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イッピン「メタルな光で美味しい生活 大阪府・金属製キッチンツール」

<番組紹介>
大阪八尾市の
金属打ち出し職人が作る銅鍋が大人気。
美しく、丈夫で、
料理がおいしくできるという。
一枚の銅板を叩いて、
鍋にしてしまう超絶技巧とは?
また金属系アーティストが開発した
「アートなフライパン」も、
“売り切れご免”の優れもの。
驚くべきアイデアが詰まっていて、
使って便利、見て楽しい。
 
その他、東大阪市で作られた
レトロな魅力のアルミ鍋など、
ものづくりの町が生み出す
魅惑のキッチンツールをラブリが探る。
 
<初回放送日:平成27(2015)年1月13日>
 

 

1.手打ち鍋
(「姫野作.」3代目・姫野寿一さん)


www.youtube.com

 
大阪八尾市にある「姫野作.」は、
大正13(1924)年から続く、
知る人ぞ知る鍋作りの最高峰の工房です。
銅とアルミを原材料にした、
厨房機器、調理器具を主とした
モノづくりを行っています。
 
大阪では、伝統的に「槌目」(つちめ)のついた
鍋が作られてきました。
姫野作.」3代目・姫野寿一(ひめのひさかず)さんは
国内に数人しかいない「手打ち鍋」の職人さん
です。
 
 
「槌目」(つちめ)とは、金属の表面を叩いて
槌の跡を施す加工法です。
 
アルミや銅は本来柔らかい素材で、
そのままだと手で簡単に
曲げることが出来てしまいますが、
叩いて金属の粒子を締めることによって、
硬く頑丈に生まれ変わり、耐久性も増します。
規則正しく並んでいた金属の原子が
叩くことによって配列が崩れ、
身動きが取れなくなり、
硬い構造に変化するためです。
これを「硬化現象」と言います。
 
また叩くことで鍋肌が広がり、
熱伝導率がアップ。
食材へ均一に熱を伝えられるようになり、
より美味しく食材を料理することが
出来るようになります。
 
更に「姫野作.」さんの本格手打鍋は、
板厚が3mmと厚手なので、
蓄熱性に優れ、熱が柔らかく伝わり、
焦げ付きにくく、根菜も芯までふっくらと
美味しく煮えます。
 
 


www.youtube.com

 
姫野さんに、銅鍋の製造工程を
拝見させていただきました。
 
まず、材料の厚さ2㎜の銅板を丸く切ったら、
バーナーで銅板全体を加熱したら
時間をかけて冷ます「焼きなまし」をします。
鋼材を軟らかくし、組織を均一化して
加工性を高めるためです。
組織が均一していないままだと、
加工する時に変形や反りなどが大きくなって、
加工精度が低下してしまいます。
 
「焼きなまし」をした銅板を切り株の上に乗せ、
くぼみを利用して銅板を
ハンマーで叩いて伸び縮みさせながら、
微妙な曲面などを作り出す
「打ち出し」を行います。
 
この「打ち出し」と「焼きなまし」を
8回繰り返して、鍋の形にしていきます。
 
それを硝酸に10分浸けた後、
表面を磨いていくと銅本来の輝きが
生まれます。
 
 
こうしてやっと金槌を使って、叩いて締める
「槌目」(つちめ)をつけていきます。
鍋の底面の中心から円を描くよう、
等間隔に叩いていきます。
美しい鎚目にするために
同じ場所は絶対に叩きません。
長年培った職人の勘と技術が、
美しく揃った鎚目を生み出します。 
 
 
底面と側面を溶接した消耗しやすい角の部分は
最も大事なところなので、
強度を上げるために、1回ではなく
念入りに叩いて仕上げます。
出来上がった鍋の「槌目」(つちめ)
1000個を超えていました。
 
叩き終えた鍋は、洗浄・研磨をした後、
「姫野作.」の刻印が打たれた後、
取っ手や柄が取り付けられ完成となります。 この刻印には、職人の技術と誇り、
また「使い手と一生付き合える製品」という
工房の目標と願いが込められています。
 
 
  • 住所:〒581-0037
    大阪府八尾市太田1-11
 
 

2.『ダイヤ印』のアルミ鍋
(協栄金属工業)

 
アルミのコップやアルミの寄せ鍋が
若い世代に「レトロな食器」として
人気となっています。
 
この「レトロな食器」を作るのは、
東大阪市にある昭和10年創業の
 
 
オリジナルブランド『ダイヤ印』には、
創業者・寺脇一(てらわきはじめ)さんが考案した使う人のことをきちんと考えられた、
シンプルで丈夫で長持ちで、
日本の暮らしにちょうどよいサイズ感で、
どことなく「用の美」を感じる
昭和のアルミ製品がラインナップ
されています。
 
 
中でも、昭和32(1957)年頃から製造している、昔ながらのレトロな一人用アルミ製鍋は、
平成24(2012)年に、
「グッドデザイン・ロングライフデザイン賞」を受賞しています。
 
 
アルミ製の小鍋は、とても軽く、
熱伝導率が良いため調理時間を短縮出来、
汚れ落ちの良さも抜群です。
一人用の鍋として、器と鍋の兼用が出来ます。
 
本体だけなら積み重ねることが出来るので、
家族分を揃えても、スタッキングして
コンパクトに収納出来ます。
 
 
当初は、インスタントラーメン用として
開発されたそうですが、
本格的な煮込み料理まで幅広く利用出来る他、
アウトドアやトレッキングなどとしても
人気の商品となっています。
 
 
「全体が古くなっていますので
 大事なところはメンテナンスしていますが、
 細々したところは技術に頼っています」と
社長さんがおっしゃていたように、
アルミ鍋は貴重な機械を職人達が
熟練の技で操りながら作っています。
 
機械を道具として使いこなす
職人の技によって温かな感触がもたらされた
素敵なアルミ鍋です。
 
  • 住所:〒578-0925
    大阪府東大阪市稲葉3-7-18
 
 

3.「アートなフライパン」
(「MAF」柏原秀年さん)

 
大阪八尾市を拠点に活動されている
金属造型工房「MAF(Metal Art Factory)」の
「アートなフライパン」は、
内側が玉虫色に輝いて、
野性味溢れる木の持ち手が印象的な
鉄製のフライパンです。
 
作るのは、大阪芸術大学出身の柏原秀年さん。
一枚の鉄板から叩き、曲げ、繋ぐ、削る、
仕上げなど、全ての工程を手作業で行っているハンドメイドの製品です。
 
柏原さんは元々デザイナーさんでしたが、
お客さんから
「私にも使えるものを使って」と頼まれて、
フライパン制作を始めたのだそうです。
 
まず、「エキセン」という機械で
素材をへこませ、出来たシワを叩いて、
微妙な曲線のフライパンを形成します。
次に電動ヤスリで表面にザラつきを作ります。
ザラつきにより、食材がくっつきにくくなる
のだそうです。
最後にバーナーで色をつけて、
独特の光沢のある「アートなフライパン」を
完成させました。
 
  • 住所:〒581-0041
    大阪府八尾市北木の本1-1-48
 

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