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美の壺 「日本の温泉」スペシャルです!

<番組紹介>
湯の国・ニッポンが誇る「温泉」のツボを大特集!
 ▽大分・別府で温泉三昧!
  五感で楽しむ泥湯?砂湯?地獄??
 ▽東北・秋田の「秘湯」では雪見の露天風呂に囲炉裏にお鍋!
  豪雪でも人気のわけとは?
 ▽源泉を守る「湯守」に密着!
  冬の福島、命がけの作業は必見!
 ▽「建築」も見どころ!
  佐賀・武雄の竜宮城VS長野・上諏訪のカルロビバリ?
 ▽俳優・木村多江が読む「温泉文学」の旅。
  草刈邸は温泉旅館に?90分拡大スペシャル
初回放送日: 令和4(2022)年5月6日
 
 
 

美の壺1.湯につかり 湯に遊ぶ

 

別府温泉の魅力(温泉の達人・指原勇さん)

 
日本には2万7千の源泉があります。
一口に温泉と言っても、温泉の「泉質」は
温泉に含まれている化学成分の種類とその含有量別に決められており、
環境省自然環境局が『鉱泉分析法指針』にて規定しています。
環境省によって決められた10種類の「泉質」に分類することが出来ます
[PDF]。
泉質名 特徴 主な効能(適応症) 代表的な温泉地
1.単純温泉 無色透明無味無臭、
お湯が柔らかい
疲労回復、神経痛、
筋肉痛、肩こり
♨鬼怒川温泉
♨道後温泉
♨下呂温泉
♨別府温泉郷
2.二酸化炭素泉 シュワシュワとした
気泡が肌を包む、
ぬるま湯が多い
高血圧、動脈硬化、
切り傷、火傷
♨有馬温泉
♨別府温泉郷
♨湯の児温泉
3.炭酸水素塩泉  美肌、とろとろ 切り傷、火傷、
慢性皮膚病、美肌作用
♨湯村温泉
♨鳴子温泉
♨嬉野温泉
♨別府温泉郷
4.塩化物泉 湯あたりしにくい 冷え性、切り傷、
火傷、関節痛
♨秋保温泉
♨城崎温泉
♨指宿温泉
♨別府温泉郷
5.硫酸泉 無色透明、苦味あり 動脈硬化症、切り傷、
火傷、慢性皮膚病り
♨玉造温泉
♨河口湖温泉
♨芦ノ牧温泉
♨別府温泉郷
6.含鉄泉 鉄が酸化しているため、
茶褐色
神経痛、リウマチ、
創傷、婦人病
♨長良川温泉
♨登別温泉
♨土湯温泉
♨別府温泉郷
7,硫黄泉 美肌、色、刺激、匂い リウマチ、運動障害、
しもやけ、創傷
♨草津温泉
♨別所温泉
♨雲仙温泉
♨別府温泉郷
8.酸性泉 肌がピリピリする刺激、
無色またはわずかに黄色
酸味あり
腺病、神経痛、、
胃腸病、皮膚病
♨新玉川温泉
♨岳温泉
♨蓼科温泉
♨別府温泉郷
9.ラジウム泉 とろとろ、刺激あり 痛風、高血圧症、
筋肉痛、慢性皮膚病
♨湯の山温泉
♨三朝温泉
♨玉名温泉
10.含よう素泉 茶褐色だが間が経つと
時次第に黄色く変色、
ヨード独特の薬臭
疲労回復、神経痛、
筋肉痛、肩こり
♨酒々井温泉
♨豊富温泉
♨強首温泉
 
 
 
「別府温泉」は、源泉数、湧出量ともに日本一を誇り、
国内にある源泉の約1割に当たる2,200余があると言われています。
そして「別府八湯(はっとう)と呼ばれる8つの温泉郷を巡るだけで、
10ある泉質の内の7種類の温泉に入ることが出来る、
まさに温泉ワールドの地です。
 

 
そんな「別府温泉」を渡り歩く達人の指原勇(さしはら いさむ)さんに
別府温泉の楽しみを紹介して頂きました。
指原さんは定年退職後、大分市内の温泉を訪れた回数は、
何と延べ1万回だそうです。
 
別府は、江戸時代より湯治場として知られてきました。
昭和初期には、100万人の人が訪れ、
日本国内有数の温泉地に発展しました。
別府温泉は、多種多様な入浴方法で楽しませてくれます。
温泉達人、指原さんによる別府温泉ツアーの始まりです。
 
 
1.明治11年創業の市営温泉「竹瓦温泉

明治12(1879)年に創設された市営「竹瓦温泉(たけがわらおんせん)は、
当初建築されたものが竹屋根葺きの浴場であったことから、
竹瓦温泉」の名称がついたと伝えられています。
 
現在の建物は昭和13(1938)年(1938)に建設されたもので、
唐破風造(からはふづくり)の豪華な屋根を持つ建物となっており、
その外観は別府温泉のシンボル的な存在となっています。
 
階段を降りると浴槽があります。
浴槽を地表より低い場所に設けるのは、
別府ではよく見受けられるスタイルです。
指原さんによると、薄黄色の色をした塩辛さを感じる湯は、
塩化物泉で、重曹泉も入っているためツルツル感があるそうです。
 
  • 住所:〒874-0944
       大分県別府市元町16-23
 
 
2.鉱泥温泉

鉱泥温泉(こうでいおんせん)は、
市街地より車で30分進んだ山中にある
別府地獄めぐり「坊主地獄」の敷地内にある日帰り入浴施設です。
灰色の湯の底には泥があり、皮膚病にも効果があるそうです。
 
指原さんは、化粧水のような感覚で手や顔に泥をつけてましたが、
この灰色の泥は熱めなので火傷する危険もあるので、
あまり泥パックはしない方が良さそうです。
温泉に浸かったら上がって乾かし、また浸かったら上がって乾かすという
入浴法を繰り返して下さい。
「天然坊主地獄」は、
1498年のM7.0~7.5規模の「日向灘地震」により、
地が裂け、熱泥が噴出し、
当時この地にあった延内寺が大爆発!
地中深くから熱泥がポコッポコッと湧き上がりました。
湧き出る姿はまるで坊主頭のようということで
名付けられました。
 
  • 住所:〒874-0842
       大分県別府市小倉6
  • 電話:0977-66-0863
 
 
3.別府海浜砂場

最後は、別府湾を望む温泉「別府海浜砂場」を紹介して頂きました。
海岸沿いに幅6m、長さ20mの砂湯があり、
浴衣を着て砂に寝転び、予め65℃の源泉で温めておいた砂をかけてもらって、
砂に身体に埋める、江戸時代から続く伝統的な入浴方法です。
15分程でポカポカと温まります。
海を眺めながら砂湯でポカポカ温まれば、体も心もリフレッシュ出来ます。
指原さんによるとサウナよりは熱くないそうです。
 
「別府海浜砂湯」は別府国際観光港の隣の
「上人ヶ浜」 (しょうにんがはま)の一角にある市営の砂湯です。
古い文献には、建治2(1276)年に
「一遍上人(いっぺんしょうにん)が九州に来るや、
 初めてこの地に上陸したとの伝説があり、
 これ、上人ヶ浜の名ある所以(ゆえん)なり」と、
その地名の由来が記されています。
 
  • 住所:〒874-0023
       大分県別府市上人ケ浜町
  • 電話:0977-66-5737
 

 
 

見て楽しむ地獄の湯めぐり「別府温泉」

別府の湯には、目で見て楽しむ温泉がたくさんあります。
別府は活火山が近く高熱の熱湯や蒸気が出ることから
温泉を地獄に見立て「地獄の湯」と呼ばれている
海、鬼石坊主、かまど、鬼山、白池、血の池、龍巻の
7つの「地獄の湯」があります。
 
別府大学教授 飯沼賢司さんによると、
別府の地は、作物が出来難かったことから
生活が極楽でなく「地獄」でした。
 
1.海地獄

「海地獄」は、その名の通り、
透き通るようなコバルトブルーが一見涼し気に見えるのですが、
実は98℃もの灼熱地獄の池です。
1200年前の鶴見岳の噴火より出来たと言われています。
むせかえるような噴気が立ち込め、近寄りがたい熱気です。
  • 住所:〒874-0000
       大分県別府市鉄輪559-1
  • 電話:0977-66-0121
 
 
2.血の池地獄

真っ赤な色の温泉は、ご存じ「血の池地獄」です。
酸化鉄やマグネシウムを含んだ熱泥の湯は、
噴気まで赤みがかっている
まさに地獄にいるような印象的な湯です。
奈良時代に編纂された『豊後風土記』に「赤温泉」と記された
日本で一番古い天然の地獄。
まさに地獄という言葉がぴったりで血のように真っ赤。
地獄から噴出する赤い熱泥は、
明治時代から傷薬や皮膚病薬に使われるほど効能豊か。
かつては染物にも使われていたそうです。
血の池地獄
  • 住所:〒874-0016
       大分県別府市野田778
  • 電話:0977-66-1191
 
 
3.鬼石坊主地獄
高熱の泥が粘土質の熱泥が球状をなして沸騰している様子が
坊主頭に見えることが名前の由来とされている地獄。
噴出口からは轟音が鳴り響き、
その音が鬼のいびきのように聞こえることから
「鬼の高いびき」とも呼ばれています。
天平5(733)年に編まれた『豊後風土記』に登場するほど
歴史が古い地獄の湯です。
  • 住所:〒874-0000
       大分県別府市鉄輪559-1
  • 電話:0977-27-6655
 
 
4.かまど地獄

古来より氏神の竈門八幡宮の大祭の際に、
地獄の噴気で炊いたご飯をお供えしたという習わしが
その名の由来とされている「かまど地獄」は、
1丁目から6丁目と名付けられていて、
茶褐色の熱泥地獄や、湯の色が変化する地獄など、
1か所で6種もの地獄が見られるのはここだけ!
  • 住所:〒874-0840
       大分県別府市鉄輪621
  • 電話:0977-66-0178
 
 
5.鬼山地獄

緑白色の地獄の湯。
大正12(1923)年に日本で初めて温泉を利用したワニの飼育を開始し、
現在も噴気の中でワニが飼育されていることから、
別名「ワニ地獄」とも呼ばれています。
  • 住所:〒874-0045
    大分県別府市鉄輪625
  • 電話:0977-67-1500
 
 
6.白池地獄
他の6つの地獄とは異なり、落ち着いた和風庭園にある地獄。
噴出時には無色透明の熱湯だが、
池に落ちて温度や圧力が下がると青白く変化し、
夏には緑色に変わることもあります。
  • 住所:〒874-0045
    大分県別府市鉄輪283-1
  • 電話:0977-66-5737
 
7.龍巻地獄
別府市の天然記念物にも指定されている
一定の間隔で地中の熱水が勢いよく噴き上がる
「間欠泉」がある地獄。
その威力は約30mの高さにまで達すると言われています。
龍巻地獄
  • 住所:〒874-0016
    大分県別府市亀川野田782
  • 電話:0977-66-1854
 
 

別府名物「湯の花」

別府へ行かずして、別府温泉を楽しむことが出来る、
コロナ禍の今、温泉の気分を味わえる魔法のような一品があります。
天然の入浴剤「薬用 湯の花」です。
 
「湯の花」(ゆのはな)は、
一般に入浴剤などの用途で採取・多く販売されていますが、
 明礬地区の「薬用 湯の花」は世界唯一、小屋方式から生まれるもので、
江戸時代から300年受け継がれ、
平成18(2006)年3月には「国の重要無形民俗文化財」に指定されました。
 
みょうばん湯の里」の敷地内には、
地表から勢いよく温泉ガスの蒸気が噴出しているところに
藁・茅・竹・木材のみで釘を使わずに建てられた
縄文時代の住居のようにも見える藁葺き屋根の「湯の花小屋」が
約50棟立ち並んでいます。
 

 
湯の花職人の山口裕之さんによると、
小屋の向きや場所は、昔より計算されて建設されているのだそうです。
 

 
湯の花小屋」は噴気の多い場所を選び、
温泉ガスが均等に小屋内で噴出されるように石畳みを作り、
ミネラルが多いこの地特有の青粘土を床に敷き詰めて作ります。
下からの温泉ガスが青粘土に触れることによって、
薬用 湯の花」が出来ます。

薬用 湯の花」は1日約1㎜ずつ成長し、
40~60日かけて採取、精製、乾燥して製品化されます。
 

 
出来上がった「湯の花」は、
お湯の中へ入れると温泉の成分が広がります。

  • 住所:〒874-0843
       大分県別府市明礬6組
  • 電話:0977-66-8166
 
 

美の壺2.温泉には 雪がよく似合う

 

乳頭温泉郷「鶴の湯温泉」(温泉宿会長・佐藤和志さん)


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乳頭温泉郷」は、奥羽山脈の秋田県側、
十和田・八幡平国立公園内にある「乳頭山」の周辺に点在する
7つの湯宿(鶴の湯・妙乃湯・蟹場・大釜・孫六・黒湯・休暇村)からなる
温泉郷です。
 
その中でも「鶴の湯温泉」は一番歴史が古く、
鶴が入浴しているのをマタギが発見したので
鶴の湯」と名付けられました。
 
「本陣」と呼ばれる茅葺きの建物は、
約350年前に2代目・秋田藩主の佐竹義隆公が湯治で逗留した時に
警護の詰所に使われていたもので、
風情ある茅葺き屋根の長屋は、現在は宿泊可能な客室になっています。
 

 
建物の間を抜けて橋を渡ると、そこは温泉エリアになっています。
一番大きな混浴露天の「白湯」、
湯冷めしにくい「子宝の湯」と呼ばれる「黒湯」、
病に効く「眼っこの湯」と呼ばれる「中の湯」、
打たせ湯「滝の湯」と、源泉が異なる4種の湯があります。
他にも、女性専用の露天と小さめの内湯が3つあります。
また、車で5分程離れた場所に「別館・山の宿」があります。
 
鶴の湯」を代表する混浴露天の「白湯」はとろみがあり、
硫黄成分や塩化物などが含まれ、お肌がツルツルになる美人の湯です。
この大自然に囲まれた濁り湯の露天風呂に雪の降る風景は絶景です。
 


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鶴の湯」の佐藤和志さんによると、
多い時になると、2月下旬には、積雪量が3mにもなるそうです。
「除雪」も、雪をどけるというより雪を掘る感じだとおっしゃいます。
 
木造の建物は維持をするのに手間が掛かるため、
近代的な建物にしようと思ったこともあったそうですが、
山奥での快適さを求めることより、
山奥の姿かたちを見てもらう、知ってもらうことが、
この温泉のあるべき姿なのではないかと思うようになったそうです。
 
この宿では、山ならではのおもてなしを受けることが出来ます。
ランプで囲炉裏を囲み、熱々の団子汁がご馳走です。
自然の景観に馴染んだ温泉でした。
 
  • 住所:〒014-1204
       秋田県仙北市田沢湖田沢先達沢
       国有林50
  • 電話:0187-46-2139
 
 

福島県二本松市・岳温泉「湯花流し」(武田喜代治さん)


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福島県・安達太良山(あだたらやま)の麓には、
15の宿が軒を連ねる「岳温泉(だけおんせん)があります。
 
岳温泉(だけおんせん)は全国でも珍しい「酸性泉」で、
酸性泉は殺菌力が高く、慢性皮膚炎やアトピーなどに効果があります。

また、天然の保湿成分「メタケイ酸」を豊富に含ため、

「美肌の湯」としても知られています。
 
この温泉は、普段はサラサラとした透明なお湯なのですが、
週に一度だけ乳白色のにごり湯、人呼んで「ミルキー風呂」になります。
そして、この「ミルキー風呂」になる日は「ミルキーデイ」と呼ばれ、
最近この日を目当てに訪れる方が増えているそうです。
 
「岳温泉」の源泉は、安達太良連峰の標高約1500mの地にあります。
源泉から温泉街まで標高差約900m、約8kmもの距離を「引き湯」され、
約40分かけて山肌を流れ下る間に適度に湯もみされるため、
酸性泉でありながら肌に優しい柔らかなお湯となって
各施設の湯船に注がれています。

この源泉は、硫黄を始め温泉成分が濃いことから、
空気に触れるとすぐに温泉が流れる樹脂パイプ内に
「湯花」(ゆばな)と呼ばれる沈殿物が付着してしまいます。
放っておくとパイプが詰まってしまうため、
毎週、源泉のパイプ内の「湯花」(ゆばな)を落とす
「湯花(ゆばな)流し」をする必要があります。
それを行うのが、「湯守」(ゆもり)と呼ばれる人々です。
 
「湯花(ゆばな)流し」は冬でも欠かすことが出来ません。
14kmもある氷点下8℃の極寒を登り歩き続けること2時間、
積雪3mもある源泉地帯まで到着したら、
硫化水素にも注意を払いながら、雪の中から源泉や点検口を掘り出して
「湯花(ゆばな)流し」を行います。
 
湯守の武田喜代治さんは、
この湯は、手を加えない言うことをきかなくなるので、
誰かがやらないとならないという思いでやっているのだとおっしゃいます。
 
源泉で湯花を洗い流すこと40分、温泉にミルキーな濁り湯が姿を見せました。
いつもと違った湯は、湯守の仕事の証です。
 
なお「岳温泉観光協会」では、
湯花流しの日をSNSで事前にお知らせしているので要チェックですよ。
 
 

美の壺・温泉文学

木村多江さんの朗読に誘われて温泉の町を旅します。
 

与謝野晶子の旅「伊香保温泉」「法師温泉」

 

 
明治から昭和初期に活躍した女流歌人与謝野晶子は
温泉好きでも知られ、100以上の温泉を巡っています。
 
群馬県の「伊香保温泉」を訪れた様子は
『伊香保の街』よりに記されています。
また昭和6(1931)年に、生涯のパートナーであった夫の寛(鉄幹)と旅した
三国山脈の麓の渓谷にある一軒宿「法師温泉(ほうしおんせん)については、
『冬柏』(とうはく)に記されています。
 


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法師温泉」は、明治28(1895)年に建てられた、
群馬県みなかみ町永井にある「上信越高原国立公園」に隣接する、
標高800mの山の中にある秘湯の一軒宿です。
木造二階建の4つの建物と3つの浴舎があり、
「本館」「別館」「法師乃湯」の三つの建物が
「国登録有形文化財」になっています。
 
法師温泉」はその名で知れるように、
弘法大師によって発見されたと伝えられ、
純度100%の源泉の豊富な湯が
浴槽の底に敷き詰めた玉石の間からポコポコ湧き、
有効成分が失われることなく人体に吸収されます。
 
泉質は、無色透明のカルシウム、ナトリウム硫酸塩泉(石膏泉)で、
胃腸、火傷、動脈硬化等の諸病に適応する他、
気の病にも効くそうで、ちょうどいい熱さで湧き出てきます。
 
「国登録有形文化財」にもなっている
明治時代の面影を残す鹿鳴館風の大浴場「法師乃湯」は、
国鉄時代のフルムーンポスターの舞台にもなり、話題になりました。
 
 
晶子と寛(鉄幹)の間には11人の子供がおり、
育児と家事に追われながら創作活動をしていました。
温泉は夫との水入らずの時間でした。
晶子は、4日の滞在で99首もの歌を創りました。
晶子にとって温泉は創作活動の源だったのかもしれませんね。
 
  • 住所:〒379-1401
       群馬県利根郡みなかみ町永井650
  • 電話:0278-66-0005
 
 

竹久夢二の旅「湯涌温泉」

 
画家で詩人の竹久夢二には忘れられない温泉があります。
大正6(1917)年8月、京都の暑い夏から逃れるために
次男・不二彦と
夢二にとって「最愛のひと」であり「永遠のひと」であった
笠井彦乃と共に訪れた
緑豊かな山間にある、金沢の奥座敷とも呼ばれる名湯
湯涌温泉」です。
 

 
彦乃の両親から交際を反対されていた二人にとって、
温泉地で過ごした時間は大切な時間でした。
川沿いに温泉宿が3軒立ち並んでいた様子を夢二は描いています。
 
温泉街には、夢二と彦乃の滞在中の作品などを展示する
金沢湯涌夢二館」があります。
ここには、彦乃をモデルとした水彩画『湯の街』があります。
『湯の街』制作時のエピソードは『夢二日記』に記されています。
 
彦乃は再び訪れたいと願うものの、
大正7(1918)年に結核に倒れ入院。
大正9(1920)年1月、23歳の若さでこの世を去りました。
二人の幸せの時を刻んだ「湯涌温泉」の想い出は、
夢二の手により歌集『山へよする』となりました。
周囲から反対を受けた笠井彦乃との恋愛の最中、
互いに「山」「川」と符丁で交わした手紙の中で、
夢二は彦乃を「山」と名づけていました。
 
 
  • 住所:〒920-1123
       石川県金沢市湯涌町イ144-1
  • 電話:076-235-1112
 
 

美の壺3.別世界へいざなう温泉建築

 

佐賀県・「武雄温泉楼門」


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佐賀県西部にある「武雄温泉(たけおおんせん)
温泉の入口に立つ朱塗りの楼門「武雄温泉楼門」は、
東京駅を設計した「辰野金吾」の設計により
大正4(1915)年4月12日に完成した「武雄温泉」のシンボルです。
平成17(2005)年には国の重要文化財に指定されています。
 
ほぼ同時期に設計され、「丸の内駅舎」は平成26(2014)年、
「楼門」は平成27(2015)年に100周年を迎えました。
平成24(2012)年に復原された東京駅南北ドームの天井には「巳」や「辰」など8つの「干支」のㇾリーフがあります。
本来「十二支」であるはずなのになぜ8つだけなのか、
長い間、謎とされていました。
平成25(2017)年、「武雄温泉楼門」の保存修理が行われ、
楼門二階天井の四隅に東西南北を表す4つの干支
「子」「卯」「午」「酉」の彫り絵が見つかり、
東京駅と合わせると「十二支」が完成することが分かり、
話題になっています。
 
 
武雄温泉楼門」は入母屋造本瓦葺の木造二重門で、
竜宮城を連想させる鮮やかな色彩と形で、
釘を一本も使っていない独創的な建築物です。
正面は、城の装飾でもある唐破風や千鳥破風が豪華です。
屋根には格式の高い建物にある鴟(しび)があり、
窓は上部が尖頭アーチ状になっている「花頭窓」(かとうまど)と、
日本建築の錚々たるデザインで埋め尽くされています。
 

 

 
火曜を除く毎朝9時から10時には「楼門干支見学会」が催されていて、
ガイドさんとともに内部へと入ることが出来ます。
 
武雄温泉」の語り部の岸川日出男さんによると、
武雄温泉」には1300年続く歴史があり、
武雄温泉楼門」は、
鉄道が開通した時に人を集めるための温泉リゾートで、
1階にはビリヤード場、2階は演芸場やサウナというように
極楽を求め、まるで竜宮城を訪れたかのような
時を忘れるような空間として作られたのだそうです。
 
楼門の奥には大衆浴場があります。
明治時代に民営化されたものでノスタルジックな雰囲気が味わえます。
大衆浴場の「元湯」と「蓬莱湯」、
貸し切りの「殿様湯」と「家老湯」などが楽しめます。
 
武雄温泉」は、『肥前国風土記』に
「郡の西に温泉の出づる厳あり。岸峻しくて人跡まれに
 いたる。」と記された古湯です。
その起源は、1300年程前に神功皇后が朝鮮出兵から帰る際、矛の柄で突いて温泉を出したことからと言われ、
そのため「武雄温泉」は別名「柄崎(つかさき)温泉」とも
呼ばれています。
源泉の温度は約52度、泉質は「アルカリ性単純温泉」で
サラッとし、色は無色透明です。
疲労回復に抜群の効果があると言われ、佐賀藩の殿様、
宮本武蔵、シーボルトなど多くの著名人が入ったそうです。
 
  • 住所:〒843-0022
       佐賀県武雄市武雄町武雄7425番地
  • 電話:0954-23-2001
  • 見学時間:9:00~10:00(受付9:30迄)
  • 料  金
    ♨ 一般(元湯及び蓬莱湯入浴券付き)
      大人450円 / 子供220円
    ♨ 町内宿泊施設前泊者(入浴券なし)
      大人350円、子供120円
  • 実 施 日 :毎週火曜日を除く毎日
  • 体験時間:20分程度
 
 

長野県・上諏訪温泉片倉館」(建築家・藤森照信さん)

諏訪湖のほとりにある、
1日15,000㎘と全国有数の湧出量を誇る「上諏訪温泉」。
 

 
上諏訪温泉」と「諏訪大社」の上社と下社には
深い関わりがあります。
かつて上社に暮らしていた女神様が下社に移る時に
綿から零れ落ちた化粧水が
上諏訪温泉」の起源との伝説が残ります。
上諏訪温泉」が美肌の湯と云われる所以です。 
 
 
上諏訪温泉」には、西洋風のレトロな外観の建物があります。
昭和3(1928)年に建てられた「片倉館」です。
 
製糸業で栄えた片倉財閥の二代目・片倉兼太郎(かたくら かねたろう)が、
地域住民の厚生と社交の場として建設したもので、
平成23(2011)年6月には「国の重要文化財」に指定されています。
 
諏訪の出身で、子供の頃よりこの温泉に親しんだという
建築家の藤森照信さんに案内して頂きました。
 
天然温泉を豊富にたたえる大理石造りの浴槽の「千人風呂」は、
一度に100人は入れることから、名付けられました。
深さが1.1mもあり、大人でも立って浸かることが出来ます。
底には玉砂利を敷き詰られているため、立つと心地良い刺激が感じられます。
ステンドグラスや周囲の彫刻、装飾も
当時の雰囲気がそのままに保たれています。
ジャグジーや個室も完備。創業から90年を経ても、その人気は健在です。
 
兼太郎社長は、大正11~12(1922~1923)年、
北中南米から欧州に視察旅行を行いましたが、
その際、ヨーロッパ各国の農村、
特に当時のチェコスロバキア・カルルスバードに在った厚生施設に
強い感銘を覚え、我が国にも、是非、
そのような地域住民のための施設を提供したいと一族に計り、
上諏訪に住民のための温泉、社交、娯楽、文化向上を目的とした
片倉館」が誕生したのです。
 
町の人の憩いの場で、子供の心も高揚する地だったようです。
藤森さんは、現代のディズニーランドと同じ感覚だったと
当時の思いを語っていらっしゃいました。
 
ステンドグラスや彫刻を施したロマン溢れる美しい内装と
心地良い温泉を体験しようと、
今も多くの観光客や地元の人が訪れています。
 
  • 住所:〒392-0027
       長野県諏訪市湖岸通り4-1-9
  • 電話:0266-52-0604
  • 営業時間:10:00~21:00(受付20:30迄)
  • 休 館 日 :第2・4火曜日
  • 料  金:大人:750円 / 小人:450円
 
 

美の壺4.お湯の湧くところに 人あり

ちいさな温泉物語 町の宝物「朝見温泉」


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別府温泉には、観光客の知らない町の温泉があります。
「別府温泉の総鎮守」として有名な『八幡朝見神社』の
表参道一ノ鳥居近くに位置する
「朝見二丁目公民館」の1階にある共同浴場「朝見温泉」です。
町内の自治会が運営する町の人のための温泉で、
お金を集め改修を重ね、昭和26(1951)年より使われ続けています。
大人6人が入れるほどのこじんまりとした浴槽には、
やや熱めの源泉がそのまま注いがれています。
 
50年間、お湯のお世話をしているのは、手嶋慶子さん。
早朝5時30分、薬師寺地蔵さまへ朝のおつとめをして無事を祈ります。
 
「朝見温泉」は細い路地にありながら、朝早くから地元の人々で賑わいます。
一番風呂に入るのは、赤峰高遠さん。
赤峰さんは、朝夕、同じ時間に入ります。
お孫さんと入浴を楽しむのは、遠藤範六さんです。
 
少し熱めのお湯がコミュニケーションに一役買っています。
夕方には、井戸端会議が始まりました。
一番賑わう時間です。
 
賑やかになるようにと、荒金淑恵さんが、吊り飾りを作りました。
コロナ禍で集まりは減りましたが、温泉はいつも通り賑わいを見せています。
23時、掃除をして手嶋さんの1日が終わりました。
 
朝見温泉
  • 住所:〒874-0812
       大分県別府市朝見2丁目3-25
  • 電話:0977-22-9198
  • 営業時間
    ♨平 日:6:00~11:00、14:00~23:00
    ♨土 曜:6:00~23:00
    ♨日・祝:7:00~22:00
  • 定休日 :年末年始
 
 

《参考》美の壺「風雪に生きる 東北の温泉」<File 365>

omotedana.hatenablog.com

 

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