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イッピン「里山の“泳ぐ宝石” 新潟・錦鯉」

<番組紹介>
新潟県が国内の生産の4割を占める
ニシキゴイ。
100近い種類がいるが、元々は江戸時代に
黒いマゴイから突然変異で生まれたもの。
今ではヨーロッパやアジアでも大人気だ。
国内では、水槽で飼育できる
「ミニ・ニシキゴイ」が注目されている。
美しい姿や柄を作るのに重要なのは
交配と選別。
そして豪雪地帯の山間部という自然環境が
決め手という。
生産者の情熱が育んだニシキゴイの魅力を、
俳優の山崎樹範さんが徹底リサーチする。
 
<初回放送日:平成25(2013)年7月2日>
 
 

泳ぐ宝石「錦鯉」

 
「泳ぐ宝石」とも呼ばれる
「錦鯉」(にしきごい)は、
新潟県の長岡市・小千谷市・魚沼市一帯で
生産されています。
 
山深いこの地域では、元々、
貴重なタンパク源として
「真鯉」(まごい)を養殖していました。
今から200年前の江戸時代後半に、
新潟県の旧・山古志村(やまこしむら)
ある日、突然変異によって赤や白の鯉が誕生。
村の人達は面白がり、掛け合わせて
様々な品種を生み出していきました。
 
新潟県は、全国の「錦鯉」の生産量の
およそ4割を占める一大産地です。
現在「錦鯉」の種類は、100以上あると
言われています。
 
そのうち、最もポピュラーな
「紅白」「大正三色」「昭和三色」の3品種を
「錦鯉御三家」と言われています。
 
「紅白」(こうはく)
白地に赤い斑紋のもの。
赤斑紋が三つのものを「三段紅白」、
赤斑紋が四つあるものを「四段紅白」、
頭にまん丸の斑紋があるものを
「丸点紅白」(まるてんこうはく)
頭にだけ丸い斑紋があるものを
「丹頂紅白」(たんちょうこうはく)と言います。
 
「大正三色」(たいしょうさんけ)
白地に赤と黒の斑紋のもので、
大正時代に品種改良され作出されました。
「三色」と書いて「さんけ」と呼びますが、
これはその昔「三毛」と書いていたことに
由来するのではないかと思います。
「昭和三色」も「さんけ」と呼ぶことも
ありますが、単に「さんけ」といった場合は
「大正三色」を指します。
 
「昭和三色」(しょうわさんしょく)
黒地に赤と白の斑紋のもので、昭和時代に
品種改良され作出されたものです。
 
鮮やかな色と艶のある大きな魚体は、
飼い主にとってはステータスシンボルで、
日本庭園に欠かせない存在です。
 
昨今は、愛好家は海外へと広がっており、
オークションで、
2億円以上の値を付けたものも出ました。
輸出額は5年で1.5倍に成長し、
令和2(2020)年は48億円を計上して、
過去最高の輸出金額となりました。
 
 
最大の輸出先は「香港」で、次いで
米国、China、独国、オランダ、インドネシア
の上位7か国輸出金額の60%を占めます。
 
新潟県では、「錦鯉」の売上の8割以上が
海外への輸出で占められています。
世界中のバイヤー達が新潟県に事務所を構え、
買い付けを行っています。
 
 

どうやって作る?美しい柄
(「丸重養鯉場」3代目・田中重良さん)

 
「錦鯉御三家」の一つ「紅白」を主に作る
丸重養鯉場(まるじゅうようりじょう)
訪ねました。
丸重養鯉場」が手掛けた「錦鯉」は、
国内外で開催される品評会で高く評価され、
数々の賞を受賞しています。
 
平成16(2004)年10月23日に発生したM6.8の
「新潟県中越地震」により、
丸重さんも大きな被害を受けましたが、
3代目の重良さんは「兄弟3人で鯉屋やりたい。
みんなでここを復活させる」と宣言。
地震で廃業したところから池を借りたり、
田んぼやめた棚田を養殖する池にしたりして
養殖面積を増やしています。
 
「鯉がなかったら、
 山古志はどんどん田んぼをやめて
 草ぼうぼうになって、また水害が起きる。
 水を蓄えて管理して、ちゃんと決まった
 ところに流しているから、
 それがなくなるとダメだよね」
 
 
 
「錦鯉」の見方は、
「体型」「色彩」「模様」の3つが基本です。
色合いが美しくて、
色ムラや濃淡のないものが良く、
更に色の境目がスッキリして、
色が鮮明かどうかが更に重要です。
 
毎年5、6月頃、美しい柄を作るために、
「親鯉」の「カップリング」を行います。
交配は深夜に行われます。
 
孵化した稚魚は稚魚池で育てられ、
継続的に「選別」を繰り返して絞り込みます。
真冬は「選別」した稚魚を屋内にある養殖池で
越冬させます。
 
5、6月になったら、優良な「錦鯉」を
屋内から屋外の「野池」に放って
体づくりを行なわせます。
 
丸重養鯉場」は野池を持つ生産者です。
田中さんは、この野池にこそ、
美しい「錦鯉」を育てる秘密があると
おっしゃいます。
 
田中さんは微生物を撒きながら、
「鯉はいろんなものを食べます。
 錦鯉は太陽の下で
 ゆったり4ヶ月過ごすことで、
 美しい色が出て来るんです」と
おっしゃっています。
 
11月、大きくなって、風格を持った
2歳魚になった「錦鯉」を1匹、1匹
丁寧に引き揚げていきます。
出荷します。
生産者にとっては、
最も楽しみな時間なのだそうです。
 
中には、3歳魚以上に成長させて、
品評会向け育てられる錦鯉や、
稚魚を生むための「親鯉」になる
錦鯉もいます。
 
(Marujyu Koi Farm)
  • 住所:〒940-1133
    新潟県長岡市六日市町646
  • 電話:090-8027-5215
 
 
 

錦鯉の新しい楽しみ方
(「ぷれしゃす」入澤恵さん)

 
池で飼うイメージの強い「錦鯉」ですが、
実は水槽で楽しむことも可能で、
最近は小型の「錦鯉」も人気だそうです。
 
小千谷市片貝町の「ぷれしゃす」は、
水槽で飼える10~15㎝サイズの錦鯉
「ちび錦」を専門に販売するお店です。
 
社長の入澤恵さんは、
平成16(2004)年の「新潟県中越地震」後に
関東からUターン。
当時、まだ幼かったお嬢さんと
小千谷市の錦鯉展示施設
錦鯉の里」を訪れた際、
水槽でも「錦鯉」が飼えると知ったことから、
マンションに住んでいる人でも楽しめる、
水槽で飼える錦鯉のネット販売を思いつき、
平成19(2007)年に「ぷれしゃす」を
オープンさせました。
価格は安いもので800円、高くても数万円。
インターネットで販売を開始すると、
全国から注文が殺到しました。
 
  • 住所:〒947-0101
    新潟県小千谷市片貝町6390
  • 電話:0258-84-2665
 

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