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徳島県「木製品」

 
徳島県は歴史や文化、自然も豊かな所です。
特に県土の76%を占める森では「徳島すぎ」がすくすくと育っています。
 

 
徳島県の吉野川以南、特に剣山周辺は、全国有数の多雨地域です。
水が豊かなので米は多く実るのですが、一方で地滑りが頻発する地帯でした。
そのため斜面にスギが植えられました。
 
那賀川上流は「木頭林業地帯」と呼ばれ、昔は焼き畑農業が行われていました。
アワ、ヒエ、ミツマタなどが耕作され、焼き畑跡にスギが植えられたのです。
吉野川流域の美馬、三好などでは広葉樹による木炭の生産が盛んでした。
その伐採跡地にはミツマタやタバコが栽培され、
最後にスギを植えるという林地利用が進みました。
そうして明治以降、全国屈指の林業地としてスギが利用されてきました。
 

 
徳島には「阿波水軍」という一団があり、
全国屈指の海軍力を誇っていました。
特に「大阪の陣」や「朝鮮出兵」での戦功は広く知られています。
 
徳島藩では水軍の軍用船の用材を確保しておくために、
特に大切にする樹木を
「真木」「五木」(欅、樅、栂、杉、檜)などと呼んで、
計画的な伐採を行いました。
 
そして阿波水軍の造船廃材は船大工に払い下げられ、
彼らが内職として始めた下駄、建具作りは
後の徳島市での木工家具製造へと発展します。
 
廃藩置県後、水軍の船大工は持っていた高度な技術を生かして
箪笥、針箱、雨戸障子などの建具、桐下駄の製造を
本業とするようになりました。
特に、「鏡台(阿波鏡台)」は
静岡県とともに鏡台の全国二大産地となりました。
 

 
 

徳島すぎの特長

1.強い生命力
 成長が早く、水分等の条件さえ良ければ
 千年でも生きる生命力があります。
 
 
2.上にまっすぐ成長
 
 木理がまっすぐ通っており、加工しやすい性質を持っています。
 このため、梁・桁などの大断面で力強い構造材から、
 日本家屋の特徴であるふすまや障子などの
 軽さと強さが求められる建具まで、幅広く利用されてきました。
 
 
3.強く、やさしく、美しい
 
 「色目のやさしさ」に加え、
 粘り強い強度や優れた耐久性を有しています。
 徳島には築200年を超える民家が多く残っているように、
 こうしたスギ本来の力を活かせば、
 地震・台風などに耐える性能が発揮できるのです。
 
 
4.家族の健康を守ります
 
 赤ちゃんや主婦など、多くの人が一日の大半を過ごす家。
 実は“食の安全”と同じくらい、
 “家の材料の安全性”は大切なものです。
 スギには本来、シロアリに強い成分があるだけでなく、
 殺菌効果、芳香・消臭効果、沈静効果、
 調湿効果、防音効果などがあるため、
 私達の健康にとって、とても心強い味方となります。
 
 
5.環境保全・地域貢献になります
 
 徳島の森林は、樹齢60年以上の高齢木の割合が高く、
 資源が充実している状態です。
 これを適度に利用し、新しく苗木を植えることで、
 森林が二酸化炭素を吸収して酸素を作る力を高めます。
 木の年齢バランスが取れた森は命を育む豊かな森になり、
 結果的に、豊かな海をももたらしてくれます。
 そして、こうした循環を取り戻すことは、
 何百年にも渡って継承されてきた、徳島の卓越した林業の文化を、
 次世代に繋げることにもなります。
 
 
6.今がベストタイミング
 
 近年利用が減っていたことで、
 結果として良質な材木の在庫が豊富な今の森。
 全国で放置林が増えるほど、かつてより価格も下がっている上、
 国や県も木造建築物を奨励するようになり、
 様々なサポート体制も充実しています。
 今は、品質・価格・システムと三拍子揃った、
 まさに“スギの使いどき”なのです。
 
 
7.風土・地理・歴史・技術が生み出す高品質
 
 「徳島すぎ」の優れた品質は、
 徳島の気候・風土や歴史と相俟って、
 先人が長い年月をかけて作り上げてきたものです。
 徳島の山の急峻な斜面で、
 倒れないように踏ん張りながら育ったすぎには、
 粘り強さがあります。
 また、日本有数の雨が多い環境で成長するため、
 腐りにくく長持ちします。
 これは、16世紀頃から活躍していた阿波水軍の舟材や、
 屋根の板材として使われてきたことが物語っており、
 現在でも外壁材として高く評価されています。
 
 また徳島は、紀伊水道を挟んで京阪神という大消費地に面し、
 地理的・経済的条件に恵まれていました。
 この大きな市場へ高品質な材料を供給するために、
 徳島すぎの美しい色目やさまざまな性能を活かす乾燥技術や、
 板材を速く薄く引く加工技術を、全国トップクラスにまで高めて
 きたのです。
 
 
8.大切にしたいもの-“木のプロ”の誇りです
 
 様々な条件はありますが、
 「徳島すぎ」の高品質を支えてきたのは、
 やはり「林業にかけては徳島は先進地である」という、
 生産者や関係者の、志と誇りです。
 何十年も木が生きてきた、その“命”と“力”を使う。
 「木を使う」とは、そういうことです。
 木は、生きものです。
 だから当然、ひとつとして同じものはありません。
 育つ場所や育ち方によって一本一本違う個性があります。
 それを熟知した人の手で、適切に乾燥・加工されることで、
 その木が持つ良さが、ますます引き出されるのです。
 木材を使う上で、現在では法律で様々な規制が設定されていますが、
 その規制数値に表れない違いまでを見極める、
 木を知り尽くした経験と感覚で、
 一本一本の木の個性に合わせた対応をしているのです。