<番組紹介>
「岐阜の美濃焼がついに登場!
今、人気を集めているのが、
“卵の殻”のように薄くて軽い磁器のカップ。
明治時代に外国向けに開発したロングセラーが、
その品質の高さから、
国内でも見直されるようになったもの。
極限の薄さと緻密な模様を転写する驚くべきワザとは?
また、表面を神秘的な結晶が覆う器も注目されている。
無限の輝きに追い求める職人の思いとは?
個性的な焼き物を作り続ける伝統の産地の今を
徳永えりがリサーチ。
- <番組紹介>
- 1.スキトオ(丸直製陶所・奥田直樹さん)
- 2.「suuun(サーン)」シリーズ(深山)
- 3.結晶釉(壽泉窯・安藤 寛泰さん)
- ≪参考≫ 伝統工芸品 岐阜県「美濃焼」
- ≪参考≫ 伝イッピン「技を結集して 新たなやきものを〜岐阜 美濃焼〜」
東京世田谷区にあるセレクトショップ
「D&DEPARTMENT」で人気の岐阜県の美濃焼の「エッグシェル」。
長くヨーロッパで人気を博していて、
現在では、日本でも注目を集めています。
薄さおよそ1mm、光に透ける「スキトオ」のカップです。
100年以上前から受け継がれる薄づくりの技と
輸出用の型を使って成形し、
通常は柄を入れるのですが、真っ白く仕上げられています。
磁器なので高温で焼き上げられており、繊細な見た目よりも丈夫です。
1.スキトオ(丸直製陶所・奥田直樹さん)
主にフランスに向けて生産されている、
厚さ1mmにも満たない磁器が、
岐阜県土岐市妻木町の丸直製陶所で生産されています。
光にかざすと飲み物が美しく透けるくらい薄くて軽い、
でも丈夫な器です。
卵の殻のように薄くて軽いことから 「エッグシェル」と言います。
現在、「エッグシェル」の磁器作りが出来るのは、
全国でも2件しかありません。
「エッグシェル」は、
「水ゴテ」と呼ばれる成型法により作られます。
これは、コテを当てながら水で陶土生地を薄く伸ばすように
1mm以下に仕上げ形を作る技法です。
機械ろくろで回してはいますが、ほぼ手作業。
指先の感覚のみで厚さ1mm以下に仕上げていきます。
次に、「トチ」と言われる型に乗せて「伏せ焼き」をすることで、
歪みのない綺麗な磁器に焼き上げます。
絵付けは、素焼きの磁器に柄が印刷された和紙を刷毛で貼り付け、
その模様を転写させます。
これを「銅版転写」と言い、
この技術においても国内屈指の繊細さを持ちます。
「スキトオ」というシリーズ名は
「D&DEPARTMENT」のナガオカケンメイさんが命名したもの。
真っ白で、名前の通り透き通る程薄く、中身の色が透けて見えるぐらい。
置いて眺めることでもまた楽しい気がします
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2.「suuun(サーン)」シリーズ(深山)
世界有数の白磁の産地、岐阜県瑞浪市にある「深山」は
昭和52(1977)年に創業以来、
「鋳込み」という製法で物作りを続けてきました。
グッドデザイン賞(Gマーク)などの数々の賞を受賞し、
国内外で高い評価を集める注目のメーカーです。
創業当時、ろくろ成型が主流であった瑞浪地区の中で、
ろくろでは難しかった形状の洋食器を製造するため、
鋳込み成型の専門メーカーとして始まりました。
型を用いた「鋳込み成型」は、
同じ形状の器の量産に向く生産方法ですが、
深山では、一つ一つの作業を丁寧に人の手で行うことで、
複雑な形状のティーポットなどの精巧で、
風合いのある器を生み出しています。
そして、白磁の素材の魅力を引き出すために開発した、
「釉薬銅板下絵付」(ゆうやくどうばんしたえつけ)技法と
「窯変転写絵付」法により、絵付けをしていきます。
「釉薬銅板下絵付」(ゆうやくどうばんしたえつけ)技法は、
陶磁器の表面を覆うガラスコーティング(釉薬)の下に
絵付けがされているために「下絵付け」と言います。
本焼成前に絵付けをするために、
表面を覆う釉薬とともに本焼成で焼き付けます。
釉薬は本焼成の温度で溶けてガラス化しますが、
その際に、絵付けされた絵柄とガラスとが微かに混じり合い、
その境界線がぼやけ柔らかな雰囲気となります。
「窯変転写絵付」は、
窯の炎により生ずるやきもの独自の風合い、
その不確定な風合いを安定的に表すために
新たに生み出した深山独自の絵付け技法です。
3.結晶釉(壽泉窯・安藤 寛泰さん)
陶器の表面に釉薬と焼成によって現れる、
花が咲いたような模様の結晶・「結晶釉」(けっしょうゆう)の器が、
国内外で大変人気です。
「結晶釉」とは、釉薬内の成分の亜鉛が焼成時に化学変化を起こし、
花の様な景色を生み出す釉薬です。
この結晶の花は、
気温や窯の温度、焼成時の器を置く位置 などによって表情が異なり、
その偶然性を活かす緻密なセンスと匠の技から
二つとない花のような景色が浮かび上がります。