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イッピン「極限まで木を挽く!山中漆器」

<番組紹介>
石川県加賀市・山中温泉で作られる「山中漆器」は
400年の歴史を持ち、
木目を生かしたデザインと精巧な模様がいま
ドイツなど海外で注目を浴びている。
木を加工する職人「木地師」は
ろくろをひきながらカンナで器を削り出す。
木地師たちの技を女優・加藤夏希がリサーチする。
 
茶筒づくりの工房では「千筋」と呼ばれる模様を、
表面に数ミリずつ等間隔に作っている。
稲穂が垂れたような「稲穂筋」や
菊の花が咲いたような「菊筋」など、
カンナを当てれば一瞬で華麗な模様が生み出す。
繊細な器が得意な職人は、
わずか0.5ミリの薄い皿を作り上げる。
ニューヨークで個展を開いて
作品すべてが完売する若手木地師の工房では、
木目を生かしながら美しいツルツルの器を作り出す
女性職人に迫る。
 
<初回放送日:平成26(2014)年2月11日>
 
 
 

1.茶筒「Karmi Tea Canisters」(我戸幹男商店・我戸正幸さん)


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我戸幹男商店の「Karmi Tea Canisters」は、
2010年度グッドデザイン賞・中小企業庁長官賞、
2011年度ドイツ・デザインプラス賞に続き、
2012年には世界で最も権威あるデザイン賞の一つ、
German Design Council主催の
「ドイツ連邦デザイン賞 2012」
(Designpreis Deutschland)において
1500点以上の候補の中から銀賞を受賞した作品です。
 

 
我戸木工所は明治41(1908)年に石川県の山中温泉地区で創業。
木地屋の理念を受け継ぎ、
漆器の元となる木地の完成度にこだわった製品を
数多く作り上げてきました。
近年は、山中漆器の伝統にデザイナーの新しい感性を融合させた
新しい漆器を世に送り出し、新たな注目を集めています。
 

 
茶筒「KARMI(かるみ)」シリーズは、
デザイナーとのコラボ商品で、
加飾挽きの「千筋」と呼ばれる細い溝を表面に施した茶筒です。
「Karmi」はその端正な佇まいに見とれてしまうほど
美しい茶筒です。
シンプルで柔らかなフォルムが手に馴染みます。
一般的に茶筒と言えば缶が多いのですが、
実は温度や湿度などの外気の影響を受けにくい木は
缶以上に茶筒に適した素材です。
 

 
「Karmi」の茶筒も密閉性も良く、茶の風味を逃しません。
スッと落ちる感覚を楽しめる精度の高い滑らかな蓋の開閉は、
数ヶ月をかけて木地が含む水分を適切な率に調整する丁寧な木地作りと、
職人の長年に渡る経験から得られた技術と勘によって実現しました。
 

 
「Karmi(かるみ)」という製品名は、
山中にも逗留した松尾芭蕉が生み出した俳諧理念の一つである
「軽み」から引用したものだそうです。
松尾芭蕉は天明2(1689)年に山中温泉を訪れ、
大聖寺川が流れる鶴仙渓を擁した風光明媚な自然を題材に、
『奥の細道』の中にいくつかの優れた句を残しています。
 

 
  • 住所:〒922-0128
       石川県加賀市山中温泉こおろぎ町3−7
  • 電話:0761-75-7244
 
 

2.久津見木工・久津見 洋一さん


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山中漆器の特徴的な技法には
「縦木取り」「加飾挽き」「うすびき」があります。
久津見木工は、製材屋から来た木材を器の形に挽く他、
山中では数少なくなった加飾挽きが出来る貴重な工房です。
「Karmi」シリーズなども一手に引き受けています。
 


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久津見洋一さんは職人歴約30年。
加飾挽きは、電動ろくろに木材をセットし、
2本の突起が付いた小刀を定間隔にずらしながら模様を挽いていきます。
道具のカンナや小刀は自分で鍛錬したものです。
 

 
久津見木工
  • 住所:〒922-0106
       石川県加賀市山中温泉上原町ワ555
  • 電話:0761-78-2676
 
 

3.木地師・平田秋平さん

平田さんは、薄挽きの名人。
木地ろくろ挽きの「遊環技法」をただ一人受け継ぎ、
緻密な加飾による創作活動と伝統技術の保存に努めています。
 
 

4.木地師・田中瑛子さん


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田中瑛子さんは愛知県出身です。
高校時代から陶芸や漆器などに興味を持ち、
大学では漆芸を専攻しました。
その後、石川県挽物轆轤技術研修所専門コースで学び、
卒業後は、研修所で講師をしていた木地師・中嶋虎男師に弟子入り。
平成24(2012)年に独立して、「工房あかとき」を設立しました。
 
全国の頂点に立つ「挽物轆轤技術」の修得と後継者育成、
及び将来の山中漆器産業を担う人材の養成、
自主研究等を行うための産業振興の中核施設として
平成9(1997)年4月4日開設されました。
全国で唯一「挽物轆轤技術」及び「漆芸技術」を
専門的に学べる研修施設です。
 
田中さんは、木地挽きから漆塗りまでを手掛けます。
平成23(2011)、25(2013)年にはNYで作品展を開催した他、
東京、インドネシア、コロンビア、台湾、ドイツ、オランダ、
シンガポール、タイ等で展示、技術指導など活動を広げています。
 


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