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美の壺「白磁」 <File517>

食卓から世界を魅了!
究極の色と形「白磁」の器。透けるほどの薄さ、色香漂う地肌。
400年前、佐賀・有田の奇跡の土が生んだ最初の磁器。
白色を極限まで引き立たせる究極の“ろくろの技”。
ゆるぎない輪郭線の美。
近代陶芸の巨人・富本憲吉が遺した“ろうそくの炎”の極意とは?
民藝家、柳宗悦が魅せられた朝鮮白磁の神秘。
幻の大壺「満月壺」の復活に挑む!
世界が絶賛した白磁作家の“白き宇宙の器”とは?
 

 
真っ白な焼き物「白磁」。
白磁はきめ細かな白い土を高温で焼き締めたものです。
ガラス質を含み、硬くて透明で、
光が透けるほどの薄さのものです。
多彩な表情が無限の時へと誘う白磁の世界を
お楽しみ下さい。
 
 

美の壺1.白を味わう

 

大阪・曽根崎 工芸店ようび

 
大阪・曽根崎にある和食器店「工芸店ようび」には、
日本全国の匠が作り出した様々な器が並んでいます。
店主の真木啓子さんは白磁と出会って50年。
その魅力は計り知れないとおっしゃいます。
ご自宅で毎日愛用している白磁を見せて頂きました。
 

 
真木さんが最も引かれる 取り合わせがこちら。
「お茶碗に白いごはんを盛った時に、
 あ~、これなんだと思ったんですよ。」
白と白の競演です。
 
  • 住所:〒530-0057
       大阪府大阪市北区曾根崎1丁目8−3
  • 電話:06-6314-0204
 
 

日本白磁発祥の地 佐賀県有田 泉山磁石


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焼き物の町 佐賀県有田。
古いレンガの煙突が長い歴史を偲ばれます。
華やかな色絵の器で溢れています。
絵付けの素地となるのが、真っ白い磁器です。
 
 
およそ400年前、磁器の原料となる、陶石が発見され、
日本で初めて、有田で白磁が焼かれました。
 
泉山は江戸時代から掘り続けた採石場です。
泉山の石の特徴は、
僅かに鉄分が含まれているため、黒い点が現れることがあります。
真っ白にするには、鉄分の除去が必要でした。
 
「この赤い部分が鉄分なんで、
 これをハンマーで取ってやって、
 より白い焼き物になるようにやってます。」
 
ハンマーで鉄分が除かれた石は、
次に粉末して水に入れ、
上澄みの細かい粒子だけを白磁の土に使います。
 
しかし これだけでは終わりません。
大きな磁石で砂鉄を集めるように、
鉄分を限界まで取り除いていきます。
円盤状の磁石から赤く流れ出てくるのが鉄分です。
多くの時間と手間を掛けて作られる、とびきりの白です。
 
泉山磁石場は、
昭和55(1980)年3月24日に国の史跡に指定されています。
現在は休鉱中で採掘されておらず、
今は泉山の原料をほとんど使われていません。
 
磁石場の隣にある「有田町立歴史民俗資料館」 には、
有田焼の技法、道具、陶片などが展示されていて、
日本で初めて磁器が焼かれた有田の歴史や
有田焼の中心地となった皿山地区の人々の暮らしを
知ることが出来ます。
 
  • 住  所:〒844-0001
         佐賀県西松浦郡有田町泉山1−4−1
  • 開館時間:午前9時~午後4時30分
  • 休 館 日 :毎週月曜、年末年始
  • 入 館 料 :一般100円、
         高大生50円、小中生30円(団体割引あり)
  • 電話番号:0955-43-2678
 
 
<参考> 陶芸用粘土 工場見学 有田焼 陶土ができるまで


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有田出身の陶芸家・西山 正さん(佳秀窯

 
白磁の第一人者で、有田焼ろくろ成形の名手、
重要無形文化財指定(人間国宝・平成7年認定)の
陶芸家・井上萬二さん。
その井上さんに轆轤の技を習い、修業した
佳秀窯の西山正(にしやま ただし)さんが
井上さんから最初に教わったのは、意外なものでした。
 

 
「最初の半年ぐらいは、焼き物に敷く台を作ったんですね。
 「ハマ」って言う、
 窯入れの時に焼き物と棚の間に置く小さな台。」
 
毎日「ハマ」を作り続けて半年後、
やっと井上さんに認められるようになりました。
すると、開眼したように轆轤の技が進歩していきました。
 

 
回っているのに、まるで静止しているかのよう。
一分の隙もない、揺るぎない造形。
今日も西山さんは、純白の世界を作り上げます。
 

 
白磁、青磁の造形の美しさに魅了され、
轆轤による手造りの温かさ、しなやかさを
家庭の中に届けたいという思いで、40数年。
 

 
西山さんは、天草の特上質の陶石を使用し、
鉢、花器、花瓶など大物から、日常食器に至るまで、
全て手作りで、轆轤成形にこだわって、
ひとつ、ひとつ思いを込めて制作し続けています。
 

 
  • 住  所:〒844-0017
         佐賀県西松浦郡有田町戸杓丙761-3
  • 営業時間:9:00~18:00
  • 定 休 日 :不定休
  • 電話番号:0955-42-3493
 
 

美の壺2.ぬくもりを味わう

 

日本民藝館(東京・駒場)

 
手仕事が生んだ美しい工芸品を展示する日本民藝館
長年 ここで仕事をしてきた尾久彰三さんが最も好きなのは、
17世紀 朝鮮半島で作られた白磁だそうです。
 

 
日本民藝館の創始者・柳 宗悦は、
大正3(1914)年に、柳を訪ねた来た
韓国(当時は朝鮮)で小学校教師をしていた
浅川伯教が持ってきた手土産、
朝鮮陶磁器の美しさに魅了されます。
 

 
そして、大正5(1916)年以降、度々朝鮮半島へ渡り、
朝鮮工芸に親しむようになりました。
当時の朝鮮では、
伝統の白磁は 忘れ去られようとしていました。
失われゆく白磁に、柳の心は奪われたようです。
 
  • 住所:〒153-0041
       東京都目黒区駒場4丁目3−33
  • 電話:03-3467-4527
 
 

陶芸家・崔在皓(山口県)

 
韓国生まれの陶芸家・崔在晧さんは
平成16(2004)年から日本に移り住み、母国の白磁に挑んでいます。
ソウルの美術館で見た『満月壺』という白磁作品に魅せられて、
白磁を勉強しようと決めたそうです。
 
 

美の壺3.白き宇宙

 

人間国宝・富本憲吉

 
富本憲吉(とみもと けんきち、明治19年-昭和38年)は、
奈良県生駒郡安堵町出身の陶芸家です。
色絵に金銀彩を加えた華麗な技法を完成させ、
羊歯文様などによる独自の作陶様式を確立し、
昭和30(1955)年2月15日に、
第1回の重要無形文化財技術指定保持者(人間国宝)に認定されました。
また、昭和36(1961)年には「文化勲章」を受章しました。
 
「模様の富本」と言われましたが、
番組では色絵とは対極にある名品「白磁八角壺」が紹介されました。
しっとりとしたやわらかさと深く沈んだ気品が漂う白磁です。
 
 
富本憲吉は、
色彩や模様によるごまかしが一切きかない白磁には、
轆轤で整形した段階で最も形の整ったものを用いたそうです。
 
 

陶芸家・森野泰明さん

 
富本が書いた焼き物の指南書が残されていました。
ガリ版刷りで、図案や土のことから、
工房の作り方まで記してあります。
 

 
指南書の持ち主である陶芸家の森野泰明さんは、
大学時代に指南書を教科書として、富本に教えを受けました。
 
指南書には、こんな記述があります。
「白磁の削りの済んだ凹凸を見るには、
 暗がりで、一本のろうそくの火で見るに限る。」
 
ろうそくを近づけると、
白磁の表面の僅かな凹凸まではっきりと見えてきます。
富本は、削っては確かめ、また削り、
八角形の放つ、絶妙なラインを追い求めました。
 
 

陶芸家・黒田泰蔵さん

 
静岡県伊東市富戸の海や島を見渡す断崖の上、
何と約2000坪という広大な敷地に
世界的に高い評価を得ている
陶芸家・黒田泰蔵(くろだたいぞう)さんのアトリエがあります。


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黒田さんは、昭和21(1946)年1月1日、滋賀県能登川生まれ。
昭和41(1966)年、仏パリに滞在。陶芸家の島岡達三と出会います。
その後、ニューヨークに滞在後、
カナダ・ケベック州ノース・ハートレーで
陶芸家のGeatan Beaudin(ゲータン・ボーダン)に師事し、
陶芸を始めます。
カナダの製陶会社“SIAL”にてデザイナーとして勤務、
カナダにて築窯した後、
昭和56(1981)年に帰国し、翌年、静岡県松崎町に築窯。
平成3(1991)年、静岡県伊東市に築窯。
平成4(1992)年に、初めて白磁を発表。
生涯をかけて、自己表現として究極の白磁を求めて活動され、
美しい造形と唯一無二の世界観で、白磁をアートの世界に押し上げ、
国際的に高い評価を受けました。
 


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繊細な指先から生まれる自在な形。
張り詰めた緊張感と緩く弛緩するリズムのせめぎ合いが
独特のフォルムを作り出します。
 
そんな黒田さんの作品を代表する造形が「円筒」です。
轆轤の回転運動によって、垂直に引き上げられた円筒形は、
円と直線で構成されるシンプルで、個性を押し殺したような形です。
 
「それが真骨頂。こんなもんですよね。」
黒田さんが今 最も熱中している形です。
 


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きゃしゃな立ち上がり、やがて丸く張り出す肩、
そして細く、すぼまる口元。
相反する力が、不思議なまでのエネルギーを放ちます。
釉薬を使わないで、焼き締めた艶消しの白。
僅かに黒田さんの指先の痕跡をとどめます。
ひき上げられた口が
「使う」という実用から解き放たれて、虚空へと誘います。
黒田さんの名を、一躍、世に知らしめた作品です。
 
「人には「黒田さん まだ進化してるね」って言われるし、
 自分自身も そう思ってます。
 でも何か、最後まで緩くてもいいから、上がってたいというのは
 憧れとしてありますよね。」
未知の世界は どこまで続いていくのでしょう・・・。
 
とおっしゃっていらっしゃった黒田さんですが、
残念ながら、今年、令和3(2021)年4月13日にお亡くなりになりました。
75歳でした。
 


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