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東京都「江戸指物」

 
樹林、樹種に恵まれた島国である日本は、
古くより木工が盛んでした。
その技法を大まかに分けると、
指物、刳物、彫物、挽物、曲物、箍物、編物の七種です。
 

歴史

「指物」とは、
金釘を用いることなく板材を組み立てるとても高度な仕事で、
その歴史は平安時代の宮廷文化まで遡ることが 出来ます。
 
江戸時代、 徳川幕府は多くの職人を全国から呼び寄せて、
神田・日本橋周辺に、
大工町、鍛冶町、紺屋町などの職人町をつくり
手工業を発達させました。
 
江戸時代の中頃には消費生活の発達につれて、
大工職の仕事は
「楢物師」(ひものし)、「戸障子師」、「宮殿師」などの職業に
分かれていきました。
その一つが「指物師」で、現在に続いています。
 
 

指物

 
「指物」とは、 木材を板や棒状に整え、家具を製作する技法です。
組み合わせる木材と木材の一方に突起状の「ホゾ」
もう一方に「ホゾ穴」を作り差し込んで
箪笥や文机、棚や箱、鏡台や茶道具などを製作します。
 
出来上がった品物は外からは見えないところほど
精度の高い技術が駆使されるため、
堅牢で、使い込むほどに馴染んでくるものとなります。
 
高度な仕事を支えるのは、夥しい数の道具です。
そして、それぞれの道具は、
職人の手に合わせ、用途に合わせて手が加えられ、
こうして「江戸指物」は、
丈夫で”すっきり、さっぱり、堅牢”な仕上がりになるのです。
 
材を正確に切るための印付けである「罫引き」(けびき)

 
その線をまっすぐムラなく切り落とす「鋸」(のこ)
 
切り口や表面を滑らかに削ったり、
角の面取りをするのに使う 「鉋」(かんな)

 
組み手や留めなど接合のための仕口を刻む
「鑿」(のみ)です。

 
 

京指物と江戸指物

「京指物」は、
朝廷や公家用のものであったことから
漆塗りや箔などの装飾が施され、雅な佇まいです。
 

 
「江戸指物」は、
武家用、商人用及び江戸歌舞伎役者用のものが発達したため、
木材の木目の美しさ最大限に生かし、
あまり装飾的になることを避け、
すっきりとした造形と堅牢な作りで江戸の粋を表現しています。
 
「江戸指物」は、国産の無垢材を使います。
伐採し、十分乾燥させ、板材にしてもなお木は呼吸しているため、
伸縮があり、反ったり、ゆがんだり、割れる心配があります。
「江戸指物」の技術は、無垢材ならではの気難しさをなだめ、
実用的な美へと昇華させる仕事なのです。