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イッピン「針と糸が作る菱形の宇宙 青森・こぎん刺し」

<番組紹介>
青森・津軽地方で伝承されてきた刺し子
「こぎん刺し」が、今、大人気。
バッグや財布、ストールやコートにあしらわれた
“ひし形”模様が、
北欧デザインのようにシンプルで美しいと
世代を超えて支持されているのだ。
もともとは津軽の女性たちが、麻の着物を補強し、
寒さを防ぐために、木綿糸を刺したのが始まり。
やがて、美を競うようになり、
驚くほど緻密な模様を生み出していった。
その細やかな手仕事を、女優・大後寿々花が紹介。
 
<初回放送日:平成27(2015)年6月23日>
 
 
「津軽こぎん刺し」は全国で注目を集めていて、
東京新宿のセレクトショップには
専用のコーナーまで設けられている。
独特な模様が人気の理由。
今回はこぎん刺しの不思議なひし形の宇宙に迫る。
 
 

1.弘前こぎん研究所

 
こぎん刺しの故郷・青森の弘前市には、
3つの工房を中心におよそ80人の職人がいます。
そのうちのひとつ、「弘前こぎん研究所」は、
昭和17(1942)年に「弘前ホームスパン」として創業しました。
 

 
戦後は、柳宗悦らの勧めもあり、
明治以降、衰退した「こぎん刺し」研究や
技術の継承を行いながらも、
斬新なデザインと伝統の技の融合による現代的な製品を開発し、
国内外で高く評価されています。
 

 
こちらの工房では、
130点以上のこぎん刺し製品を作っています。
バッグやポーチなどの袋物が特に人気を集めています。
その90%は、130人もの登録メンバーによる
「内職」で行われているそうです。
 

 
 
弘前こぎん研究所」のこぎん刺し職人のお一人、
三浦佐和子さんに、こぎん刺しを刺す様子を見せていただきました。
用いるのは、麻の布と木綿糸です。
 

 
麻の布は、糸は9本の麻糸を緩めに織ったもので、
太く柔らかいのが特徴。
布の中心に模様の中心を合わせ、
中心から左方向に刺し、そこから木綿糸を通します。
これをひたすら繰り返していきます。
 

 
  • 住所:〒036-8216
       青森県弘前市在府町61−61
  • 電話:0172-32-0595
 
 

2.こぎん刺しの歴史(前田セツさん)

 
こぎん刺しが生まれたのはおよそ300年前と言われています。
寒さのため、綿栽培が出来なかった津軽では、
農民の着物は「麻布」のみでした。
「麻布」と言えば、織り目が粗く、通気性の良い生地です。
寒い地方の着物の生地には、正直向いていません。
そこで、目の粗い麻の補強と防寒のために、
こぎん刺しは始まったのです。
 

 
こぎん刺しの模様1つ1つのことを「モドコ」と言います。
津軽弁で元になるという意味で、
この「モドコ」をいろいろと組み合わせて図柄を描いていくのです。
モドコの数は多く、40種類程あり、その組み合わせは無限大。
今でも新たな模様が生み出されるほどなんだとか。
 
 

 
こぎん刺し作家の前田セツさんは、
廃れたこぎん刺しの復興に尽くした方です。
大正8(1919)年、青森県五所川原市に生まれ、
幼少の頃からこぎん刺しに親しんでいたセツさんは、
農家の主婦でありながら、
県外にもこぎん刺し教室を構えた他、
展覧会、テレビ出演、書籍出版などを通して
こぎん刺しの魅力を伝えてくれた先人です。
また、各地に細々と伝えられていた技を研究し、
集大成し、後身に伝承しました。
 

 
 
 

3.新しいこぎん刺し

スワロウテイルこと内本明美さん
内本明美さんは、スワロウテイルという作家名で活動する
こぎん刺し作家さんです。
内本さんは、ユニオンジャックのこぎん刺しなどを
主にインターネットで販売しています。
 

 
内本さんのこだわりは必ず「モドコ」を使うこと。
ユニオンジャックの中にも、
「ハナコ(花)」などの「モドコ」を見ることが出来ます。
内本さんは
「よく見たらこぎん刺しとしないと、
 ただの創作刺繍になってしまう」とコメントしていました。
 
 
「草木染め」角舘徳子さん
こぎん刺し作家の角舘徳子(かくだて のりこ)さんは、
ご自身で採集した草木で素材を染め、
こだわりの作品を作られているこぎん作家さんです。
 

 
草木染めによる柔らかな色合いが
自然素材である麻布にマッチすると考え、
こぎん刺しの世界に草木染めを取り入れました。
角舘さんのこぎん刺しの特徴は横模様です。
 

www.iichi.com

 

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