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イッピン「伝統の白を未来へ〜兵庫 出石焼〜」

<番組紹介>
粘土で精密に造形した菊の花をあしらった花入れ。
そして波打っているような不思議な形の器。
江戸時代後期に誕生した「出石焼」を
現代に伝えようと力を注ぐ職人たちを追う。
 
雪肌のような白磁、出石焼。
明治期には立体的に作った草花などをあしらった器を
海外の万国博覧会に出品。
緻密な造形を生む技法「貼花(ちょうか)」は
出石焼の代名詞となった。
しかし、出石焼の窯元は、現在たったの4軒。
ある職人は師匠である亡き父が目指した
貼花技法の復活を引き継ぎ、新たな魅力を付け加えた。
そして、磁器には不向きな方法で
これまでにない形の出石焼を生み出す職人も。
彼らの挑戦と情熱を描く。。
<初回放送日:令和2年(2020)年1月7日>
 
 
雪肌のような白磁の「出石焼」。
明治期に立体的に作った草花などをあしらった器を
海外の万国博覧会に出品して絶賛され、
緻密な造形を生む技法「貼花」(ちょうか)は出石焼の代名詞となりました。
現在、出石焼の窯元はたったの4軒ですが、
職人達の挑戦と情熱は今も変わりません。
 
 

1.虹洋陶苑(こうようとうえん)

 
 
昭和に入り、「出石焼」で作った絶縁体の「碍子」(がいし)
品質が良く上質のものであったため、
地場産業として出石の町に発展をもたらしました。
虹洋陶苑(こうようとうえん)の先代、山本耕太郎さんは
その電気絶縁碍子を製造する出石の会社で工場長を務めた後、
昭和47(1972)年に独立して「虹洋陶苑」を開窯しました。
 
二代目・山本和則さんは、
祖父は京都の清水で活躍した陶工で、
祖母も瀬戸市の出身であったことから、
自分には焼き物の名産地の遺伝子が流れているのだから、
自分もその道に進むと思っていました。
親からは反対されたそうですが、
高校卒業後、京都の短大で陶芸を学び、窯元で修行を積んだ後、
出石で父・耕太郎さんの後を継ぎました。
 
お父様の耕太郎さんは戦争で指を傷めたため、
轆轤を使うことが出来ませんでしたが、
とても器用であったことから、
表面を彫って花や草木を表現する「貼花技法」(ちょうかぎほう)による
彫刻の飾り花をつけた皿や精密な細工を施した花瓶などを作りました。
 
 
和則さんは、師匠である亡き父が目指した「貼花技法」の復活を引き継ぎ、
新たな魅力を付け加えています。
 
「貼花」(ちょうか)のここでいう「花」とは模様という意味です。
つまり「貼花技法」とは、
陶磁器の表面に粘土で作った模様を貼りつける、
古来から使われた装飾技法です。
 
「出石焼」は、純白の原料「柿谷陶石」を使う、
白い白磁が基本とされていますが、
近年は色釉や染付など、
従来の出石焼に捉われない作品も数多く生み出されており、
山本さん自身も繊細な絵付を行ったり、
様々なコラボレーションを行っています。
 


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  • 住所:〒668-0225
       兵庫県豊岡市出石町八木57
  • 電話:0796-52-5945
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2.永澤兄弟製陶所(ながさわけいていせいとうしょ)


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永澤兄弟製陶所(ながさわけいていせいとうしょ)は、
初代・永信が江戸期から続いていた永喜山窯で作陶し、
今日の出石焼の礎となった
「盈進社」(えいしんしゃ)や「県立陶磁器試験所」で活躍した後
明治40(1907)年に開窯した歴史ある窯元です。
 

 
永澤永信は、写実的で精緻な細工を得意とし、
日本近代工芸史を代表する作品を残しました。
 
 
 
そして現在、代々窯元として出石の伝統を守っているのは、
5代目として創作を続けていらっしゃる永澤仁さんです。
 
愛知県立芸術大学を卒業後、スペインを旅し作陶。
帰国後は公募展で入賞、入選を重ね、
神戸・大阪・名古屋などで個展を開催しています。
 
永澤仁さんは、磁器としては珍しい「手びねり」という手法を用いて
作品を作っています。
 
焼き物の成形には、
主に「ロクロ」「タタラ」「鋳込み」の3種類の技法の他、
「手びねり」や「紐づくり」など、
手で一つずつ作る少量生産向けの技法もあります。
 
「手びねり」は、機械に頼ることなく
ひたすら自らの手で土を捏ね、成形するという手法です。
「手びねり」で作れる器の形には、基本的に制限がありません。
指先の感覚ひとつで、自由に造形を繰り広げられるのが魅力です。
ところが、磁器用の土は非常にキメが細かく、
陶土に比べると扱いが難しいことから、
「ロクロ」か「鋳込み」で成形をすることが多く、
「手びねり」をするのには不向きな土です。
 
永澤さんは、その磁器には不向きな「手びねり」という手法で
これまでにない形の出石焼を生み出し続けています。
 

www.izushiyaki-nagasawa.com

永澤兄弟製陶所
  • 住所:〒668-0214
       兵庫県豊岡市出石町内町92−1
  • 電話:0796-52-2155
 
 

≪参考≫ 兵庫県「出石焼」(いずしやき)

omotedana.hatenablog.com

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