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美の壺「夏の輝き 氷」 <File510>

<番組紹介>
目にも涼しく、食べてひんやりの「氷」を存分に味わう
 
 ▽チェーンソーで大胆に形作る「氷彫刻」。
  美しくとけゆく中に隠された技とは?
 ▽氷の中を削って生まれる幻想的な花「フローラルアイス」
 ▽八ヶ岳産ふわふわの「天然氷」で作るかき氷の奮闘記
 ▽千利休が愛した茶碗がモデルとなった「氷の器」
 ▽氷でつくった不思議なレコード。いったいどんな音が!?
 ▽ウイスキーの大事な相棒・ロックやミストに変幻自在の氷
 
<初回放送日: 令和2(2020)年8月28日>
 
 
暑~い日本の夏に欠かせない氷。
1000年以上も前から重宝されてきた、日本の夏の風物詩です。
大きな氷の塊がみるみるうちに芸術作品へと変化する氷彫刻。
いつかは溶けてなくなってしまう儚さが美しさを引き立てます。
天然氷を使ったフワフワのかき氷は、夏の大人気の一品。
粋な演出で料理に華を添えるかと思えば、何とレコードにも。
様々な形に変化を遂げる氷。
今回の「美の壺」はその美を堪能しています。
 

 
 

美の壺1.一瞬の芸術

アイスアートクリエーター(曽根秀幸)さん


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お台場にあるリゾートホテル
グランドニッコー東京 台場」の冷凍室では、
宴会・パーティーの演出として「氷の彫刻 《Ice Carving》」をする
アイスアートクリエーターの曽根秀幸(そねひでゆき)さん。
チェーンソーやドリルを使って、「氷の鷹」を作っています。
 

www.tokyo.grandnikko.com

先ず、鷹の輪郭を氷にスケッチし、
チェーンソーで大胆に外側から削っていきます。
溶けないように、作業は冷凍室で行います。
曽根さんは、マイナス13度の環境で、
氷のしぶきを全身に浴びながら作品を製作します。
 
冷凍室から出すとすぐに溶け始める氷彫刻だけに、
曽根さんは氷彫刻が溶けてゆく様もイメージしながら彫り進めます。
氷彫刻が美しく見られるのは、約1時間。
その命が儚いことを知り尽くす、曽根さんならではの作品です。
 
  • 住所:〒135-8701
       東京都港区台場2丁目6−1
  • 電話03-5500-6711
 
 

氷彫刻家・ニ橋一幸(にはしかずゆき)さん


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氷を外側から削る人もがいる一方、
浜名湖の畔に住む「氷工房にはし」の
氷彫刻家・ニ橋一幸(にはしかずゆき)さんは、
ドリルで氷に穴を開けて、内側を削った
「フローラルアイス」という氷の花を作っていいます。
中に色を挿して、色彩も楽しむ事が出来る、
「水中花」ならぬ「氷柱花」です。
 

 
二橋さんが使うのは、40cm角の氷。
ドリルで氷に穴を開けて、中を削っていきます。
ドリルを差し込む角度や深さを変えることで
花びらの柔らかさを表現します。
 
実家がうなぎ屋という二橋さんは、
料理技術の一つとして氷彫刻を学ぶ過程で、
15年前に「フローラルアイス」と出会い、
その美しさに夢中になったそうです。
 
氷の穴に雪状の氷の粉を詰め込ながら、
目にも留まらぬ速さで色を差していきます。
中に入れた雪状の氷の粉にゆっくりと色が浸透して
花びらに濃淡が生まれます。
 
色付けは時間との勝負です。
中の雪が溶けて水になる前に色を入れなくては、
キレイなグラデーションが表現出来ないのです。
 
二橋さんは作業前にかなり集中してイメージトレーニングします。
作業中は考えてる暇はなく、
スピードが肝心で、一発勝負になり、
そのため毎冬でも汗だくになるそうです。
 
「一輪は、大丈夫なんですが、
 二輪、三輪の時に重ねて作るのはかなり難しく、
 自分としては未だ完璧とはいかなく、修業だ」と
思っているそうです。
 
ドリルで作る花びらの柔らかさと色のグラデーションが
立体的な花を作り上げます。
 
  • 住所:〒431-1305
       静岡県浜松市北区細江町気賀
       10629-7
  • 電話:090-2188-4123
 
 
 

美の壺2.自然の涼をいただく

八ヶ岳で天然氷をつくる(高橋秀治さん)


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フワフワとした食感、溶けにくさなどから、
人工氷でなく、自然の寒さで凍らせた「天然氷」が見直されていて、
「天然氷」を売りにするかき氷屋さんも増えて来ています。
 

 
八ヶ岳の麓で「天然氷」を作っている
かつては IT企業を経営していましたが、
「天然氷」で作ったかき氷を食べたことがきっかけで、
8年前、氷を作るために山梨県北杜市に移り住みました。
一念発起して「天然氷」を作り始めたものの、
自然相手に試行錯誤が続きました。
 

 
作業が始まるのは11月です。
八ヶ岳から流れてくる地下水を汲み上げて、
専用の池に張ります。
マイナス5度以下になると、
自然の寒さで池の表面が凍り始めるのですが、
ひとたび雨が降ると、表面に埃などが付着し、
それが溶けて氷の中に侵食してしまうので、
凍った氷を一旦、全て割ってしまわなければならなりません。
 
水を入れてから2週間。氷はようやく15cmの厚さになります。
高橋さんの「天然氷」は、
ゆっくりと固まる時に不純物が押し出されるため、
人工氷と違い、抜群の透明感が生まれます。
出来上がる氷は多い時で200t。
冷凍庫で夏まで保存し、全国に出荷しています。
 
 

滋賀・東近江の料亭「招福楼」の氷の器

 
滋賀県東近江市には、
四季折々の食材を用いた料理でおもてなしをする
70年以上続く日本料理の老舗料亭「招福楼(しょうふくろう)
あります。
 

 
夏になると、様々な形の氷が料理を引き立てています。
をのせた一品です。
氷の器に、そうめんにオクラのたたきと卵の黄身を載せた料理が
盛られています。
 
氷の器に盛った料理は、
戦後、店が開業してすぐに考えられたそうです。
クーラーも無い時代、
夏の暑い時に、よそでは無い夏らしいもてなし方を考えるうちに、
辿り着いたのが、この「氷の器」でした。
氷の器は全て手作りで、
小さいノミで 氷の塊に穴を開けて、周りを削ります。
 

 
 
氷の器でお薄(おつゆ)

 
表千家には「禿」(かむろ)という、
初代・長次郎の作った黒楽茶碗があります。
「禿」(かむろ)という茶碗は、利休がずっと大事にしていた愛蔵品で、
事あるごとに一番よく使用していました。
 
「氷の器」は溶けてくると、角が取れて、柔らかい曲線になって、
「禿」(かむろ)のイメージにだんだん似てきます。
つゆを注ぐと、まるでお茶が入っているかのように見えることもあり、
最後には ナプキンで器を包み、
抹茶を味わうようにつゆまで、両手で飲み干すようです。
 

 
地のものや珍味を盛り合わせた「八寸」は、
細かく砕いた氷の下に、特注の銀皿を合わせます。
まるで水面に映る月のようで、
何とも涼やかな雰囲気を醸し出しています。
しかも、この銀皿には秘密があり、
氷が溶けても水浸しにならない様に、
氷の下の銀皿には水面に映る月の模様があるのですが、
この隙間から滴が落ちるようになっているのです。
料理に華を添える、氷の粋な演出です。
 
  • 住所:〒527-0012
       滋賀県東近江市八日市本町8-11
  • 電話:0748-22-0003
 
 
 

美の壺3.変化を楽しむ

 

氷のレコード


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冷凍庫に並ぶ「氷の円盤」。実はこれレコードです。
現代アート作家の八木良太さんは、
音をモチーフにしたアート作品を手掛けていて、
その一環として作ったのが「氷のレコード盤《Vinyl》」です。
 
氷のレコードを作るには、
まず普通のレコードにシリコンを流し込んで型を取り、
その型に水を入れて凍らせると、
溝がしっかりとコピーされた「氷のレコード盤」が出来上がります。
 
レコードプレーヤーに乗せると、
氷のレコードから音楽が流れてきますが、
この氷のレコード、氷ならではの楽しみ方があります。
曲が始まって 少し経つと・・・・、
氷が削れる過程で針が飛んで、同じフレーズを繰り返すようになります。
 
更に次第に旋律が弱くなるにつれて、
氷が削れる音が大きくなっていきます。
普通のレコード盤なら、不快な雑音であり、音飛びになるのですが、
「氷のレコード盤」だと思うと、氷が奏でる不思議な音に魅了されるとか。
音と氷が削れる音のハーモニー。

昔の蓄音機で聞くEP盤のような魅力があります。

 
 

銀座のウイスキーバー「ダルトン」

 
50年以上続くウイスキーバー「ダルトン」でも、
氷は大切な役割を果たしています。
使うのは「純氷」(じゅんぴょう)と呼ばれる氷です。
空気が入らないように水を攪拌させながら凍らせると、
密度が高く、硬くて溶けにくい「純氷」が出来ます。
 
「純氷」(じゅんぴょう)は、
水道水を丹念にろ過、殺菌して不純物を排除し、
撹拌しながら、主としてアイス缶方式により、
‐10℃前後で、48時間以上かけて凍らせた氷です。
気泡や塩素などの不純物が入っていません。
不純物は熱伝導が良いため、
不純物が多いほど溶けやすい氷になってしまいます。
それに対し、不純物を含まない「純氷」は、
見た目が美しく、溶けにくい氷となるのです。
また、水の味の決め手となる鉄分などを全く含まない
完全なる無味無臭なので、飲み物や食べ物の味を損なわず、
食材が持つ本来の旨味を引き出すことが可能です。
 
この「純氷」をナイフで削ってキレイな丸い形を作り、
それをグラスに入れて、「ロックウイスキー」を作りました。
始めはウイスキーの力強い刺激を味わい、
氷が溶けるとまろやかな味わいになり、
飲むたびに、ゆっくりと味が変わっていきます。
 

 
細かく砕いた氷は、ウイスキーをミストで味わう時に使います。
こぼれ落ちそうなくらい氷を入れたグラスにウイスキーを注ぐと
急激に温度が下がり、霧のような水滴がグラス全体を曇らせます。
ロックとは異なる爽やかな風味のある「ロック ミスト ソーダ割り」が
味わえます。 

www.ginza-bar-doulton.com

  • 住所:〒104-0061
       東京都中央区銀座6丁目5−14
       銀座能楽堂ビル別館 4F
  • 電話:03-3289-0388
 

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