<番組紹介>
江戸時代から発展を遂げてきた静岡の漆工芸。
様々な独自の技法が生まれ、今日まで伝えられてきた。
コロナ禍の中、父から受け継いだ技を極めようとする
職人の姿を追う。
厳しい状況の中、伝統工芸を次代に伝えていくために
技の習得に励む若手職人たちを紹介するシリーズ
「名称への道」。
今回は、江戸時代から発展を遂げてきた静岡の漆工芸。
漆塗りの高級下駄に、
細かく砕いた卵の殻をモザイクのように張り付けていく
「卵殻貼り」。
漆を塗った器に砂をまき、
手にしたとき吸いつくような感触をもたらす
「金剛石目塗」。
コロナ禍の中、それぞれ父から受け継いだ技を
極めようとする職人の姿を追う。
<初回放送日:令和2(2020)年8月18日>
1.卵殻貼り(駿河塗下駄工房「佐野」・佐野成三郎さん)
静岡県静岡市、東海道の旧・宿場「府中宿」にある
「駿河塗下駄工房 佐野」。
佐野 成三郎(さの せいざぶろう)さんが作るのは、
漆塗りの下駄に卵の殻を貼りつける
「卵殻貼り」という技法を使った下駄です。
「卵殻貼り」は50もの工程があるため、
1足を完成させるまでに1年半掛かるそうです。
「駿河塗下駄」は、
明治初期に本間久治郎という下駄職人が
大衆向けの下駄に塗りを施したのが始まりと 言われています。
元々、静岡では漆器生産が盛んだったので、
その技法を応用したものです。
それが全国で評判を呼び、
静岡と言えば「駿河塗下駄」と言われるほどに人気を博し、
昭和20年代、30年代は、
静岡市の3分の1に近い人達が下駄に関わる仕事をしていたそうです。
ところが現在は職人が4人のみ。
佐野さんは令和元(2019)年に「現代の名工」選ばれました。
また、静岡塗下駄工業組合の理事長として、奮闘されています。
今日のエコールdeビューンのコーナーは、「駿河塗下駄」の世界。
— SBSラジオ SATURDAY View→N(サタデービューン) (@saturday_viewn) March 26, 2022
職人の佐野成三郎にお話しを伺っています。#サタデービューン#駿河塗下駄 pic.twitter.com/RTw5Gxpwgs
2.駿河塗下駄工房ひといろ(佐藤仁美さん)
佐藤仁美さんは、佐野成三郎さんのお嬢さん。
継ぐつもりはなく、ネイルアーティストとして活躍されましたが、
お父様が体調を崩した時に、
「積み上げてきたものを無くしたくない」と思い、
家業を継ぎました。
伝統の技法を生かしながらも、
貝殻やラメを使用したり、
動物や魚など様々なキャラクターを描く佐藤さんの作品は、
ジーンズやロングスカートにも合うと人気です。
着物好きだった祖母が、母のために仕立てたものを、(母が着なかったので💦)たくさん譲り受けたんです😊👘✨
— 🍑百夜 三味線シンガーソングライター 三味線怪談師😊🎊👻🔥🪕🎶【めざせ名取への道‼️】 (@hellomomoiro) September 29, 2020
品物がよくて、サイズもいいので、本当に嬉しい、ありがたいと思っていますよ~。
うさぎ🐰の下駄も撮影📷♥
こちらは「駿河塗下駄工房ひといろ」さんの作品。#着物コーディネート#着物好き pic.twitter.com/DP06fzCRFe
3.金剛石目塗
静岡の漆器の特徴は、
幅広い需要に応えるために開発された
「変り塗り」という技法です。
「金剛石目塗」は、
大正13年に鳥羽清一氏によって完成された、
大変堅固な下地「砂の蒔地」に
生漆と安倍川の砂を使ってを作った漆器です。
「砂の蒔地」は歴史的にも全国的にも
「金剛石目塗」だけのものです。
「金剛石目塗」は、 砂の蒔地による下地層の上に
漆を塗り重ね、ひとつひとつ丁寧に仕上げています。
こうして完成した漆器は、 美しい深みのある艶を持ち、
その上、熱や水にも強く 実用的にも優れたものです。
静岡県の「無形文化財」に指定されています。
グラスに金箔やホワイトゴールド箔(金と銀の合金)等を貼り、
その上を金剛石目塗独自の「砂の石目」にした後、
仕上げの漆を塗って完成させた、
「うるしのGLASS」が人気です。