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イッピン 「美味しさ作る魅力の調理道具 三重・桑名キッチン鋳物」

<番組紹介>
今回は三重県桑名のキッチン鋳物。
入手まで2年半待ちという人気のフライパンや、
高校生シェフと職人が
共同で開発したキュートなご飯釜など、
アイデア豊かな調理道具を次々に生み出している。
完成までに、どんな職人ワザや試行錯誤が?
イッピンリサーチャーの平山あやが製造現場に出向き、
驚きの職人技に出会う。
また実際に使ってみたり、料理を食べたりと、
キッチン鋳物の実力を体感。
料理が楽しくなる鋳物の魅力を伝える。
 
<初回放送日:平成26(2014)年4月1日>
 
 
「鋳物」(いもの)とは、アルミ、銅、鉄などの金属材料を
溶かして型に流し入れて作る製品のことです。
三重県桑名市では、
徳川四天王の一人である本多忠勝が桑名藩主となり、
鉄砲の製造を始めたのが「くわな鋳物」の起源と言われています。

 
従来の工法に代わって、低コスト・大量生産に優れた
天然産の砂を使って造形する「生型法」(なまがたほう)を導入したこと、
隣村の小向(現在の朝日町)で「生型法」に最も適した
鋳物砂が発見されたことから、
鋳物は桑名の地場産業として確固たる地位を築いていきました。
そして明治、大正期を通じて、
「東の川口、西の桑名」と呼ばれる、
我が国二大鋳物産地が確立されました。
 

 
最初は製麺機や水道器具などの機械鋳物、
次第にミシン鋳物など各種の機械鋳物が造られるようになり、
昭和15年頃まではストーブ、鍋類、氷削機、ミシン、ガス器具などの
日用品が多く製造しました。
終戦後は産業・経済の復興に続く高度成長の波に乗って近代化が進み、
工業製品や建設材料を主力として発展しました。
 

 
現在、三重県桑名市には、およそ40軒の鋳物工場があり、
「くわな鋳物」としてブランド化を図り、
新たな商品開発へと踏み出しています。
桑名商工会議所にある鋳物の展示室には、
家庭用たこ焼き器やステーキ皿など調理道具がずらりと並んでいます。
 
 

1.「魔法のフライパン」(錦見鋳造)


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米NYのトップシェフも愛用する鋳物製フライパンです。
軽くて使いやすいのに、プロのような調理が出来ると人気で、
生産が追いつかず、
予約から手元に届くまで2年半待ちだそうです。
 

 
特徴1.鉄鋳物限界ぎりぎりの薄さ!厚さ1.5mm
従来、鉄鋳物の厚さは約4mm〜5mm。
厚いと重くて扱いづらいのですが、
「魔法のフライパン」はその1/3の1.5mmで鋳造することに
成功しました。

 

特徴2.他の製品に比べて軽い
1.5mmという薄さを実現することによって、
飛躍的に軽量化させることに成功、その重さ1.15kgです。
従来の鉄製フライパンにはな薄さと軽さなので、
普段使いしやすく女性の方でも簡単に使用出来ます。
 
特徴3. 鉄製だから遠赤外線でふっくら焼ける
鉄素材なので「遠赤外線」が発生し、
食材をふっくらと焼き上げることが出来ます。
また、表面全体に炭をコーティングしてあるので、
食材を入れても温度が下がりにくい構造となっています。
そのため揚げものはカラッと仕上がり、
チャーハンも簡単にパラパラに出来ます。
 
なお「魔法のフライパン」は、
24cm、26cm、28cmの3サイズ用意されています。
 

 
 
極薄フライパンを開発したのは、
「錦見鋳造」の社長・錦見 泰郎(にしきみ やすお)さんです。
錦見さんの工場は元々自動車部品などを作っていましたが、
バブルが弾けて経営不振になったことから、
生き残りをかけて薄いフライパンを10年かけて
平成14(2001)年に「魔法のフライパン」の開発に成功しました。
 
 
「なぜフライパンだったのか?」
それは、錦見さんが食べることが大好きだったからだそうです。
鋳物は、溶かした金属を型に流し込んで作るので、
複雑な形状のものを一体で形づくることが出来るのが特徴です。
これまで50年以上に渡って培ってきた精密鋳造技術を生かせば、
世界初の薄い鉄鋳物の「フライパン」が作れるのではないかと感じ、
「フライパン」づくりに着手したそうです。
 
鋳物は1500度に溶けた湯という鉄を使って作りますが、
薄いフライパンをつくるためには
わずか1.5mmの型に湯を流し込まなければなりません。
すばやく湯を流し込まなければ、途中で温度が下がり固まってしまう。
そのため錦見さんが型1つ当りに掛ける時間はおよそ2秒です。
 

 
  • 住所:〒498-0811
       三重県桑名郡木曽岬町栄262
  • 電話:0567-68-2812
 
 

2.ふっくら炊ける!キュートなごはん釜
(桑原鋳工/高校生レストラン)


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「高校生レストラン」で有名な、
三重県立相可(おうか)高校が運営するレストラン「まごの店」では、
鋳物出来た丸みのある「ごはん釜」が使われています。
 

 
開発したメーカー「桑原鋳工」では、
持ちやすい取っ手の形状、滑らかな鋳肌(いはだ)など、
調理クラブの部員と顧問教諭である村林新吾先生の提案を基に
3年間に及ぶ試作を経て、可愛いお釜が出来上がりました。
 
 
「ごはん釜」はフッ素加工を施してあるため、
焦げ付きにくく、お手入れラクラク。
取っ手が大きく、持ち運びやすい。
1合炊き、2合炊きの水位線が設定してあります。
I H機器にも対応していて、勿論、ガスの直火もOKです。
 
この「ごはん釜」は炊飯以外にも、
カレーやシチュー、肉じゃがなどの煮物料理に、
土鍋の代わりに鍋料理として、
アルミホイルで包んだサツマイモを入れてそのまま火にかければ
「焼き芋」にと、いろいろ活用出来ます。
 

kuwaharacc.net

 
そもそも「桑原鋳工」は、
マンホールの蓋や水道管の部品を手掛けるメーカーで、
完成までには四苦八苦したそうです。
特にデザインには悩み、高校生シェフの意見を何度も聞きました。
 


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  • 住所:〒511-0806
       三重県桑名市東汰上518
  • 電話:0594-21-2141
 

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