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美の壺「琥珀色の神秘 はちみつ」<File 514>

<番組紹介>
「神さまからの贈り物」色も味も千差万別!
はちみつ大特集
 
 ▽島取から北海道まで
  ミツバチとともに移動する養蜂家
 ▽貴重!長崎・対馬の野生ニホンミツバチとの
  共生で生まれる絶品はちみつ
 ▽はちみつとハーブとチョコレートの幸せな出会い
 ▽料理人・野﨑洋光の郷土が香るはちみつ料理
 ▽人間とミツバチのながーい歴史
 ▽はちみつ研究に人生を捧げる研究家
 ▽北の大地でとれる蜜ロウキャンドル
 ▽草刈正雄式発声法!?
(初回放送日: 令和2(2020)年10月2日)
 
 
 
琥珀色に艶めく「はちみつ」。
ミツバチが花の蜜から作り出す「神様からの贈り物」です。
今、様々な形ではちみつが楽しまれています。
朝起きると、そのまま瓶を開けてスプーンですくって食べます。
花の種類や産地によって、はちみつの味や香りは千差万別。
その個性を生かしたチョコレートが続々と誕生。
和食の隠し味に使うと、絶妙の味わいを醸し出します。
更にはちみつのろうで作る天然のキャンドルも。
人々を虜にする、はちみつの魅惑に浸りましょう。
 

美の壺1.百花百様を味わう

 

荻窪・はちみつ専門店「ラベイユ(L’abeille)

東京・荻窪にあるはちみつ専門店
国内は勿論、世界11か国の80種類以上の蜂蜜を
取り扱っています。
 
店長の山田千佳さんは、
蜂蜜の特徴に合わせて、美味しい食べ方があるとおっしゃいます。
 
「イチゴノキ」は、苦味と渋味が感じられる珍しい蜂蜜で、
コーヒーに入れたり、チョコレートに合わせて頂くと、
面白い蜂蜜なのだそうです。

 
「栗」は、渋味も感じられるんですが、コクもあるので、
アイスクリームに合わせて頂くと美味しい蜂蜜で、
山田さんは、抹茶アイスに合わせているそうです。

 
中でも珍しいのは、
タスマニア産の「レザーウッドハニー」です。
レザーウッドは花をつけるまでに70~120年、
何と蜜を出すまでには、
平均100年もの歳月を要すると言われている、
非常に希少な木です。
木の枝が、皮(レザー)のような
茶色っぽい色をしていることから
「レザーウッド」と名付けられたと言われています。
「はちみつの香水」と言われるほど、
華やかな香りを持ち、紅茶と合います。
 

 
花の少ない冬に採れる貴重な蜂蜜は、
12月頃に咲く白い花から採れた
香川産の「びわのはちみつ」です。
 

 
ワインもそうだと思うんですが、
採れる土地によって味わいが違ってくるのと同じように、
始めはサラリとしているはちみつは、
熟成が進むにつれ、白い結晶となり、シャリシャリに。
時間を経て、食感の変化も楽しめるのです。
 
  • 住所:〒167-0032
       東京都杉並区天沼3-27-9
  • 電話:0120-066-083
 
 

養蜂家の小笹太史さん(小笹養蜂園)

 
小笹養蜂園は、
北海道日高山脈カムイ岳の麓で産声をあげたばかりの
小さな養蜂園です。
小笹太史さんは双子の弟・元矢さんとともに
沖縄から北海道を移動しながら蜂蜜を採る
「転地養蜂」を行っています。
 

littleheaven-bee.jp

日本に流通している蜂蜜には大きく2種類あります。
「セイヨウミツバチ」の蜜と「ニホンミツバチ」の蜜です。
 
「セイヨウミツバチ」は、
欧州やアフリカ・中央アジアなどを原産地とするミツバチで、
19世紀半ばに飼育管理方法が広まって以来、
家畜として改良され、人間とともに歩んできました。
日本には、明治時代に米国から輸入されたと言われています。
そして現在、スーパーなどの店頭に並んでいる商品や、
加工食品の原材料に使用されている蜂蜜のほとんどが、
このセイヨウミツバチの蜂蜜です。
 
それに対して、「ニホンミツバチ」は
元々日本列島に住んでいた在来種で、
セイヨウミツバチに比べて飼育が難しく採蜜量も少ないため、
商業的に不向きと言われています。
更に、セイヨウミツバチが特定の花の蜜しか集めないのに対し、
二ホンミツバチは複数の花の蜜を採取します。
 
ミツバチは暑さに弱いため、
本州の養蜂家の多くは北海道にやって来ます。
小笹太史さんも3月に岐阜を出発し、4月から鳥取でレンゲの採蜜。
6月に青森でトチの蜜を採った後、北海道へやって来ました。
小笹さんの今年最後の採蜜は、北海道に多いシナノキです。
 

 
養蜂家は、ハチの行動を考えながら蜜を採取します。
蜜を絞るのは、ハチが動き出す前の朝10時まで。
巣に溜まっている熟成した蜂蜜だけを採取するためです。
その間隔を10日は空けるようにすると、
糖度が高い蜂蜜が採れます。
 
「一番、僕が惚れ込んだのは、やっぱ味ですよね、蜂蜜の。
 濃厚で、すごいコクがあるんですよね。
 それがやっぱり好きなんで、
 それを皆さんにも食べて頂きたいなという気持ちは
 やはりありますね。」
 
 
 

長崎県対馬産「百花蜜」(ひゃっかみつ)

 
日本で養蜂の記録が初めて登場するのは、
飛鳥時代です。
643年に奈良の三輪山で
養蜂に失敗したと『日本書紀』には記されています。
 

 
長崎県対馬では、昔ながらの方法で蜂蜜を採取しています。
道沿いの斜面には、
丸太をくり抜いて作った蜂の巣「蜂洞」(はちどう)
点在しています。
「蜂洞」(はちどう)は民家の庭先にもあって、
ミツバチとの暮らしが島の日常に根づいています。
 
対馬にいるのは、野生の「ニホンミツバチ」です。
蜂洞にニホンミツバチが自然に住みつき、
蜂蜜が溜まるのをひたすら待ちます。
 

 
森に設置した「蜂洞」へ向かうのは、
蜂蜜採りの名人・糸瀬良光さんといとこの春田裕治さんです。
ニホンミツバチの採蜜は、秋のたった一度行われるだけです。
島に咲く花々の蜜を集めた「百花蜜」は、
江戸時代には、貴重な蜂蜜として、徳川家に献上されていました。
 

 
巣が下に落ちないように、
慎重に鎌で少しずつ切り取ります。
全部は採らずに次回のために残しておきます。
採ってきた蜂の巣を一つずつ潰し、
(さらし)で濾して、
そのまま1週間程、蜂蜜が滴り落ちるのを待ちます。
 

 
採れる量が少ない対馬の蜂蜜は、
古来より薬用として珍重されてきました。
絶えず外来種の侵入に脅かされてきた島では、
植生や生態のバランスが一度崩れると、
この蜂蜜が出来なくなってしまいます。
 
「セイヨウミツバチを入れてないということで言えば、
 対馬の中の花の植生だと思うんですけど
 味は全然違うと思います。
 だから、これを守れるかどうか っていうのも
 やっぱり今から掛かってくるのかなっていう・・・。」
 
対馬の恵みの結晶、幻の蜂蜜。
蜜蜂と共生する島の暮らしが、故郷の味を守り続けています。
 

 
 

美の壺2.郷土料理のように楽しむ

 

蜂蜜ショコラティエの田中丸博文さん(パティスリーQBG

 
蜂蜜とハーブとチョコレートを自在に操るのは、
銀座にある「パティスリーQBG」のショコラティエ、
田中丸博文さんです。
 
田中丸さんは、蜂蜜について見識を深めようと仏国に渡った他、
ハーブやスパイスについても学んでおり、
チョコレートとの組み合わせを模索しています。
 

 
「エルダーフラワーのチョコレート」は、
マスカットのような
エルダーフラワーの香りを引き立てるために、
クセのないイタリア産のアカシアはちみつを使っています。

 
「カルダモンライムのチョコレート」は、
カナダ産のクローバーはちみつで
ライムのえぐみを抑えています。
蜂蜜と同じ産地の材料を組み合わせたチョコレートも
田中丸さんの持ち味の一つです。

 
青森の郷土の味わいを一粒に詰め込んだ
「りんごのチョコレート」は、
青森産のマロニエの蜂蜜でりんごの香りを引き出して、
裏ごしをしてピューレを作ります。
生クリームにも同じ蜂蜜を加えて、
これらをチョコレートと合わせます。
 

「何よりもチョコレートというものは、
 食べて美味しいというのは当たり前ですが、
 そのチョコレートにいかにストーリーを思いを入れれるか。
 一つのアトラクションというふうに僕は捉えておりまして。
 そのチョコレートを食べて、物語を読み解けるような、
 そういうメッセージを込めて作っています。」
 
  • 住所:〒104-0045
       東京都中央区築地4丁目5−4
       しろくまビル 1F
  • 電話:03-6278-8216
 
 
その田中丸さん、今年令和3年10月1日に、
東京都中野に独立してお店をオープンされたようです。
 
チョコレート専門店
 (ショコラトリー&バー ロンポワン by ヒロフミ タナカマル)
・・・ううっ・・・ちょっと長いなあ。
 
  • ボンボンショコラ15粒入り¥ 4,860
  • ボンボンショコラ 6粒
  • グランクラシック 〜至極のベーシック〜 ¥ 2,430
  • ボンボンショコラ 6粒 レ・ミエル 〜蜂蜜・果実・ハーブ〜¥ 2,430
などなどです。
ご成功を心より御祈念申し上げます。
 
 
  • 住所:〒164-0011
       東京都中野区中央2丁目47−2
        コートフェニックス 1階
  • 電話:03-5989-1585
 
 

はちみつ料理(日本料理家・野﨑 洋光さん)

 
東京・広尾にあるミシュランの星を持つ和食店、
日本料理店「分とく山」(わけとくやま)店主で、
NHK「きょうの料理」でも人気の日本料理家、
野﨑 洋光(のざき ひろみつ)さんが
絶品蜂蜜料理を教えて下さいました。
 
料理人の野崎洋光さんは、蜂蜜を独特の視点で捉えています。
「その地域によって、蜂蜜が採れるってことは、
 その生産地の味っていうのが残ってるはずなんですよね。
 それを地の料理の中に捉えたら、
 すごく生きてくると思うんですよ。」
 
野崎さんは、砂糖の代わりに蜂蜜を使いました。
 
一つ目のテーマは「北海道」です。


北海道産大反魂草(おおはんごんそう)の蜂蜜に酢を入れて、
ごはんを投入。

合わせるのは鮭。
北海道産のシナの蜂蜜に、
練り胡麻と醤油、レモン汁を入れて、
漬けだれを作ります。
更に イクラも載せれば、
北海道の食材と蜂蜜を合わせた
「鮭の漬けちらし」の完成です。
 
 
次は和歌山産の冬青(そよご)のはちみつと
高野山の精進料理をイメージした白あえです。
 
蕎麦の花から採れた蜂蜜は、蕎麦がきのあんに。

 
 
土地の香りが匂い立つような、郷土の味の競演です。
 
  • 住所:〒106-0047
       東京都港区南麻布5丁目1−5
  • 電話:03-5789-3838
 
 

美の壺3.人々をとりこにする蜜

 

はちみつ料理研究家・清水美智子さん

 
はちみつ料理研究家の清水美智子さんは、
半世紀以上前から、
蜂蜜の歴史と食文化について研究を続けています。
 
世界各地のミツバチのブローチを集めたり、
クッションやテーブルセンターから食器に至るまで、
清水さんの家はミツバチ尽くし。
自らを「ぶんぶんばあば」と呼んでいるほどです。
 

 
清水さんは、蜂蜜料理を追求するうちに、
ミツバチのことをもっと知りたいと
あらゆる文献に、ミツバチの記述を探すようになり、
ミツバチのルーツを探し始めました。
そしてとうとう、長崎県壱岐で発見された、
2000万年前のミツバチの化石と出会ったのです。
 
「もうそれ見てたら、手が震えるぐらい。
 なんてきれいなんだろうって。
 もう涙が出てきそうに、対面出来た喜びは深かったです。」
 
 
更に養蜂のルーツを自分の目で確かめたいと、
35年前に、清水さんは発祥の地とされる
エジプトへに向かいました。
5000年前の古代エジプトの遺跡には、
王名と一緒に、ミツバチの象形文字が記されています。
古代エジプトでは、
蜂蜜は「神からの贈り物」と言われていました。
古代エジプトの養蜂風景が描かれた壁画には、
粘土で作った灰色の巣箱で蜜蜂を飼い、
甕の中に蜜を詰めている様子が描かれています。
 
「人類は、地球上に現れた最初から、
 蜂蜜を食べていただろうというふうに言われてるんですね。
 じゃ、それをどういうふうに食べていたかということは、
 想像ではなくて、史実として探してみたいというのが、
 一つの自分のテーマになったんですね。」
 
 

北海道十勝の蜂蜜屋さん「ナルセ養蜂園」(成瀬潤姫さん)

 
北海道十勝地方にある、
家族で営む小さな蜂蜜屋さん「ナルセ養蜂園」。
成瀬家は50年程前に、鹿児島から十勝に移住してきました。
現在は、三代目・成瀬 潤姫(なるせ ゆに)さんが
養蜂所を切り盛りしています。
 
 
成瀬さんは、蜜蜂がもたらすもう一つの恵み
「蜜蝋」(みつろう)の魅力を子供達に伝えるべく、
蜜蝋のキャンドル作りを行っています。
 
 蜜蝋(みつろう)は、
 蜜蜂の巣を構成している蝋(ろう)を精製したものです。
 蜂蜜を食べた働き蜂は、
 自分のお腹にある蝋線(ろうせん)というところから
 蝋(ろう)を分泌し、
 それを口と足を使って巣を作ります。
 この時、分泌されるものが
 いわゆる「蜜蝋」(みつろう)と呼ばれるものです。
 別名「ビーズワックス」とか「ビースワックス」とも
 呼ばれています。
 
 ハゼノキから採れる植物性の蝋と同じように、
 古くから蝋燭(ろうそく)の原料として使われたり、
 木製品の艶出しやコーティングの材料とされたり、
 肌に良い成分を含んでいることから
 化粧品の材料として使用されてきました。
 
蜜蝋も元を辿ると、蜂蜜が原料になって、
その蜂蜜は元を辿ると花の蜜で、
花の蜜は土とか太陽とかが育ててくれてる・・・。
「神様からの贈り物」は 次の世代にも受け継がれていきます。
 
  • 住所:〒089-0533
       北海道中川郡幕別町札内新北町40-1
  • 電話:0155-56-2302
 

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