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山形県「豊国草履」

 
最上川の支流「寒河江川」が流れる寒河江市や河北町は、
昔から豊穣な稲作地帯で、良質な稲が多く育っていました。
酒造米「豊国」(とよくに)の稲わらを使用して作った
伝統の「豊国草履」は
大相撲の行司やNHK大河ドラマの中でも使用される逸品です。
 

 
 

1.歴史

 
その稲藁を使った草履作りは、
江戸末期、冬の副業に最適と、
田宮家8代の五郎衛門が農民に教えたのが始まりです。
 
田宮五右衛門の熱心な説得により、
明治20(1887)年頃には どの農家でも草履表を作るようになると
山形での草履の生産数は
他の3大産地であった三重・奈良・静岡を抜いて
日本一になりました。
 
当時、山形の農家の嫁は 一日に草履を10足編めないと
一人前ではないと言われたほどでした。
 

 
第二次世界大戦が始まると、
農家の若い男性が徴兵されたため、
女性だけでは大規模な稲作が出来ずに
草履の材料となる稲藁の収穫量が激減することになります。
 
また当時、草履の材料として主流だった
「豊国」は面積辺りの米の収穫量が少なかったため、
食糧増産に反するとして
作付け面積は更に激減することとなりました。
 

 
戦後は生活様式が洋式に変わり、
最盛期200件以上あった草履業者は
その殆どがニット産業やスリッパ産業に転換していきました。
 

 
 

2.現在


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現在、寒河江市内で草履表を編める人は5名のみ。
生活様式に変化で
草履は一般家庭では殆ど見られることは無くなりましたが、
今でも草履を必要とする伝統芸能や時代劇などは数多くあります。
その草履表を「軽部草履」が商品加工して販売しています。
 
 
また近年は、 昔から草履表に最適といわれてきた
幻の品種「豊国」(とよくに)を栽培し、
その稲藁を使った草履づくりも始めています。