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イッピン「世界に誇る美と切れ味~岐阜 関の包丁~」

<番組紹介>
今回は、日本刀にルーツがあるという
岐阜県関市で生産される包丁。
波紋が広がるような独特の美しい模様をもつ包丁が、
ドイツなど海外で人気を呼んでいる。
それを作り出す職人の驚きの技を紹介。
これまであまり注目されてこなかった
持ち手・ハンドル部分に着目した包丁も登場する。
また新しい技術ばかりでなく、
日本刀と同じ手法で
昔ながらの強じんな包丁を作る職人を訪問。
美と切れ味をあわせ持つ包丁の魅力に
コウケンテツが迫る。。
<初回放送日:平成25(2013)年11月5日>
 
 

1.現代の名工・服部唯知郎さん(Hattori-服部刃物)

 
ドイツ・デュッセルドルフから車でわずか30分程のところに、
日本の関市(eki)、
イギリスのシェリールド市(heffield)と並んで
「刃物の3S」と呼ばれている
刃物の産地・ゾーリンゲン市(olingen)があります。
 

双子のマークで有名な刃物のメーカー
「ZWILLING J.A. Henckels AG社」の本社もあり、
隣接のショップには日本人の観光客も時々訪れます。
 
そんな刃物の街の中心部にある高級ショップでは、
岐阜県関市で作られた包丁が話題となっています。
服部刃物」の服部唯知郎さんが作った「ダマスカス包丁」です。
 
現代の名工にも選ばれている服部唯知郎さんは
世界が注目する「ダマスカス包丁」を作った第一人者と言われています。
海外のブランドやプロの料理人からも注目され、
「Hattoriブランド」として高い評価を得ています。
 
 
服部さんは、昭和46(1971)年に包丁メーカーから独立して
服部刃物」を設立しました。
海外ブランドのOEMで有名になり、
オリジナルブランド「Hattori(ハットリ)」を立ち上げました。
 
「OEM(オーイーエム)」
riginal quipment anufacturing」の略語です。
直訳すると「自社の製品を製造する会社」。
日本語では「相手先ブランド製造」、
「相手先(委託者)ブランド名製造」、
「納入先(委託者)商標による受託製造」と訳され、
簡単に言えば、
「製造メーカーが他社ブランドの製品を製造する」
ことを指します。
 
 
服部さんは、国内外の有名ブランドのOEM生産を続けながらも、
究極の切れ味を求めて研究、開発を進め、
日本刀の作刀技術を基に刃の成分、熱処理、分子構造に至るまで追求、
関の刀匠や武生特殊鋼材と共に試行を繰り返し開発した鋼材が、
「ニッケルステンレスダマスカス鋼」です。
その技術は「積層金属製品」の名で特許を取得しています。
Hattoriが開発した商品の中でも最高傑作と言われています。
 
服部さんが手掛けた物には、
日本のナイフブームの一翼を担ったテクナの
「ダイバーナイフTK-2200」、
USA海軍の特殊部隊に採用されたカーショウの
「1050フォールデイング・フィールド」、
映画『ランボー』や『ターミネーター』に登場したナイフなどが
あります。
 
 
 

2.鍛冶職人・後藤益美さん

 
日本刀を造る関鍛冶で知られる関市ですが、
包丁やナイフなど実用刃物を火造りする鍛冶職人は、
後藤益美さんだけでした。
 
後藤さんは、唯一鍛造から刃付けまで一人でこなす鍛冶職人さん。
80歳を過ぎても、鍛造から研ぎに至るまで全てを自分の手でこなし、
切れ味にこだわった作品を造り続けていらっしゃいましたが、
平成31(2019)年1月、残念ながら他界されました。
 

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