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美の壺スペシャル「現代のうつわ」

<番組紹介>
コロナ禍でおうち時間が増える中、
若い世代に中心に人気を集める「現代のうつわ」を大特集
 
 ▽人気ファッションデザイナーも愛する
  「美」と「実用」を兼ね備えた「生活工芸」とは?
 ▽展覧会を開けば売り切れ必至の人気作家の創作現場へ
 ▽日本の器がいま中国で大人気?!
  中国料理と和食器が生み出すマリアージュ
 ▽個性派ギャラリーや人気作家が新しい器の魅力を提案
 ▽自然の力を借りて作り出す器の新しい「景色」とは?
 
初回放送日: 令和4(2022)年6月25日(土)
 
 
 

美の壺1.使う人と作り手を結ぶ “生活工芸“

 

器の景色を借りて(ファッションデザイナー・皆川明さん)


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流行に囚われないオリジナルの図案による生地と物語性豊かなデザインで、
国内外で高い評価を受ける「minä perhonen(ミナ ペルホネン)」の
デザイナー、皆川 明(みながわ あきら)さん。
「ペルホネン」とは、フィンランド語で「蝶」。
出店しています。
 

 
皆川さんは、器のある暮らしを何よりも大切にしています。
この日使っていた器は、沖縄の現代やむちんの第一人者、
「大嶺工房」窯元・大峰實清(おおみねじっせい)さんの大皿です。
皆川さんは、料理を盛る時は大きめの器を用います。
器の景色を借りるそうです。
器のデザインや形、制作した時の気持ちに寄り添いながら
料理を組み立てるのが楽しいそうです。
 


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いちごは、「晴耕社ガラス工房」の荒川尚也さんの硝子皿に
整列するように盛り付けました。
 

 
 
雑誌『SWITCH』に「おいしい景色」を連載していて、
料理家・坂田阿希子さんが作った料理に、
デザイナー・皆川明さんが
自らのコレクションから料理に合わせて器を選り出して、
とっておきの一皿を作り上げています。
 

 

www.switch-pub.co.jp

 

作り手から使い手へのメッセージ(陶作家・安藤雅信さん)

 
皆川明さんは、トマトを盛る時の専用の器があります。
揺らぎのある白い器に真っ赤なトマトを載せると、
まるで白い花が咲いたようです。
 
岐阜県多治見市にある「ギャルリ百草」を主宰する
陶芸家で彫刻家で茶人でもある安藤雅信さんによるものです。
和洋問わず使用出来る、日常食器を制作しています。
 
安藤さんのゆらぎのある器は、「タタラ技法」で作られています。
安藤さんは石膏型に板状の粘土を置き、叩いて成型をします。
同じ型を使っても、
叩き加減で同じものは作ることが出来ない一点ものです。
 
「タタラ」は、「タタラ板」と呼ばれる細長い板を使って
土の塊を薄く均一の厚みにスライスして作る技法です。
棒状のもので土を押し潰して作られることもあります。
石膏などで作った型にタタラを押し当てて作るものも
あります。
 
安藤さんは、武蔵野美術大学で彫刻を学び、
現代作家として活動をしていました。
新婚生活でお気に入り器がなく、
自分で理想の器を作ることを思い付きます。
 
そんな時出会ったのが
17世紀のオランダのデルフト陶器の白釉の皿です。
素朴で使い手による自由さを感じたそうです。
 

 
安藤さんは、器の底がすり減らないように
ツヤのある釉薬を使います。
狭いテーブルにもたくさんの皿が置けるように
楕円形の器をいち早く手掛け、現代の作り手に影響を与えました。
安藤さんは、使い手の意識を問いかける器を作り続けています。
 

 ギャルリ百草

  • 住所:〒507-0013
       岐阜県多治見市東栄町2-8-16
  • 電話:0572-21-3368
 
 
 

生活の気づきを器に(木工作家・三谷龍二)


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長野県松本市の木工デザイナーの三谷龍二さんは、
生活工芸のパイオニアと呼ばている人です。
 

 
三谷さんは、劇団員などいろんな職を経験後、
43年前に松本へ移り住み、
昭和56(1981)年に長野県松本市に工房「ペルソナスタジオ」を開設。
昭和58(1983)年より、陶磁器のように「普段に使える食器」として、
木の器を作り始めると、多くの共感を得、
それまで家具中心だった木工の世界を広げることに貢献しています。
 

 
三谷さんが、木の器をもっと身近に感じてもらいと思い、
行き着いたのが「漆」との融合です。
木の素材に黒漆を塗り、その上に白漆を塗り上げます。
刷毛目のズレやノイズ感が面白いと三谷さんは言います。
 

 
 

美の壺2.器は作家をあらわす

ものづくりの情熱を胸に(ギャラリーオーナー・広瀬一郎さん)

東京西麻布に活躍する作家が心を寄せる人がいます。
ギャラリー「桃居」(とうきょ)のオーナーの広瀬一郎さんは
35年前のバブル全盛時代にギャラリーをオープンしました。
当時は、主に有名作家の作品や高級の器を扱っていましたが、
その後、無名の作家を開拓、
その中のいくつかを紹介していただきました。
 
一見、朽ち落ちたような古木の器は、
工業デザイナーであった羽生野亜(はにゅうのあ)さんの作品です。
古木の節や木目、風合いを新しい木材から作り出しています。
 
津田清和(つだせいわ)さんは、
奈良県葛城市で、どこか懐かしさを感じさせる
日常使いの硝子の器を中心に制作するガラス作家さんです。
 
安齋賢太さんはマットで表情豊かなテクスチャーをもつ白磁と、
陶で作られたボディの上に漆を塗り重ねた、
独特の質感をもつ黒い作品を制作する陶芸家さんです。
 
神宮州太さんの漆工作品も紹介されていました。
 
広瀬さんが大切にしているのは、作家の物作りへの情熱です。
作家と話して、何を思って何を目指しているのかを知ることだそうです。
作り手の人間の魅力を引き出している広瀬さんです。
 

  ギャラリー「桃居」

  • 住所:〒106-0031
       東京都港区西麻布2丁目25-13
  • 電話:03-3797-4494
 
 
 

人気のティーポット(陶芸家・村上躍)


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陶芸家の村上躍(やく)さんは、
平成10(1998)年に陶器の創作を開始して以来、
ろくろを使わず、
ひたすら自らの手で土を捏ね、成形するという
「手びねり」の手法にこだわり続けてきました。
 
「手びねり」で作られた
村上さんの代表作である「ティーポット」は、
手に馴染む質感、
シャープなラインと微妙な手跡が残る温かい柔らかさ、
様々な化粧土を用いて生まれた侘びた美しさがあり、
入手困難になっているほどの人気の商品です。
 
村上さんは、急須の内側部分にある
「茶こし」と「注ぎ口」の部分にこだわっていて、
「茶こし」の部分には
茶葉が詰まらない最適の穴の大きさや形をつけます。
「注ぎ口」の部分には、何より神経を使って
液ダレを防ぐための数㎜の折り返しをつけています。
そのため村上さんの「ティーポット」は
水切れの良く、注がれる水量も気持ち良く、葉詰まりもないと
絶賛されています。
 
素朴な質感と工業製品のような機能性は相反するものですが、
これが村上さんの個性です。
 
村上さんは
「手回しろくろ」の上で粘土を叩いたり伸ばしたりして、
指先の感覚で厚みや曲線を作っていきます。
「土と向き合いながら形を作る時間の流れとリズムが
 ご自身の身体の流れと合っている」と
村上さんはおっしゃいます。
 
 

個性は表情(ガラス作家・長野史子さん)


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名古屋を拠点に活動しているガラス作家・長野史子さんの作品は、
実用品でありながらアートのような佇まいを持っています。
 
長野史子は好奇心旺盛で見たことのないものを作りたいと思い、
実験を重ねて作品を作っているそうです。
 
長野さんの自宅兼実験室があります。
「ガラス技法」には様々なものがありますが、
主なものとしては、
溶けたガラスを竿に巻きつけて吹いて膨らませる
「ブロウ(吹きガラス)」と、
型にガラスの粉を詰めて窯で溶かす
「キルンワーク」に大別出来ます。
技法も設備も対極的なこの二つの技法を
同時に手掛ける人は多くありませんが、
長野さんはそれぞれを独自に取り入れて、
様々な表現を可能にしています。
 
長野さんは大学卒業後、
テレビ局に就職して美術の仕事していました。
担当は料理番組。
そこで器に興味を持つようになり、
仕事をしながら、週末はガラス工房に通い詰めて技術を学び、
作品を作り始めました。
ガラスに集中したいと「瀬戸市新世紀工芸館」で学び、
その後は瀬戸や名古屋のガラス作家の工房でアシストをしながら、
作品制作をしてきました。
そして平成23(2011)年からは、
自らの工房で精力的に制作に取り組んでいます。 
 
おっちょこちょいな性格という長野さんですが、
お陰で、作品に良い影響をもたらしたようです。
例えばガラスの粉の量や温度を間違えてしまったことから、
新しい発見がありました。
電気釜から作品を取り出し研磨をすることで、
作品に別の表情が現れました。
 
 

日本のうつわの知られざる物語(民俗学者・神崎宣武さん)

 
民俗学者の神崎宣武(かんざきのりたけ)さんが
日本の食文化と器の関係について語って下さいました。
 
今に伝わる器の多くは、江戸時代の食文化に基づいています。
お膳の上には、五種類程度の器を載せるのが
ごく一般的なスタイルです。
 
庶民は、畳の上に「平膳」(ひらぜん)と呼ばれるお膳を置いて
食事をしました。
飯茶碗は、直接口元に運ぶため、薄くて丈夫な磁器が好まれました。
汁椀の蓋の裏側には、めでたい絵柄が描きこまれています。
皿には粋な工夫が施されています。
食べ進むに従って、皿の景色が見えてきて、
料理と器が共に楽しめるようになっているのです。
目で見て味わって、食事を彩るための多くの器が日本で生まれました。
 
 
 

美の壺3.器から学ぶ美意識

時を刻むうつわ(菓子屋店主・溝口実穂)


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東京・台東区の浅草鳥越には、
夜のとばりが降りた頃に開店する茶寮があります。
菓子屋 ここのつ」です。
1日5人限定の、2時間の時間をかけてじっくり味わうコースを
提供しています。
 
菓子屋 ここのつ」を主宰する溝口実穂さんの作る菓子は、
どれも独創的です。
和でも洋でもない、菓子とも料理とも言えない自らの創作品を
「糧菓」(りょうか)と呼んでいす。
何事も自由で、決まりごとがないそうで、
カリフラワーのスープの中には、
チョコレートムースを包んだ蓮根の饅頭が浮かんでいます。
 
店内には、溝口さんがコツコツと買い集めた器があります。
器の組み合わせにも、溝口さん独特のな世界観が生み出されています。
骨董店で見つけた年代物の黄瀬戸の皿には、
現代作家・安藤雅信さんのグラタン皿を組み合わせて使います。
茶渋も愛おしいと溝口さんは言います。
茶渋の積み重ねが年輪となって、器の歴史を育んでいくのだそうです。
器に金継ぎも施されていて、新たな景色が時を刻んでいます。
 

 菓子屋ここのつ

  • 住所:〒111-0054
       東京都台東区鳥越1-32-2
  • 電話:090-4455-1713(完全予約制)
 
 

北京のギャラリー(ギャラリーオーナー 李若帆)

日本の器の文化にChinaが熱い視線を注いでいます。
北京のギャラリーでは日本の器が人気で、
毎年、日本作家の展覧会を開催しています。
 
今回は、高知県香美市で工房を構えている
小野哲平さんの個展が開かれていました。
小野さんは、高知の棚田の美しい山あいで
自給自足に近い生活を送りながら作陶している作家さんです。
小野さんの生み出される素朴で、温かさ、純朴で、力強い作品は、
どことなく人を癒す力があります。
 
ギャラリーオーナーの李若帆さんは、
10年前より日本の器の魅力を伝えてきた第一人者です。
また、こちらのギャラリーでは、
器を実際に使うイベントも行われていて、
見て・触って・盛り付けて、
自分の生活に器をどのように溶け込ませるのか、
いろんな感覚を体験することが出来ます。
 
 

雑誌社勤務の日本の器ファン(料理研究家・陳超)

雑誌社に勤める陳超さんは、日本の器と出会って人生が一変しました。
陳さんが料理を始めたきっかけは、日本の器だったそうです。
Chinaとは違って、器と料理の組み合わせに美意識を感じたと言います。
以来、日本に訪れる度に工房や展示会に足を運び、
和食器について学びを深めました。
今や家族の一員となった日本の器は、
生きる道を切り開き、ますます広がりを見せているそうです。
 
 
 

美の壺4.器のかげにつなぐ人あり

器と料理をつなぐ(器料理店「カモシカ」/
料理家・吉岡秀治さん、料理家・吉岡知子さん)

 
東京・杉並区にある器料理店「カモシカ」では、
ユニークな手法により器の魅力を発信しています。
店内には、展示スペースとキッチンが併設されています。
棚には器が展示してあって、
器が映える料理やお菓子を盛って作品の魅力も伝えています。
シンプルで美しく、使い込むと風合いが増していく器が
紹介されています。
 
オーナーの料理家・吉岡秀治さん・知子さんご夫婦がこの日使った器は、
岡山の陶芸家・伊藤環さんの深い小鉢のようなお皿です。
この器で、コース料理・全5品を提供します。
ひとつの器がいろんな表情を見せてくれます。
 
吉岡ご夫妻は「オカズデザイン」というユニットを組み、
「時間がおいしくしてくれるもの」をテーマに
シンプルで普遍的なものづくりを目指し、
書籍や広告のレシピ制作・器の開発、
映画やドラマの料理監修などを手掛けています。
 
使い手の意見を作家に伝え、
新しい器をプロデュースすることもあります。
名古屋で金属を素材に作品を作っている金森正起さんの器も、
吉岡夫妻がプロデュースをしたものです。
金属の琺瑯が素材となった器です。
器と作家の架け橋のようなお二人です。
 
 
 
 

ガラスのコップが生み出すアート
(「factory zoomer」ガラス作家・辻和美さん)


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石川県金沢市で工房 「factory zoomer」を営む
ガラス作家の辻和美さんは、
アート作品を日常生活に引き込んだ先駆者です。
代表作品は、ガラスで作った蕎麦猪口です。
 
辻さんは絵を描くことが好きで美大のデザイン科へ進学。
卒業後は現代美術家を目指して渡米、
カリフォルニア美術工芸大学のガラス科で学ぶうち、
からだ全体を使って作る吹きガラスに引き込まれ3年半滞在。
金沢に戻り卯辰山工芸工房の専門員を勤め、
平成11(1999)年に「factory zoomer」設立しました。
 
「コミュニケーション」をテーマに、
失われつつある人との関わりを問いかける
斬新な作品を発表していましたが、
次第に挫折感を感じるようになります。
そんな時、友人の器を手にした時の言葉や感情をきっかけに
方向性を転換しました。
 
 
「color」展では、
大きなテーブルの上にはカラフルなグラスが埋め尽くされています。
これら50色近くの色ガラスのコップはガラスの色サンプルで、
人種や国、性別の多様性を投影しています。
 
コップは1個単位で買えるようになっていて、
作家の眼によって選ばれた色ではなく、
訪れた人が、悩んで、楽しんで、騒ぎながらまたはこっそりと、
好きな色を選んで持ち帰ります。
「color」は、今や辻さんの代表的なシリーズのひとつになっています。
 
辻さんは、コップを作って多くの人の手に渡ることが、
斬新な現代美術よりも希薄なコミュニケーションを埋めることに
一役を担っていると感じるようになりました。
多種多様のガラスコップがそれぞれの暮らしにいろんな色をつけています。
 
 
 

美の壺5.器の中に自然を見つける

 

自然の潜在能力を生かす(ガラス作家・艸田正樹さん)

 
石川県金沢市のガラス作家・艸田正樹(くさだまさき)さんは、
その日の天気に合わせて、どんなものを作るかを決めます。
 
装飾のないシンプルな器「つめたい水」は、
春の雪解け水や、真夏の水しぶきを連想させる器です。
 
 
艸田さんは吹きガラスの技法の中の「ピン・ブロウ」という技法を用いて、
透明な器を作っています。
 
一般的な「吹きガラス」では、筒状の鉄竿を用いて、
巻き取ったガラスに息を吹き込んで膨らませます。
一方「ピン・ブロウ」では、
(芯の詰まった)ただの鉄棒にガラスを巻き取り、
ガラスが柔らかいうちに
針(=ピン)で突いて開けた穴に空気を吹き込んで(=ブロウ)、
膨らませます。
艸田さんの場合は、筒状の鉄竿に濡れた新聞紙で穴を塞いで、
水蒸気で膨らませるという方法を採っています。
 
艸田さんは、色や気泡などで模様をつけたりせず、
また、道具などでガラス表面を触って形を整えることもせず、
ただ、重力と竿を回す遠心力とだけを用いて制作しています。
簡単な道具や単純な技法により出来る限り人の手を加えず、
作為を削いでいく程に現れるシンプルなフォルムには、
シンプルな美しさと柔らかな透明感があります。
 
 
 

自然の恵みを受けて(塗師・赤木明登さん)

 
石川県輪島市の塗師・赤木明登(あかぎ あきと)さんは、
ハレの器である漆器を日常使いの食器にした
現代を代表する作家の一人です。
 
「漆のパスタ皿」は、
金属製のカトラリーを使っても傷がつかないように
鉄の粉を混ぜた漆で仕上げられています。
「パン皿」には、下地に和紙を貼ることで
手の跡や傷がつきやすい漆器のイメージを変えました。
 
 
10月の秋晴れの日、赤木さんは、
天日てんぴクロメ」と呼ばれる太陽の日差しを利用する作業に
取り掛かっていました。
機械化が進んだ現代、手作業ですることがなくなった
漆の精製方法です。
 
木から採取したままの樹液を
「荒味漆」(あらみうるし)と言います。
「荒味漆」には木屑や樹皮などが混じっているため、
これを濾します。
この濾した漆を「生漆」(きうるし)と言います。
この「生漆」は「精製漆」の原料になったり、
下地塗りにも使われます。
 
精製していない「生漆」を顕微鏡で見てみると、
油分である「ウルシオール」の海の中には
小さな「水球」が沢山散らばっている状態になっています。
その状態の漆を「塗料」として使うと、
水分が多過ぎてサラサラしていて塗膜に厚みが出ず、
また水球の粒子が大きいので、
塗膜に光沢が出ずに美しく仕上がりません。
そのため、「生漆」を精製しなければなりません。
 
まず「生漆」を攪拌することにより粒子を均一にする
「ナヤシ(攪拌)」という作業を行います。
次に、「生漆」の中に含まれる30%もの水分を
熱を加えながら3%のところまで蒸発させる
「クロメ(脱水)」という作業を行います。
 
こうして「生漆」は「ナヤシ」「クロメ」の工程を経て、
飴色の「透漆」(「黒目漆」「精製漆」)になり、
塗った時に粒子がキレイに揃い、
漆独特の何とも言えない美しい艶が出るだけでなく、
塗膜硬度も上がり丈夫な漆器となります。
 
なお「クロメ(脱水)」には
大きく分けて2種類の方法があります。
天日に当てながら全てを手作業で行う「天日クロメ」と
電気の熱で温める「機械クロメ」があります。
精製機械(攪拌機)がない時代は、
「クロメ」工程の熱源は「天日」でした。
「天日クロメ」で精製した漆は「機械クロメ」に比べて
肉持ちが良く、また艶も抑えられ、しっとりとした肌触り
の塗りに仕上がります。
 
 
漆の水分を飛ばして、純度や透明度を高めています。
その後5時間ほど攪拌し、漆に黒目を帯びたら完成です。
工芸の素材は自然の産物で、自然のメッセージを運んでくるものと
赤木さんはおっしゃいます。
自然の素材を見詰め、自然からのメッセージに耳を傾け、
魅力的な器の形になりました。
 


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