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北海道「革製品」

北海道の開拓は農耕馬と共にありました。
江戸時代、ニシン漁場で働いた「南部馬」が
厳しい冬を生き延び、野生化したのが
北海道産馬「どさんこ」のルーツと言われています。
馬体はかなり小型なのですが、
同じ側の前脚と後ろ脚を一緒に出す「側対歩」なので、
起伏の激しい山道でも揺れが少なく、
物資の輸送や乗り物として重宝されました。
 
明治開拓期には、 切り株を引き抜き、田畑を耕し、
山から巨木を運び出し、 石炭を掘り出すために、
馬はなくてはならない存在でした。
開拓が進むとより馬力の強さが求められ、
海外から「ペルシュロン種」などの重種馬を輸入し、
積極的に品種改良が行われました。
 
ところが、かつては100万頭がいた農耕馬などの大型馬も、
機械化によって、 土木や農業などに馬が使われなくなったことから
現在の年間生産頭数は3000頭程になってしまいました。
そして北海道の馬具メーカーも
歌志内市に本社を構える 「ソメスサドル」(SOMES SADDLE)
一社だけになってしまいました。
 
北海道歌志内市はかつては炭鉱で栄え、人口5万人に迫る街でした。
しかし時代は変わり、
1960年代になると、炭鉱は次々に閉山へと追い込まれます。
そこで、地方再生を図るために創業されたのが、「ソメスサドル」でした。
 
当時はまだ沢山いた
荷物を運んだりする使役馬のための馬具を作っていた馬具職人達や
地元の炭鉱離職者に歌志内市に集まってもらい、
始められたのが「ソメスサドル」の前身となる
「オリエントレザー」という会社でした。
 
その頃は、1ドル360円の固定相場で、
馬具はほぼ100%アメリカへの輸出用に生産されていました。
 
それが昭和48(1973)年のオイルショックをきっかけに、
変動相場制から円高になると、
生き残りをかけて、馬具の国内販売へと舵を切りました。
馬具づくりの技術、ノウハウを活かした革製品の生産が始まったのも
この頃でした。
 
1980年代前半からは、
本格的なバッグなどの革製品を生産していこうということで、
現在も生産している「鞍」をモチーフにしたバッグの原型となるようなものを
作り始め、 昭和60(1985)年に『ソメスサドル』と社名を変更しました。
 
「ソメス」はフランス語で『頂点』、「サドル」は『鞍』を意味します。