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イッピン「伝統の力で、モダンに〜福井 越前和紙〜」

<番組紹介>
和紙で知られる福井県越前市。
ここには金型を使って装飾的な和紙を作る技法が伝えられている。
その金型を使って、現代の暮らしにあった和紙製品を作る職人たちを
紹介する。
 
越前和紙のふるさと、福井県越前市。
ここには、金型という道具を使って、装飾的な和紙を作る伝統がある。
四角と丸を組み合わせた、和紙のテーブルクロス。
ふすまの全面に、浮き彫りのように盛り上がった華やかな模様。
そして、レースのカーテンのような和紙。
金型の使い方は、それぞれ異なる。
中には、一度途絶えていた技法を、
偶然発見した金型によってよみがえらせたケースもある。
和紙の町ならではの高度に発達した技に迫る。
(初回放送:令和3年2月9日)
 
 

1.FOOD PAPER(五十嵐製紙・五十嵐匡美さん)


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五十嵐製紙」は創業大正8(1919)年の越前和紙の老舗工房です。
襖や壁紙を中心に、大判紙から小物まで幅広い和紙を制作し、
最近では著名アーティストのオーダー用紙を手掛けるなど、
その技術力が高く評価されています。
 


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五十嵐製紙さんの紙文具ブランド「FOOD PAPER」は、
100%土に還る、野菜や果物から作られた
食物由来の紙文具を中心とした紙製品を展開しています。
 
FOOD PAPER」には、
廃棄される野菜や果物をミキサーで細かく砕いて混ぜ、
その和紙漉きで培った伝統的な技法を用いて作られています。
 
ブランド立ち上げの発端となったのは、
和紙の原材料不足でした。
和紙は主に、
「楮」(こうぞ)・「三椏」(みつまた)・「雁皮」(がんぴ)などの
植物から出来ていますが、これらの収穫量は激減しており、
特に「楮」(こうぞ)は、
最盛期の約1.2%まで落ち込んでいるそうです。
更に、和紙を漉く際、
原料の繊維を水中でムラなく分散させるために必要な
「ねり」の原料となる「トロロアオイ」も生産農家の激減により、
収穫量は落ち込んでいます。
和紙そのものの生産が危ぶまれる中、
こうした原料不足の問題を何とか出来ないか・・・と、 
伝統工芸士・紙漉き職人の五十嵐匡美(いがらし まさみ)さんは
考えていました。
 


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新しい紙のヒントをくれたのは、
五十嵐さんの息子、優翔(ゆうと)君が
小学4年生の時から5年間取り組んできた
紙漉き実験『食べ物で紙をすいてみた』でした。
バナナの皮やお父さんが食べたピーナッツの皮や枝豆など、
身近な食べ物を使って紙を作ってみては、
実験結果をファイルにまとめたものです。
出来上がった紙だけでなく、
繊維の様子が分かる顕微鏡写真やその強度、
書きやすさのテストなども行うという、本格的な内容でした。
 
既存の原料と同じような植物性繊維であれば、
紙の原料になり得るのではないか・・・。
優翔くんの研究がきっかけとなり、
手漉き和紙と同じ工程で作った「FOOD PAPER」は生まれました。
 


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FOOD PAPER」は、
洋紙でもなく、和紙とも違う、
玉ねぎには、玉ねぎの柔らかさや表情や色合いが、
みかんだったら、みかんなりの色合いや手触りが出るという、
その食物の持つ特徴が出た紙製品です。
 
五十嵐さんは、「FOOD PAPER」の生産に取り組むことで、
捨てられてしまう野菜や果物を活用し、
環境に優しい紙文具ブランドとして、
紙の可能性を広げていくことが目標とのことです。
 

 

五十嵐製紙

  • 住  所:〒915-0233
         福井県越前市岩本町12−14
  • 電  話:0778-43-0267
 
 

2.栁瀨良三製紙所(RYOZO)


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昭和21年創業の「栁瀨良三製紙所(やなせりょうぞうせいしじょ)は、
紙漉きの紙祖神をまつる岡太・大瀧神社の参道にある、
越前和紙の製紙所です。
 
栁瀨良三製紙所さんが得意とするのは、
光が透けるほど薄くて柔らかな手触りが特徴の
「薄紙楮紙」をベースに、
金型による模様出しを行う
「金型落水紙」(かながたらくさいし)や「葉入紙」などの
美術工芸紙です。
 
数ある製紙所の中でも
「栁瀨良三製紙所」しか作ることが出来ない
「金型落水紙」(かながたらくさいし)は、
まるで天然素材のレースのような柔らかな風合いと、
光と影が織りなす美しい文様が特徴の紙です。
 
漉かれた湿紙(しとがみ)に金型を被せ、
シャワー状の水滴の勢いで金型の模様を写し取る
特別な技法で作られています。
 
代表の栁瀨靖博さんは、
ずっと使われることのなかった金型をヒントに、
手作りで新しい金型を制作。
そして、初代からの紙漉きの技を受け継ぐ三代目の京子さんは、
ともに紙漉きをする女性職人達と、
紙の丈夫さ、いかに均一に漉くかという課題を、
試行錯誤を繰り返しながらクリアし、
平成28(2015)年、「金型落水紙」は40年の時を超えて復活しました。
 
今では手作りの金型も14種類まで増え、
「青海波」「華」「風」「七宝」「あわ玉」など、
様々な文様の「金型落水紙」が生まれています。
 


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併設の直営店「RYOZO」には、
「金型落水紙」の技法を用いた和紙を使った様々なアイテムを
直接、見て触れて購入することが出来ます。
 
また、
「独特の技術工法の紙を皆様に触れて知っていただきたい」
という思いから、
紙漉き体験や各種ワークショップも開催されています。
 
 

栁瀨良三製紙所(RYOZO)

  • 住  所:〒915-0234
         福井県越前市大滝町10-1
  • 電  話:0778-42-1155
  • 営業時間:8:00~17:00
  • 定 休 日 :日曜日
  • 体  験:紙漉きインストラクター講座
         全4回(1回1時間)6,000円
        ※ 公式HP及びSNで年2回・募集告知
 

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