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イッピン「アツアツ!幸せの土鍋 三重県四日市・萬古焼」

<番組紹介>
家族で鍋料理を囲む、日本の冬の典型的な風景。
三重県四日市市で生まれた
「萬古焼(ばんこやき)」の土鍋が、
こうした風景を作ったという。
昭和30年代に「ペタライト」という
貴重な鉱石を土に配合することで、
火にかけても「割れない土鍋」が開発、大量生産され、
日本中に浸透したのだ。
白鳥久美子さんが同市を訪れ、
土鍋の秘密を徹底リサーチ。
また、新しいデザインに取り組む人々に出会い、
地場産業を支える思いに触れる。
 
<初回放送日:平成25(2013)年2月12日>
 
 
三重・四日市は全国有数の「土鍋」の生産地です。
四日市の土鍋が全国的に人気となったのは、
昭和34(1959)年に四日市の企業が
素地粘土に「ペタライト(葉長石)」を加えて、
火で焼き上げても「割れにくい土鍋」を開発したためです。
 

 
三重県工業研究所の窯業研究室で、
「ペタライト」を使用した土鍋とそうでない土鍋の耐久性を実験しました。
両方に熱し続け熱膨張率をグラフ化したところ、
「ペタライト」入りの破片は熱膨張率が緩やかだったのに対し、
そうでないほうは急激に上昇していました。
 

 
なお「萬古」には、「いつまでも変わらない永遠の生命を持つ」という
意味があります。
 

1.竹政製陶

 
竹政製陶(たけまさせいとう)は創業明治20(1887)年と、
「萬古焼」の中でも最も古い歴史を持つ老舗窯元です。
敷地内には、四日市で唯一、レンガ造りの煙突が現存しています。
(現在は使用はされていません)。
 
 
竹政製陶」 では明治の創業当時より、
萬古焼の伝統技法を守りながら陶磁器の開発・製造を続けています。
創業当時より制作してきたオリジナルのデザインは1000種類を越え、
「目玉焼き鍋」やウォーターリッド鍋」を始めとした定番商品も多く、
どれも使い勝手の良い道具として人気を得ています。
 

 
5代目の竹内理さんに製造工程を見せていただきました。
工房内には、物凄い種類の焼き物がありますが、
このように多くの陶器が作られるのが「萬古焼」の特徴です。

 

四日市では、陶器に使う「陶土」を地元では殆どまかなえず、
実際、「竹政製陶」 で使っている「陶土」も
県外産のものや輸入したものです。
 
また、先人の努力で技術を隠さず広めて行ったのが、
四日市が一大産地になった理由であると
先代社長の竹内達さんはおっしゃっていました。
 
 
 
 
 

2.活躍する土鍋

 
土鍋の町、四日市市内にある飲食店では、
土鍋が活躍しています。
 
居酒屋の川尻雄太郎店長に
美味しい鍋の食べ方のコツについて教えていただきました。
鍋は火をつけたまま食べる人が多いが、
鍋は保温性があるため、火を止めても30分程は予熱でOKだそうです。
 
四日市市内のカフェレストランには、
「チーズフォンデュ用土鍋」がありました。
土鍋は昔ながらのものばかりでなく、
次々と新たな商品が生まれ進化しているようですね。
 

 
 

3.新商品開発物語(4TH-MARKET)

 
4TH-MARKET」は「萬古焼」の4つの窯元
山口陶器」、

南景製陶園(なんけいせいとうえん)

 
平成17(2005)年に立ち上げたブランドです。
 

 
それぞれの窯元は4th-market内において、
山口陶器」と「竹政製陶」は食器を中心に、
三鈴陶器」は土鍋などの耐熱食器を、
南景製陶園(なんけいせいとうえん)は急須をといった具合に
大まかに役割分担をして製作しています。
 

 
各窯元はそれ以外の分野も作れますし高い技術を持っていますが、
最も得意とする分野を元に線引きをした結果
この役割になったそうです。
つまり、4th-marketから生まれる製品は
それぞれの窯元の代表選手の集まりのようなものなのです。
 

とあるイベントで偶然出会った4人の職人と1人のデザイナー。
年齢も偶然30代と皆近く、偶然理想とするカタチも一致しました。
 
「何でも無い日常の中に自然と溶け込んでいるのに、
 どこか愛着を感じるモノ。
 気取りすぎず、可愛すぎず、シンプルなだけでもないモノ」
 
いいものを長く大切に使ってもらいたい。
そして長くいいものを作り続けたい。
そんなコンセプトの元、4th-marketはスタートしました。
 
底が滑らかで思わず触りなくなってしまうようなマグカップや、

 
鍋以外にも利用出来る商品を開発し、
「東京ギフトショー」にも出品しました。
 
 
 
 
本体を敢えて2色に色分けした土鍋を
様々な分野の専門の職人やデザイナーなどが集まって作りました。
制作を任されたのは、土鍋作りのプロの熊本さん。
釉薬をどう塗り分けるのかにかなり苦心をしましたが、
そんな中、アドバイスをしてくれたのが食器作りを専門にしている2人。
食器には色の「掛け分け」という工程があり、
これを活用して、土鍋にも色の塗り分けを行なえるように
なりました。
 

 

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