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イッピン「10000分の1ミリの黄金世界 石川県金沢市・金箔」

<番組紹介>
今回のイッピンは、
まばゆい輝きを放つ「金箔(きんぱく)」。
国産の金箔のほとんどを製造するのが、金沢市だ。
最近はインテリアから肌の装飾、新幹線の内装まで、
さまざまなところに使われている。
光にかざすと透けるほどの金箔は、
1万分の1ミリメートルという薄さ。
それを可能にするのが、数百年にわたって受け継がれてきた
職人の気の遠くなるような作業だ。
イッピンリサーチャーの虻川美穂子が、
古都・金沢を探索する。
 
<初回放送日:平成24(2012)年12月25日>
 
 
金箔は今、様々なアイテムに使われています。
モダンなデザインの食器や貝殻の置物にバッグ。
金ならではの圧倒的な存在感。
しかしその薄さはまさにミクロのレベル。
一体どうやって作られているんでしょうか。
 

 

1.箔打ち職人・山崎茂さん

 
石川県金沢市は古くから「金箔の街」として知られ、
国産の金箔の98%を作っています。
 
金は、機械でも100分の5程度の薄さにしかすることが出来ませんが、
職人の手に掛かれば、10000分の1の薄さにまで延ばすことが出来ます。
 
30年を超えるキャリアを持つ、箔打ち職人の山崎茂さんに、
作業の様子を見せていただきました。
山崎さんは伝統工芸士に認定されていて、
同じく金箔職人の奥様を始め、
4人の職人さんとともに、日々、金箔を作っています。
 
 


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金箔は「純金にほんのわずか銀と銅を加えた合金」を
箔打ち職人がひたすら打ち延ばしてつくります。
その薄さは肌に触れても気づかないほどです。
例えば、お札の厚みはおよそ0.1㎜で、
これは何と金箔千枚分。
金箔は1万分の1㎜程の薄さなんです。
 
ある程度の薄さに伸ばした金は静電気を帯びやすいので、
「箔打紙」(はくうちし)と呼ばれる薄い紙に交互に挟み込んで、
更に打ち延ばしていきます。
 
金箔を薄く均一に伸ばすには、
質の良い「箔打紙」(はくうちし)が欠かせないとされ、
金箔職人が自ら3か月かけて仕込みます。
藁の灰に熱湯にかけて濾し取った液体に、柿渋や卵白を混ぜます。
そしてそこに雁皮紙を浸します。
そして乾かしては叩く、浸して乾かしては叩くという作業を
何度も繰り返します。
こうすることで紙の強度が高まり、表面のざらつきがなくなります。
 
この「箔打ち紙」は
叩かれ続けることで、滑らかになっていき、
やがて箔打ち紙の役割を終える頃には、
極めて薄くきめ細かい和紙となります。
これを、肌に当てると、
すっと脂が消えていくような吸収力があることから
「ふるや紙」として、
京都の芸妓さんなど、ごく一部で愛用されていました。
 
 
和紙に守られて、遂に1/10000㎜になった金箔。
後は形を整える作業です。
1万分の1mmまで打ち上がった金箔を
三椏紙(みつまたし)でつくられた「広物帳」(ひろものちょう)と呼ばれる
一時保管用冊子に1枚1枚挟み替えます。
 
 
広物帳の箔を、鹿皮を張った「革盤」(かわばん)に竹箸で移し、
「枠」(わく)と呼ばれる四角い竹製の刀で
規定サイズ・109mm角に1枚1枚カットし、
「箔合紙」と呼ばれる三椏製の紙の上に1枚づつ重ねていき、
100枚を一包として完成品とします。
残った切れ端は次の金箔づくりに使われます。
 
 

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