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美の壺「日本の原風景 古民家」 <File546>

神奈川県葉山の古民家でスローライフを実践する家族に密着!
 ▽デービッド・アトキンソンさんが愛する、京町家の美意識
 ▽静岡の古民家を400年支え続ける柱や梁(はり)には、
  戦国時代の城造りの技
 ▽福島県南会津に残る古民家群の、美観を守る工夫
 ▽都会の古民家を、
  シェアハウスにして存続させるプロジェクトとは?
 ▽建築家カール・ベンクスさんは、
  古民家でコミュニティーを復活!
 ▽草刈正雄邸には謎の猫!?
 
古民家に惚れ込み、新たに住み始める人も増えています。
暮らし続けることで輝きを増す古民家、
今回は その魅力をご紹介します。
 
 

美の壺1.愛着:住めば住むほど奥深い

 

神奈川県三浦郡葉山町で古民家ライフを楽しむ
(薬膳・発酵料理家・山田奈美さん)

 
神奈川県三浦郡葉山町で古民家ライフを楽しむご家族がいます。
薬膳や発酵食品の料理研究家の山田奈美さんご一家です。
ご主人の泰宣さんは手漉き紙の作家さん、息子の大地君は小学生です。
ご家族が住んでいるのは、
昭和5年に建てられた築91年の古民家です。
11年前に、縁あって東京から移り住みました。
 

 
結婚してから、
出来るだけ自然の中で畑仕事しながらとか、
自然に寄り添った暮らしがしたいなと思い、
古いおうちで、自然の中でという条件で探していたら、
こちらを紹介頂いて、引っ越してきたそうです。
 

 
縁側の庇(ひさし)が長いため、夏は日が入らず、
逆に冬は奥まで入るため暖かく過ごすことが出来るそうです。
自然素材に囲まれてるため、
触れる物は全てがひんやりしていないのが心地よく、
湿度は高くてもカビが生えたりすることもなく、
また結露したりすることもなく、
やはり日本家屋はとてもよく考えられた造りだなとおっしゃいます。
 

 
折角の古民家ですから、暮らし方も合わせます。
台所の道具も昔ながらのものばかり。
食事は座敷にちゃぶ台を広げて頂きます。
食事が終われば、同じ部屋が寝室に早変わり。
蚊帳を吊るして就寝。おやすみなさい。
 
 

京町家
(文化財修復会社「小西美術工藝社」社長・デービット・アトキンソン)

 ⇦ ここらしい

 
京都の古民家と言えば「町家」。
都市に暮らす商人や職人の家として建てられました。
大正時代に建てられた大きな京町家。
実業家が住んでいた贅を尽くした古民家です。
 
小西美術工藝社
創業は寛永年間。
日光東照宮の造営に関わった職人の喜兵衛に始まり、
明治期に業務を全国規模に拡大し、
昭和32(1957)年に現在の小西美術工藝社が法人として設立。
社寺等の伝統建築や邸宅の設計や施工、
国宝や重要文化財などの文化財の修繕と補修を行い、
平成28(2016)年時点で
日本の文化財装飾に関わる4割の職人を抱える業界最大手。
 
デービッド・アトキンソン
 
 
旧・アンダーセン・コンサルティング、
ソロモン・ブラザーズ、ゴールドマン・サックスに勤務。
1990年頃来日。
バブル崩壊後の日本の銀行に眠る巨額の不良債権を指摘。
ほどなく不良債権問題が顕在化し、その名を高める。
2007年退社。茶道に打ち込む時期を経て
隣家が小西美術工藝社社長の家だった縁で、
2009年に同社に入社。
2010年5月に会長就任、2011年4月に社長兼務。
高齢・高給職人に対する賃金カットと
若年職人に対する正規雇用化と体系的な教育の導入などの
経営の近代化と建て直しに当たった。
その後は日本の文化財政策・観光政策に関する提言などを
積極的に行う。
2016年より三田証券株式会社の社外取締役に就任。
2017年6月より日本政府観光局の特別顧問に就任。
菅義偉内閣総理大臣のブレーンの一人で、
菅が内閣官房長官時代から
観光政策や経済政策に関して助言を行ってきており、
2020年、政府の成長戦略会議の議員に就任。
 
 
 

美の壺2.今に残る、先人の技

 

400年前の古民家「江川家住宅」(静岡県 伊豆の国市)

 
静岡県伊豆の国市に、重要文化財の「江川家住宅」があります。
最も古い古民家の一つで、
建てられたのは、「関ヶ原の戦い」があった1600年頃です。
 

 
まず目に入るのは、広い土間です。
見上げると、複雑に組み合わされた柱や梁があります。
数多くの部材を組み合わせた「大屋根架構」。
力を分散し、重い屋根を数本の柱で支えるように工夫されています。
 
工学院大学理事長で、建築史家の後藤治(ごとう おさむ)さんによると、
火を使う土間の掘立柱の棟と
人間が生活する床上のある棟が一体化したのは、
この時代に全国的に見られる現象だそうです。
それまでは別棟だったそうです。
江川家住宅は土間と床上の合体が見られる最初期の例だそうです。
 

 
これは戦国時代の城造りの技を応用したものだそうで、
柱と梁などの部材を繋ぐ技術もその一つです。
梁が柱に単純に挿さっている訳でなく、
柱に穴が開いた「ほぞ」を挿し、
更に「ほぞ」に「鼻栓」(はなせん)が挿さっています。
梁が引っ張り抜けようとする時に
栓が抵抗して抜けにくくなる仕組みになっているのです。
この技術が耐震性を高め、古民家の技術史上で大きな発展となりました。
 
 
  • 住所:〒410-2143
       静岡県伊豆の国市韮山韮山1
  • 電話:055-940-2200
 
 

福島県南会津郡・大内宿

 
福島の会津若松城下から江戸に向かう街道沿いにあった
宿場町・大内宿
この宿場が出来たのは、徳川三代将軍・家光の時代。
江戸時代に建てられた、築400年と伝えられる古民家が
今も軒を連ねています。
 

 
蕎麦屋「玉屋」を営む20代当主の佐藤和衛(さとうかずえ)さんは、
若い頃大内地区を離れましたが、
この家を守るために16年前に戻り、現在の店を開かれたそうです。
 

 
店の中に入るとすぐ土間があり座敷が広がっています。
太くて逞しい大黒柱や梁が、
冬、雪が降り積もって重くなる屋根を支えます。
野趣溢れる木組みは、
構造として必要なだけでなく 、この家の風格を表しています。
 
家の奥に進むにつれて、木材の仕上げが変わっていくのも見所の一つです。
一番奥の座敷は、大切な客人をもてなすための空間。
来客が眺め、触れる部材の全てが繊細に仕上げられています。
江戸時代の大工の美意識を感じる丁寧な仕事です。
夏でも絶やさない囲炉裏の火の煙が屋根裏に上がり、
茅葺屋根を虫や湿気から守ります。家を長持ちさせる知恵の一つです。
 

 
この地域の集落の区長・只浦豊治(ただうらとよじ)さんは、
解体した古民家の古材を地域で保存をして、
古民家の修繕に役立てています。
傷んだ部分は切り落とし、最後まで大切に使います。
茅葺屋根の吹き替えも地区の住人で行います。
長老が若者達に指導し、その世代が また次へ。
何代も、そして何代も・・・。思い受け継ぐ古民家です。
 
 
  • 住所:〒969-5207
       福島県南会津郡下郷町大内
  • 電話:0241-68-3611
 
 

美の壺3.人に生かされ、人を生かす

 

古民家シェアハウス(東京都台東区谷中界隈)

 
東京都台東区の谷中界隈は
東京大空襲の戦火を免れ、古民家が多く残る地域です。
それが近年、住む人がいなくなり、
代わりにカフェやギャラリーに改装した古民家が
今、人気のスポットになっています。
 
 
 
古民家を「シェアハウス」として活用する取り組みが行われています。
この日は家の持ち主、住民、
シェアハウスの活動をするNPOのメンバー達で大掃除です。
家主だけでは維持出来ない家をみんなで力を合わせて守っています。
今住んでいるのは、Chinaからの留学生です。
NPO法人たいとう歴史都市研究会理事長の椎原晶子さんは、
昔は家制度があって親から子へ子から孫へと引き継いでいたが、
今は、若い人に住んでもらって大切に引き継いでいるのだと言ってた。
 
  • 住所:〒110-0001
       東京都台東区谷中6丁目1−29
  • 電話:03-5834-8044
 
 

古民家村(新潟県十日町市竹所)

 
新潟県十日町市竹所。
過疎化が進んでいたこの集落に、30年近く前、
ドイツ人建築家のカール・ベンクスさん、妻のクリスティーナさんが
移住してきたことにより一変したそうです。
 
二人は、明治時代に建てられ、
廃屋同然に放置されていた家に惚れ込み、
2年がかりで再生。現在の姿に仕上げました。
元の家の良さを最大限に生かしながらも、自分流にアレンジするのが
ベンクスさんの楽しみ方です。
 
集落には、他にもベンクスさんが蘇らせた古民家が点在しています。
空き家になって朽ちかけた家を放っておけず、
住む人のあてがないまま再生を始めますが、
出来てみると、その家に住みたいという新たな住民が移住。
そんなことを繰り返すうちに、
集落は昔からの住民と新しい住民が共に暮らす、
「古民家村」として知られるようになりました。
 
古民家には、快適でデザイン性があり、
なおかつ、昔の職人の技術が住んでいながらにして見えるというのは
子供の教育にも良い。
 
今も新たな住民の家を解体修理中です。
ベンクスさんは傷んだ家を一旦解体し、基礎から組み直します。
建具など使えるものは、修理して再利用します。
 
次々に壊されていく古民家を何とか救いたいと始めた仕事。
これまでに 60軒程の家を再生しました。
人と人を結び、過去と未来を繋ぐ古民家は、
世代を超えて受け継がれる宝物です。
 

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