗り直すことで長く使い続けることが出来ます。