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イッピン「博多生まれのピリ辛味 福岡・辛子明太子」

<番組紹介>
福岡を代表する味「からし明太子」。
北の海でとれたスケソウダラの卵を原料に、
遠く九州の地で明太子に生まれ変わり、
日本の食卓に欠かせないものとなった。
今ではアメリカに進出するなど
海外でも認められつつある。
プチプチとした食感と、
どんな料理にも合う深みのあるピリ辛味。
漬け込み型のからし明太子を
ここまで発展させたのは戦後の博多の人々。
時代のニーズに合わせた商品を作り続けて
いる。
杉山愛がおいしさの秘密に迫る。
 
<初回放送日:平成25(2013)年4月16日>
 
 
「辛子明太子」は、
本場の福岡・博多で全国の7割が生産され、
米NYなど海外でも人気となっています。
今回は「辛子明太子」を徹底リサーチ、
その美味しさの秘密に迫りました。
 

柳橋連合市場


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福岡博多の名物「辛子明太子」。
「博多っ子の台所」と言われる
柳橋連合市場(やなぎばしれんごういちば)にも
明太子を作っているお店があり、
売り場には様々な種類の「辛子明太子」が
販売されています。
 
柳橋連合市場
(福岡県福岡市中央区春吉1丁目5)
 
福岡県福岡市の、渡辺通駅から歩いて
4分程の所にある市場のことです。
その歴史は大正7(1918)年からと古く、
福岡の新鮮な食材が並んでいるので
「博多の台所」と呼ばれています。
全長100mのアーケードの中には、
約50店舗程のお店が並んでいます。
 
 
 
「辛子明太子」を作っている工場で、
「辛子明太子」を作る工程を拝見しました。
 
まず、冷凍してある魚卵を
一つ一つ解すようにしながら確認したら、
昆布出汁に入れて塩抜きをします。
2日間塩抜きした魚卵は、
ダシが入り込んでパンパンな状態に。
いいタラコは、手に持った時に、ずっしり、しっかりとした重みがあるのだそうです。
 
ここでタラコに唐辛子を加えるのですが、
各作り手毎に独自の配合を行ない、
さほど辛くないものから激辛のものと、
味の差を見せる重要なポイントです。
消費者のニーズに合わせ、
メーカー側が様々な味のバリエーションを
用意しています。
 

辛子明太子のプチプチの秘密

 
「辛子明太子」といえば特徴的なのが
プチプチとした食感です。
大手メーカーの生産工場の工場の奥にある
「官能検査」と書かれた部屋では、
工場で出来上がった「辛子明太子」を
実際に食べて、味・香り・食感を
人の感覚で計測していました。
 
「辛子明太子」のプチプチは
「塩」によるものです。
実際にスケトウダラの生たらこに、
工場で使っているのと同じ濃度の
食塩水を混ぜてみると、
30分後程からたらこが盛り上がり始め、
1時間後には明らかな変化が発生しました。
 
 

「辛子明太子」誕生(ふくや

 
現在、「辛子明太子」のメーカーは
140程あります。
最初に生み出したのは、ご存じ「ふくや」の
創業者・川原俊夫さんです。
 
 
今から遡ること、約75年前。
昭和23(1948)年、戦後の焼け野原だった
福岡の中洲に市場が出来ました。
その一角にあった川原俊夫さん夫妻が開いた
食料品店「ふくや」で「辛子明太子」は
誕生しました。
 
 
年末に仕入れで「生のたらこ」を入手。
韓国・釜山で生まれで、戦前は満州電業に
勤めていた俊夫さんは、韓国で食べていた
たらこの唐辛子漬けである「明卵漬」を
作り、店頭に置きました。
これが「辛子明太子」の第1号です。
 
 
ところが「辛過ぎる」とクレームが入り、
ほとんど売れなかったとそうです。
俊夫さんは、色々な人に試食してもらい、
試行錯誤の末に、出汁に漬ける方法を見つけ
それが、今日へと繋がりました。
そうして改良を続けた「辛子明太子」は
口コミで徐々に評判が広がり、
店の前には行列が出来るまでなりました。
 
 
俊夫さんは、「辛子明太子」の商標登録も
製法特許も取らず、同業者に広くレシピを
公開。
ただ、最後の味付けは各々が工夫すればいいと
考えたことから、各メーカーは味も売り方も
工夫することになり、それが結果として
上手く住み分けることになりました。
 
 
昭和50(1975)年、山陽新幹線の全線開通を機に
「博多名物」として広まり、
昭和54(1979)年、俊夫さんは高額所得者番付で
福岡市のトップに立つまでになりました。
但し、個人所得2億0693万円のうち
納税額は1億7300万円、寄付2000万円以上で、
手元に残るのは1400万円以下。
自分の贅沢には全く関心がなかったそうです。

「デビルドエッグ(deiled egg)」

「辛子明太子」は現在、
米NYでも話題になっています。
市内にあるとあるお店では
「デビルドエッグ(deiled egg)」と呼ばれる
卵料理に活用され、人気になっていました。
 
元々米国では、日本ほど魚卵を
生で食べる風習はありませんでしたが、
今では福岡の明太子メーカーが
現地に工場を構えるほどになっています。
 
「デビルドエッグ(Deviled Eggs)」は、
ゆで卵の殻を剥いて半分に切ったら、黄身を取り出してマヨネーズやマスタード等を混ぜペーストにして、それを元の窪みに詰めた、
米国ホームパーティーの定番料理です。
デビルドエッグ専用のお皿が売られている
くらいポピュラーな料理です。
「Deviled(デビル)」の由来は、
「辛く味付けした」「スパイスの効いた」「風味が強い」という意味から来ています。
 

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