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美の壺「青と白の粋 染付(そめつけ)の器」 <File543>

京都の骨とう店イチオシの染付「古伊万里」。
その魅力とは?
 
 ▽食器店店主・刀根弥生さんお気に入りの現代作家の染付。
  夏にぴったりな料理との取り合わせを紹介!
 ▽中国・明時代末期のある期間にだけ作られた、
  謎多き「古染付」とは?
 ▽今大人気の陶芸家・村田森さんが緻密に作り出す青
 ▽染付に思いを込める、京都の夏の茶会
 ▽ロンドンでも話題の陶芸家・藤吉憲典さんが描く、
  伝統とモダンをあわせた斬新な試み!
 
 

美の壺1.万人を魅了する2色の世界

 

京都で古伊万里の染付を扱う骨董店「大吉」・杉本理さん

 

 
様々な時代や産地の染付を扱う骨董店があります。
京都・寺町にある骨董店「大吉」です。
二代目店主・杉本理さんのおススメは「古伊万里の染付」です。
 
「古伊万里」は江戸時代に
肥前、現在の佐賀県と長崎県で作られた磁器のことです。
高級品から手頃な品まで、伊万里の港から全国へと運ばれていきました。
 
古伊万里は、江戸時代の200年以上かけてずっと有田で作られ
全国に行き渡りましたので、
もの凄い種類のものが 日本の全国の蔵に残ってます。
ですから、ちょっとした お小遣いぐらいの値段から、
200年ぐらい前の器が買えて、普段使い出来るというのが、魅力。
 
古伊万里は、絵柄も楽しみの一つ。
江戸時代中期に作られた器には、珍しい幾何学模様が描かれています。
幕末近くになると、いろんなバラエティーの模様がいっぱい出てきて、
こういうのを探す楽しみが、古伊万里の中ではあると思います。
 
また、明治時代になり広まった
型紙や銅版で絵柄を転写する「印判」という技法の染付は、
手描きとは一味違う楽しみ方があると杉本さんは言います。
 
日本やChinaの染付を真似て
17世紀から盛んに作られたオランダの「デルフト陶器」は、
錫を原料とする白い釉薬をかけるため、
ヨーグルトのような柔らかい肌合いが魅力です。
染付が長きに渡り、各地で愛されるのには 理由があると言います。
 
  • 住所:〒604-0932
       京都府京都市中京区 二条下る妙満寺前町452   
  • 電話:075-741-3066
 
 

食器店「うつわshizen」店主(刀根弥生さん)

 

 
刀根さんは、普段使いの器にも並々ならぬこだわりがあります。
骨董から現代作家まで、
食卓にアクセントを与えてくれる「染付」の器は
特にお気に入りなのだとか。
和過ぎないので 洋風なものも おいしそうに見えます。
 
合わせる素材で全く表情を変えるのも、染付の魅力だと言います。
そばちょこを組み合わせます。
竹の風通しのいい感じと、染付のつるんとした涼やかさがよく合います。
ガラスの透明感も加えると、より夏らしさが目に伝わります。
赤い漆のお盆や金の盃と合わせれば、華やかなおもてなしの席にピッタリ。
染付の真価は、料理を盛りつけた時に発揮されます。
 
とうもろこしごはんを盛りつければ、鮮やかな黄色が引き立つ夏のお膳。
四角い絵柄のシンプルな丸皿とうり形のひょろりと長い皿。
盛りつけは絵柄を少し覗かして。
トマトの赤と黄色の縁から、角ばった染付の藍の色が見えたら
きれいだろうなと思って、
鮮やかな色と染付の藍の色の美しさを感じたいと思いました。
 
染付と一口に言っても、色味も絵柄も様々。
料理を載せれば、その組み合わせは無限大。
どんな食材でも、どんな食卓でも、しっかり受け止めてくれる頼もしい器です。
 
  • 住所:〒150-0001
       東京都渋谷区神宮前2丁目21−17  
  • 電話:03-3746-1334
  • MAIL:shizengallery@gmail.com
 
 

美の壺2.ここにしかない青をめざして

 

石洞美術館(東京・足立区)

 

東京・足立区に、焼き物のコレクションで知られる美術館があります。
ここには、とても希少な染付が 78件も収蔵されています。
Chinaの磁器の一大産地・景徳鎮で、
ある期間にだけ作られた謎多き焼き物です。
集めたのは 実業家・佐藤千壽。
29歳で古染付の蒐集を始め、日本有数のコレクションを築き上げました。
 
佐藤 千壽 (さとう せんじゅ)
(1918~2008)
 
千住金属工業株式会社の社長、会長を歴任した実業家で、
十代後半から美術品を収集し、
古染付やイスパノ・モレスク、茶の湯釜など、
特徴的なコレクションを作りました。
その収集品は多岐に渡りますが、何れも愛らしい作品ばかりです。
また、その収集品からは、
陶芸家や鋳金作家など多くの芸術家との交流を伺い知ることが出来ます。
 
 
「古染付」の多くは、
日本の茶人が景徳鎮の民間の窯に依頼して作らせたと考えられています。
青と白の焼き物は、当時の茶人の嗜好にピッタリでした。
 

 
縁に見られる釉薬の欠け落ち。
こんな欠陥も、茶人は「虫喰い」と呼び、景色として喜びました。
裏を返せば、こちらにも絵が続きます。
みかんの肌のポツポツ。 遊び心が随所に見られます。
 
形や絵付けの面白さもさることながら、
「古染付」には、もう一つポイントがあります。
それが青の色。
景徳鎮で作られた染付でも、
宮廷用の高級品と比べると やや鈍く沈んだ青のよう。
これも日本の茶人の心をくすぐりました。
どこかくすんだこの青を「墨絵のような趣」と捉えて、
枯淡の味わいとして好んだのです。
 
  • 住所:〒120-0038
       東京都足立区千住橋戸町23   
  • 電話:03-3888-7520
 
 

陶芸家・村田森さん(京都市北区)

京都市北区の山あい。
ここに「古染付」に魅了された陶芸家がいます。
村田 森さんです。
 

 
村田さんが陶芸家を志したのは高校生の時。
展覧会で、北大路魯山人による
「古染付」の写しの皿と出会ったのがきっかけでした。
 
村田さんはこの作品に強く引かれ、
Chinaや日本の古い染付を徹底的に研究。
村田 森さんが特に こだわったのは青の色でした。
染付の青のもととなるのは「呉須」です。
コバルトを主な成分とする顔料です。
コバルト以外の成分の含有率によって、色みが微妙に変わります。
マンガンが多いと赤みが増し、鉄が多いと黒っぽくなります。
研究の末、村田さんは成分の違う3種類の呉須をブレンドし、
そこにベンガラを加えます。
素焼きした素地に絵付けしていきます。
釉薬によっても色の出方が変わります。
ブレンドした釉薬の濃度を見極めます。
釉薬が厚くかかると色がぼけてしまうため、厚みも慎重に調整します。
村田さんの器が完成しました。
緻密な作業を繰り返して辿り着いた深い藍色。
深遠なる古典の川を泳ぎ続ける鯰です。
 
  • 住所:606-8334
       京都府京都市左京区岡崎南御所町18-11   
  • 電話:075(746)6897
 
 

美の壺3.意匠の中に思いあり

 

大正9年創業茶道具店「善田昌運堂」・善田喜征さん

大正9年創業の茶道具店「善田昌運堂」に設けられた茶室では、

毎年7月の「祇園祭」に合わせて、茶会が開かれます。
 
茶席は、この時期ならではのものにしつらえます。
7月ですので外は暑いですけども、
茶席の中は少しでも涼を感じて頂くようなそういう思いで
いつも取り合わせをしています。
 

 
床には桃山時代の祇園祭の掛け物。
青磁には、むくげと葦を合わせました。
 

 
この日の主役は、明朝末期に作られた古染付の水指です。
見た感じもすごく涼し気ですし、
この縦に筋が入って、丸文の水指というのは非常に数少ないんです。
古代インドの装身具を図案化した縁起のいい丸文。
水を連想させる縦縞の上をプカプカと漂うように浮かんでいます。
 

 
菓子器は「祥瑞」と呼ばれる17世紀の清朝の「染付」です。
唐草や亀甲などめでたい文様で埋め尽くされ、茶席を盛り上げます。
広間には長寿を願う鶴と亀。
 
代々受け継がれてきた祈りの心が散りばめられています。
こういう染付という磁器を代表するものが入ることによって、
茶席を明るく照らしてくれる。
ひいては全体の品性を上げてくれる。
バランスをよくしてくれる、そういうふうに思いますとおっしゃいます。
 
  • 住所:〒604-8185
       京都府京都市中京区姉小路通烏丸東入車屋町262   
  • 電話:075-221-7328
 
 

陶芸家・藤吉憲典さん(福岡県福津市・花祭窯)

 

福岡県福津市に、海外でも注目される陶芸家がいます。
藤吉憲典さんです。
 

 
藤吉さんは、元々東京で、グラフィックデザインの仕事をしていました。
22歳の時、故郷で出会ったのが有田焼の染付。
その絵柄がデザインとして優れていることに気付いたと言います。
 
絵柄には、それぞれに意味があります。
連続する文様は、めでたいことが重なるとされ好まれました。
「暦文」、無限に連なる海の波を表した「青海波」、
「福寿」の文字の繰り返しは、幸せを祈る気持ちが溢れています。
 

 
伝統の文様を使いながらも どこかに現代の感性を生かす。
それが藤吉さんの目指すところです。
藤吉さんの作品は海外でも発表され、人気となりました。
文様の意味を作品と深く結びつける斬新な試みが高く評価されました。
 
藤吉さんは、奇抜な表現技術は一切使わずに、
伝統的な技術だけでやっていますが、
そこを変えようとは、今のところは思ってないとおっしゃいます。
深い青が好きなので、そこを基本に変わり続けていけたらいいのかなと。
これまでも、そしてこれからも、限りなく広がる 青と白の世界です。
 

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