MENU

美の壺「500回記念!美の殿堂・美術館」<File 500>

<番組紹介>
「テルマエロマエ」のヤマザキマリさんが、
イタリア人をまず「東京国立博物館」に連れていく
理由とは?!
 ▽料理研究家・土井善晴さんが、
  20年通う「日本民藝館」で
  料理に通じる美学を語る!
 ▽世界的建築家・西沢立衛さんが、
  美術館で制作秘話を公開!
 ▽藤森照信さんが手がけた、
  “雨が展示室に入る”美術館とは?
 ▽直島「地中美術館」を愛してやまない
  書家・紫舟さんのおすすめポイントとは?!
 
<初回放送日:令和2(2020)年3月20日>
 
 
 

美の壺1.唯一無二の美を支える

 

東京・京橋の新しい美術館「アーティゾン美術館」


www.youtube.com

 
ブリヂストン」の創業者・石橋正二郎が収集した美術品を展示した
「ブリヂストン美術館」が
令和2(2020)年1月18日に「アーティゾン美術館」として、
リニューアルオープンしました。
 
東京駅前の京橋に位置する高層ビル「ミュージアムタワー京橋」の
1~6階を占め、その延べ床面積は6715㎡、展示室の総面積は2100㎡を
誇ります。
 
因みに「ARTISON(アーティゾン)」とは、
「ART(美術)」と「HORIZON(地平)」を合わせた造語です。
 
 
アーティゾン美術館」をデザインしたのは、
デザイン事務所「TONERICO:INC(トリネコ)」。
平成14(2002)年に、米谷ひろしさん、君塚賢、増子由美の
日本人3人組によって結成されたデザインユニットです。
建築、インテリアから家具、プロダクトに至るまで多岐に渡り活動し、
「銀座 蔦屋書店」、「LOFT 店舗開発」、「青山見本帖」、
「MEMENTO」、「KYOBASHI」などを手掛けました。
 
代表の米谷ひろしさんと君塚賢(きみづかけん)さんは、
空間をより開放的に見せるために、
館内の1~2階を「吹き抜け」を効果的に使いました。
「吹き抜け」の高さ8mの高透過大型ガラスによって
明るい空間が広がっています。
 
また、展示物を守るための「柵」を設けませんでした。
「柵」を設ける代わりに、
日本の美術館では珍しい
高性能の危険物検知ボディスキャナーを採用し、
床の縦組と横組で「結界」のように区切り、
感覚的な柵を作り出しました。
 
  • 住所:〒104-0031
       東京都中央区京橋1丁目7-2
  • 電話:03-5777-8600
 
 

東京上野「東京国立博物館」(トーハク)


www.youtube.com

 
「THERMAE ROMAE」「スティーブ・ジョブズ」
「プリニウス」「オリンピア・キュクロス」といった代表作を持つ
漫画家で画家で文筆家でもあるヤマザキマリさん。
 

 
現在はイタリアに在住し、
日本を行ったり来たりしているヤマザキさんにとって、
150年の歴史を持つ「東京国立博物館」は
子供の頃からに通い続ける、お気に入りの博物館です。
親戚や友達が来日すると、この博物館を案内するそうです。
 

 
エントランスにある大理石の時計は、
ヤマザキさんのお気に入りの一つで、
空間の溶け込みながら、細やかなデザイン性があり、
「日本の美」を象徴しているとおっしゃいます。
 

 
海外の美術館にも訪れるという
「美術館通」のヤマザキさんは、
海外のデコラティブに飾るのに対し、
日本の美術館はシンプルで控えめだけど、質は高いと
熱くおっしゃいます。
 

 
また「東京国立博物館」は、
海外の美術館に負けない位に威厳があり、
余裕を持った空間に国宝などを1点を展示するという
余白を活かした空間の使い方を「厳か」(おごそか)と表現し、
作品への敬いを感じるとおっしゃっていました。
 

yamazakimari.com

 

 
  • 住所:〒110-8712
       東京都台東区上野公園13−9
  • 電話:050-5541-8600
 
 
 

美の壺2.響き合って一体となる

 

日本民藝館


www.youtube.com

 
料理研究家の土井善晴さんは、
東京都目黒区駒場にある「日本民藝館(にほんみんげいかん)
20年来通っています。
 
「民藝」という新しい美の概念の普及と
「美の生活化」を目指す民藝運動の本拠として、
大正15(1926)年に柳宗悦らにより企画され、
大原孫三郎を始めとする多くの賛同者の援助を得て、
昭和11(1936)年に開設されました。
柳は初代館長に就任して、ここを活動の拠点に、
様々な展覧会や調査研究を展開していきました。
 

 

 
日本民藝館」には、漆器、やきもの、長椅子や掛け軸など、
日本各地の暮らしの道具が展示してあります。
それらは、カテゴリー毎ではなく、棚の上にバラバラに置かれています。
 

 
土井さんはそれを、
「意識的に道具が響き合うように展示されている」と絶賛します。
「民芸は道具。
 道具が隣り合って響き合って、全てが美しく同居している。」
 

 
民藝の器の美しさに触れながらも、
自身が作る家庭料理との共通点も教えてくれました。
 

 
  • 住所:〒153-0041
       東京都目黒区駒場4丁目3−33
  • 電話:03-3467-4527
 
 

軽井沢千住博美術館


www.youtube.com

 
平成23(2011)年に開館した「軽井沢千住博美術館」は、
世界で活躍する日本画家・千住博(せんじゅひろし)さんの
昭和53(1978)~平成23(2011)年にかけて制作された作品、
約100点を所蔵・展示する個人美術館です。
 

 
千住 博さんの
「美術館の独特な閉鎖性や圧迫感を取っ払いたい」、
「明るく開放的で,今までなかったような美術館に」
というリクエストを基にこの美術館を設計をしたのは、
建築界のノーベル賞「プリツカー賞」受賞の俊英、
西沢立衛(にしざわりゅうえ)さんです。
 
館内は、公園でもあり、
同時にプライベートなリビングでもあるような
ランドスケープのような一室空間になっています。
 
床は、3.5m程の高低差のある既存の敷地に合わせて
緩やかに傾斜しています。
深く軒を出して、
シルバースクリーンとUVカットしたガラスの窓からは、
光を制御しながらも、
軽井沢の風景や緑や光が室内に柔らかく入ってきて、
自然をモチーフにした千住さんの作品と融合し、
調和します。
 
人々は森の中を歩くように
いろいろな場を巡り、
各所に配された家具でくつろぎながら、
千住さんの作品と対話したり、
豊かな自然を感じたりすることが出来ます。
 

 
西沢さんは、建築物にするために
200もの模型を試作したそうです。
 

 
  • 住所:〒389-0111 
       長野県北佐久郡軽井沢町長倉815
  • 電話:0267-46-6565
  • 冬季閉館
    2022年12月26日~2023年2月28日
  • on line museum shop
 
 
 

美の壺3.土地に根ざし顔となる

 

多治見市モザイクタイルミュージアム


www.youtube.com

 
「モザイクタイル」発祥の地にして、
全国一の生産量を誇る岐阜県多治見市笠原町に
平成28(2016)年誕生した
その名の通り、
「モザイクタイル」をコンセプトにした博物館です。
 
世界的に知られる建築家・藤森照信さんが
設計・デザインを担当しました。
常に日常にありふれたタイルを
如何にアートとして鑑賞に耐えるものにするか
工夫を凝らしたそうです。
 

 
 
その独創的な外観は、焼き物のタイルを生産するために
原料を掘り出すために切り崩した「粘土山」をモチーフとしています。
採土場をモチーフにした土壁には、
割れた磁器のタイルや食器の欠片がはめ込まれています。
そして屋根面には縁にのみ、高さ50㎝程の松の木が植えられています。
 
中を案内してしていただきました。
ジブリのようなメルヘンな入り口が現れ、木の扉を潜り抜けると、
1階には、ミュージアムショップや
タイルを使った工作が出来る体験工房があります。
更に2階、3階、4階には、3つの展示室とギャラリーがあり、
約20年の時をかけて、町の有志が集めてきた
タイルの製品や資料を約1万点収蔵展示されています。
 
各階は、「登り窯」をイメージした
巨大な土のトンネルのような大階段で行き来するように
作られています。
その大階段を4階まで上がり切ると、
真っ白く明るい空間が広がり、丸く穴の空いた天井からは、
色とりどりのモザイクタイルの欠片をワイヤーに取り付けて
カーテンのようにして連なった「タイルガーデン」、
または「タイルのすだれ」とか「タイルのカーテン」とも呼ばれる
かつてない見たことのないスタイルの展示物が
青空の下で宝石のような光を放っています。
 
これは藤森照信が考案し、
制作の一部に笠原町の人々も携わった作品です。
 
「タイルガーデン」のタイルの欠片は、
地元の有志が解体される建物などから譲り受けた収集物から
著名な建築家の藤森照信さんが選んで配置しました。
タイル張りの製品やモザイク画、また銭湯のタイル絵など、
役目を終えたタイルが集まり、不思議な空間を作っています。
 
  • 住所:〒507-0901
       岐阜県多治見市笠原町2082-5
  • 電話:
 
 

香川直島・地中美術館


www.youtube.com

  • 00:13 宮ノ浦港、周辺のアート
  • 00:52 杉本博司ギャラリー時の回廊
  • 01:39 ベネッセハウスミュージアム周辺のアート
  • 02:23 地中美術館
  • 02:57 李禹煥美術館
  • 03:31 宮ノ浦の町
 
 
『美の壺』の題字を担当している書家・紫舟(ししゅう)さんは、
瀬戸内海に浮かぶ離島・直島にある
平成16(2004)年の開館当初から毎年のように通い続けています。

 
大半が地下に埋設されたこの美術館では、
迷宮のような地下空間を巡りながら、
クロード・モネ、ジェームズ・タレル、ウォルター・デ・マリアの
わずか3人の作家の作品だけを鑑賞していきます。
 
 
紫舟さんは、
「日常のざわつきから離れて、
 心が澄んでいくような感じがする」とおっしゃって、
現代美術家のジェームズ・タレルの部屋や、
印象派の巨匠・モネが描いた「睡蓮」(すいれん)を巡りながら、
異世界に入り込んだような空間を堪能していました。
地中美術館」は「自然と人間を考える場所」として、
安藤忠雄さんによって設計されました。
 
建物の最大の特徴は、「外観が見えないこと」。
瀬戸内の美しい景観を損なわないようにと、
建物の大半が地下に埋設されています。
また、鑑賞の体験を損なわない工夫もなされています。
照明は、ライトを直接作品に当てるのではなく、
地下でありながら自然の光が降り注ぐように工夫され、
時間とともに明かりも変化し、
夕方にはだんだん光が弱くなっていき、
その変化も楽しむことが出来ます。
 
 

 
仏パリの「オランジェリー美術館」(Musée de l'Orangerie)にある
「睡蓮の間」には、
クロード・モネの連作「睡蓮」8点が展示されていますが、
モネは絵を仏政府に寄付する際、いくつかの条件をつけました。
 

  1. 部屋を円形に造り、周囲を囲むように絵を飾ること。
  2. 部屋には「睡蓮」だけを展示すること。
  3. 絵は自然光の下で見るようにすること。
  4. 内装は白で統一していっさいの色をつけないこと。
  5. 見る者と絵を遮るいっさいのものを置かないこと。
  6. 展示は死後行うこと。

 
「睡蓮の間」には、モネの8枚の睡蓮の絵が
東の朝から西に夕日が沈むまでという
時の流れを連想させるように配置されています。
天井からは太陽の光を取り込むようになっていて、
自然の中にいる感覚が味わえます。
 

最晩年、失明の危機にあったモネは、
自らの芸術の命ともいえる「光」を失う恐怖と闘いながら、
水面にきらめく光と睡蓮の花が織り成す
微妙なニュアンスを繰り返し描きました。
だからこそ、明るい「自然な光」が必要だったのです。
 

 
  • 住所:〒761-3110
       香川県香川郡直島町3449-1
  • 電話:087-892-3755
 

 


 

 

f:id:linderabella:20210513110059j:plain